異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

免許合宿はじめました!

「頼子が車の免許取るらしい。」
 頼子の父、勇は大樹に言うと、大樹も笑いながら答える。

「千春が言いだしっぺらしいからね、持ってないよりは良いんじゃないか?」
「それはそうだが、大丈夫か?あいつら。」
「それはまぁ心配だけど、俺達も最初は初心者だったろ?慣れるさ。」
 大樹は気楽に答える、すると勇は少し考えながら呟く。

「今こっちで車を作ってるだろう?」
「ああ、こっちの魔導車か。」
「ソレを乗りたいみたいなんだよな。」
「乗る必要あるか?あの子達は箒もあるし、ドラゴンにも乗れるじゃないか。」
「頼子がいつ出来るか聞いて来たから、乗る気満々だぞ。」
「乗りたければ乗れば良いさ、試作機は既に出来てるんだし。」
 パパさんズの拠点、ムカイ領の一画にある開発地にある大きなエリア、そこにはサーキットの様に整地され車が走れる場所もあった。

「本来の目的は『物を運ぶ』運搬用の車だ、移動だけなら馬や魔導列車もある。」
「ジブラロールの経済は大きく動き出したからね、物流輸送は経済活動に不可欠だ。」
 魔力と言うエネルギーを効率よく使い、大量の物資を運ぶ、魔導列車の通っていない小さな領や、村への輸送を考えた物流輸送を考え、パパさんズは開発を進めていた、だが、趣味の一環でもある為、走りを目的とした車も作ってはいた。

「魔導モーターの小型化が出来たから作ってはいるが・・・」
「イサム、それは大丈夫だって言ってただろ、魔導車に乗せられる魔石の魔力では力こそある程度出せるトルクは作れるが、回転数はそこまで出せない、改造するにも限界がある、素人が改造して早くしたところでたいした速度は出ないよ。」
「・・・頼子達が持っている魔石を使えばヤバいぞ?」
「あの子達にその知識があるならね。」
 笑いながら答える大樹、勇も少し考え頷く。

「ま、免許を取りたいなら取らせて、魔導車に乗りたいと言うなら乗せるか。」
「それで良いと思うよ、それに街道を爆走した所でオフロードみたいなものだから、速度を出したらすぐにハンドルを持っていかれてひっくり返るよ。」
 ケラケラと笑いながら答える大樹、つられて勇も笑う。

「リミッターもつけているんだよな?」
「勿論、馬車が時速15キロくらいだからね、魔導車は出ても原付の30キロくらいが限界にしてる。」
「あいつらは満足しないだろうな。」
「それはそうだよ、普段時速50キロは出る箒に乗って、時速200キロを超えるドラゴンで移動してるんだ、魔導車に乗ってもすぐに飽きるよ。」
 大樹の言葉に納得した勇は、安心した顔で頷いた。


-------------------------


「前よし、後ろよし。」
 車の周りを歩きながら運転席に座る千春、助手席には男性が座っていた。
 助手席に座る先生は千春の動きを見ていた、緊張しながら千春はシートを動かし姿勢を合わせる、そしてシートベルトを締める。

「ルームミラーよし!サイドミラーよし!」
 そしてブレーキを踏み鍵を回す、エンジンが掛かり千春はハンドルを握る。

「はい、それじゃブレーキを踏んだままDに入れて、パーキングブレーキを解除してね。」
「はい!」
 千春は言われたように操作する、そして・・・

「ブレーキを離して。」
「はい!」
 ゆっくりとブレーキを上げる、すると車はゆっくりと動き出す。

「動きました!」
「うん、オートマはブレーキを離せば動くからね、アクセルを軽く踏みながら回ってみようか。」
 敷地内には数台の教習車が走っている、千春はそっとアクセルを踏む。

「おおおおお。」
 ゆっくりだが速度が上がると、千春は声を上げる。

「カーブの手前でアクセルを離して、軽くブレーキを踏んで速度を落とす。」
「はい!」
 初めての車の運転で千春はハンドルを握りしめながら答える。

「うん、いいよ、そのままハンドルを回して。」
「はい!」
 思ったよりも上手く車を操作でき、千春は嬉しそうに答えた。

「上手だね。」
「ありがとうございますっ!」
 礼を言いながらも千春は必死にハンドルを握る、すると横から教習車が停車し左右を確認する姿が見えた。

「あ、ヨリだ。」
「友達かい?」
「はい!一緒に合宿してます!」
 千春は頼子が乗る教習車の前を通る、頼子も気付いたのか千春を見て微笑む。

「さぁ、次はそこの坂道を登ってみようか。」
「はいっ!!!」
 千春は先生に返事をすると、アクセルを踏んだ。


-------------------------


「どうよ。」
 授業が終わり、宿泊先で集まる聖女達。

「むずい。」
「えー、踏むだけじゃん。」
 大愛が言うと、青空は軽く答える。

「初めて運転したけど楽しかったなぁ。」
 千春はハンドルを持つように手を前に出し笑う。

「せっかく休み取ってまで合宿来たんだから一発で取りたいよね。」
「マジでそれなー。」
「千春は大丈夫なん?」
「ん?学校?」
「学校もだけど、王女の仕事。」
「あー、お父様が今色々やってるから動くのはもうちょっと先って言われた。」
 お菓子をポリポリと食べながら答える千春。

「ウチも休みギリギリだから、一発で取らないとヤバい。」
「おー、ミオ、ナカーマ。」
 美桜が言うと、日葵が手を握る。

「みんな、一発合格狙おう!」
 花音は皆に声を掛ける。

「ま、私は余裕あるんだけどねぇ~♪」
 時間に余裕があるのか麗奈はケラケラと笑いながら呟く。

「こっちは時間無いんじゃー!」
「うるせー!叫ぶな!」
「ミオ、レナ、怒られるよ?」
 千春は周りを見渡す、自動販売機の唸る音が静かに聞こえる。

「・・・みんな、がんばるぞー(ボソッ)」
「「「「「「「おー・・・(ボソッ)」」」」」」」
 手を重ねる聖女達は、広げたお菓子を食べつくすと各自部屋に戻って行った。





 
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