異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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ドラゴン外交と胃薬!

「あら可愛い♪」
 ブルーワグ王妃であるイショナ王妃はワンコドラゴンを見て微笑む。

「このこがコタローで、このこがモコ!この子はミント!」
 ドラゴンと遊びながらルペタが答える、その姿を見てイショナは椅子に座る。

「それで、この子達の面倒をヒマリが見るの?」
「はい、そう言う事になっちゃいまして。」
 日葵はそう言うとドラゴンの姿に戻った4頭のドラゴンを見る。

「親御さんもついて来ちゃったんです、申し訳ありません。」
 日葵の言葉にハチェットが答える。

「こちらのドラゴンもブルーワグにずっといるのかい?」
「はい、そうなると思います、やっぱりダメですよね?」
「そんな事は無いよ、国にドラゴンが居るという事は国力が増える事でもあるからね。」
「そうね、ブルーワグとしては他国への影響力も大きく変わるわ・・・」
 イショナはそう言うと、頭を抱えたまま黙っている国王ファーグスを見る。

「・・・」
「お義父様。」
「・・・ああ、そう言う事なら問題は無いよ。」
 ファーグスはそう言うとドラゴンを見る。

「しかし・・・デカいな。」
「はい、ネームド・・・名前を持ったドラゴンさんらしくて、ジブラロールの周りで遊んでいるドラゴンよりも強いらしいです。」
「そんなドラゴンを連れて来て、ジブラロールは大丈夫なのか?大事なドラゴンだろう。」
 心配するファーグスに日葵が微笑む。

「ジブラロールにはこの方たち以上のドラゴンが沢山いますから、それに、パパドラとママドラもいますからね。」
「そう言えばドラゴンの里の長が2頭いるんだったな。」
「はい、この方たちよりも大きくて強いんで。」
 日葵の言葉にファーグスはため息をつく。

「それで、ジブラロールの王、エイダン国王はこの件に関してなんと言っていたのだ?」
「・・・え?」
 ファーグスの言葉に日葵が言葉を詰まらせる、その姿をファーグス、イショナ、ハチェットは目を合わせる。

「ヒマリ、まさか・・・王には伝えてないのかい?」
「そんな事は無いわよね?ドラゴンを他国へ送るのよ、ねぇヒマリ?」
「それはそうだろう、1頭でも国に棲みつけばその国は他国の脅威になる・・・ヒマリ?」
 3人に言われ日葵は目を泳がせながら呟く。

「・・・い・・・言ってるの・・・かなぁ?」
 日葵は満面の笑みで微笑む千春を思い浮かべる、そして思う・・・

(絶対言ってないよね!?チハル!)

 日葵の反応を見てファーグスが立ち上がる。

「ジブラロールへ行って来る。」
 ファーグスが言うと、ハチェットも立ち上がる。

「父上、私も行きます。」
「ルペタもいくー!」
「ルペタ、俺は王と会うのだ、留守番していなさい。」
「ユラちゃんとあいたーい!」
「あらあら、あなた、ルペタは私が見ていますから一緒に行きましょう、マルグリット様ともお話してきますわ。」
「そうか、シュシュ、ジブラロールまでお願い出来るか?」
「いいわよ~♪」
「すぐに準備してくる。」
 そう言うとファーガスは城へ戻り、ハチェットも城に戻っていった。

「・・・ヤバいかな。」
「ふふっ、大丈夫よ、聖女様方が決めた事なのでしょう?」
 イショナが微笑みながら言うと、日葵が頷く。

「はい。」
「話では女神様も関わっているのよね?尚更じゃないかしら。」
「はい、アイトネ様がこの子達の魂を・・・」
『呼んだー?』
「うああ!!!アイトネ様!?あっちに居ましたよね!?」
『大変そうだから来ちゃった♪私が大丈夫って言いましょうか?』
「女神アイトネ様、大丈夫なのは重々承知しておりますの、ただ国としての矜持がありますので、ここは好きにさせて下さいませ。」
 余裕の表情で言うイショナ、その言葉を聞き日葵もほっとしたのか笑みを零す。

「このこたちずっといっしょなの?」
 ルペタは小太郎を撫でながら言う、妖精のシュシュとクゥクゥはモコとミントの頭に乗って楽しそうだ。

「うん、ずっと一緒だよ♪」
「やったぁ!コタロー大きくなったらせなかにのせてね!」
「わんっ!」
 小太郎は尻尾をブンブンと振りながら一吠えする、その姿を見てイショナと日葵はクスクス笑った。


-------------------------


 ジブラロール王城の扉がノックされる、ルーカスが扉を開けると兵士が居た。

「ブルーワグ王国国王、ファーグス・ジル・ブルーワグ国王陛下が御出でになっております。」
 走って来たのだろう、肩を揺らしながら兵士が伝える。

「・・・来たか。」
 エイダンは苦笑いで答える、千春からの報告は無かったが、状況は把握していた。

「今何処に?」
 ルーカスが問いかけると、兵士が答える。

「応接間の方へご案内致しております。」
「ふむ、そうか。」
 エイダンはそう言うと立ち上がり応接間に向かう。

「陛下、例の?」
「それしか無いじゃろ、ドラゴンが国に来るんじゃ、しかも人の言う事を聞く、野良のドラゴンでは無いのじゃ。」
「あちらの貴族は力を使いたがるでしょうね。」
 ルーカスが言うと、エイダンは笑う。

「はっはっは、それはそうじゃろう、モート連邦国を樹立し同盟する時ドラゴンを送れと言ったのはブルーワグの貴族じゃからな。」
「争いの種になるのでは?」
「それは大丈夫じゃろ。」
「根拠はあるので?」
「ない、だがドラゴンは1種族、獣でも魔獣でも魔物でもない、個としての尊厳を持たなければ敵対されるだけじゃ。」
 エイダンはジブラロールに居るドラゴンとの交流をよくしていた、特にパパドラと呑み合う程に。

「陛下、それは・・・」
 エイダンが部屋を出る時に手にした箱をルーカスが苦笑いで問いかける。

「必要じゃろ?」
「・・・はい、ヒマリ嬢には定期的に渡す様にしておきましょう。」
 エイダンが持つ木箱、その中には特殊なポーションが入っていた、魔導師団で作られる特殊なポーションで、極秘で作られる物だ、そして部屋に着くとルーカスが扉を開ける、中にはファーグスとハチェット、護衛に部隊長のリィエンが立っていた。

「待たせたな。」
 エイダンが言うと、ファーグスは首を振る。

「急に来て申し訳ない。」
「構わぬよ、アレじゃろ?ドラゴンの・・・」
「知っていたので?」
「うむ。」
「何故王女・・・聖女チハル様を止めなかったので?」
「いや、それは知らん所じゃ、結果を耳にしておっただけじゃからな。」
「王に通さずドラゴンを他国に?」
「フェアリーリングで来たならチハルから直接聞けばよかったじゃろ。」
「・・・聞ける訳が無い、女神アイトネ様も居たのだぞ?!」
「ふむ、まぁ座って話そうか。」
 エイダンは2人に言うと、ファーグスとハチェットはソファーに座る。

「エイダン国王・・・」
「ここはエイダンで構わんよ、腹を割って話をしようではないか。」
 笑いながら言うエイダンにファーグスはハチェットを見る。

「王がそう言われるのでしたら良いのでは?」
「・・・そうか、それなら。」
 一呼吸置き、ファーグスは言う。

「ドラゴンが来たら国が揺れるだろうが!」
「それを何とかするのが王じゃろうが。」
「くっ!!!王なら止める事も出来たのではないか!?」
「聖女が女神と話をして決めたんじゃぞ?儂にどうこう出来るわけ無いじゃろうが。」
「くっっっ!!!それならもっと早く先触れでも!!!」
「儂が知ったのは事後報告じゃ、無理じゃな。」
「うっ。」
 お腹を押さえるファーグスにハチェットが心配そうにファーグスを見る、するとエイダンは箱を開ける。

「ほれ、儂が出来るのはこれくらいじゃ。」
「・・・これは?」
「胃に効くポーションじゃ。」
「・・・そんな物が?」
「うむ、良く効くぞ、何しろ材料は・・・」
 エイダンはニヤリと笑い、ファーグスに材料を教えた。


-------------------------


「ヒマリおっつー。」
「・・・つかれるぅ。」
 千春はブルーワグから帰って来た日葵に声を掛ける。

「王様大丈夫だった?」
 頼子が言うと、日葵は首を振る。

「お義母様は平然としてたけど、お義父様は頭抱えてたよ。」
「「「「「デスヨネー。」」」」」
 想像がついた聖女達は笑いながら言う。

「まぁお父様が話ししてくれるから大丈夫っしょ。」
 千春は笑いながら答える、日葵は首を傾げる。

「大丈夫かなぁ。」
「大丈夫だよ、こういうの慣れてるから。」
「慣れてるって・・・チハルがいつもやらかすからでしょ。」
「うっわ人聞きが悪い!ちゃんと対策もしてるから、ねぇヨリ。」
「うん、世界樹の実で作った胃薬なー・・・対策か?アレ。」
「市販の胃薬より効果あるって言ってたし♪」
 千春と頼子の話を聞き、日葵が呟く。

「もう胃壊すの前提で動いてるじゃん。」
 呆れる様に言う日葵に聖女達が笑う、おもわずつられて笑う日葵は心で王へ謝罪した。




 






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