異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

聖女と王妃、ドラゴン外交へ!

「チハル。」
「お母様、いらっしゃいませ・・・あれ?イショナ様も?」
 千春の部屋に入って来たマルグリットとイショナに千春が首を傾げる。

「どうされました?」
 千春が問いかけると、聖女達も目を合わせる。

「今、暇?」
「はい、暇ですけど・・・」
「そう、ちょっと付き合ってくれないかしら?」
「いいですよ?何するんですか?」
「フフッ、ちょっと楽しい事♪サフィーナ、チハルの着替えをお願い出来るかしら?」
「はい、どちらへ行かれるのですか?」
「ちょっとモート連邦国に行って来るわ。」
「ブルーワグじゃないんです?」
「ええ、ブルーワグは最後にゆっくり・・・サフィーナ、チハルは聖女のローブでお願い。」
 マルグリットは楽し気に言う、千春は「え”っ」と思わず声を上げる、すると日葵がイショナに話しかける。

「お義母様、ルペタは?」
「ユラちゃんと遊んでるわ。」
「あ、そうなんですね・・・お義母様もモート連邦国へ?」
「ええ。」
 ちょうどその時、千春の庭にドラゴンが降りて来た。

「・・・なにごと?」
 頼子は思わず呟く。

「え?え?お母様?」
「さ、着替えてらっしゃいな。」
「あ、はい・・・」
 千春はサフィーナと寝室へ向かう。

「お義母様、ドラゴンのお話は?」
「その話の続きなのよ、ブルーワグだけにドラゴンが居つくと、いろいろと国的に問題があるから・・・」
 イショナはそう言うとマルグリットを見る、マルグリットはニコッと微笑む。

「・・・私も行って良いですか?」
 日葵はマルグリットを見ながら言う。

「ええ、もちろん♪」
 日葵は返事を聞くと立ち上がる。

「ヨリ、ちょっと行って来る。」
 日葵はそう言うと、千春の寝室へ駆け込む。

「ほいほい、何するか知らないけどがんばれー。」
 頼子が言うと、美桜と麗奈も手を振る。

「何か有れば呼びなね~♪」
「なにがあんのよ。」
 美桜の言葉に麗奈が問いかけるが、横で青空が呟く。

「チハルが動く時・・・世界が動く。」
「何を大袈裟な、って言いたい所だけど、ソレなんよねー。」
 青空の言葉に大愛が頷く、そして花音は外のドラゴンを見て問いかける。

「あーね、同盟国にドラゴンを派遣するわけだ。」
 花音の言葉に頼子達がドラゴンを見る。

「おまたせしましたー!」
 千春と日葵が聖女のローブで戻って来る。

「それじゃ、行きましょうか♪」
 マルグリットはそう言うと庭に出る、ドラゴンが並び、ママドラが待っていた。

「それじゃまずはモート連邦国、その後はロラカリア、そしてデサッバね。」
「全部回るんですか?」
「声を掛けるだけよ、ドラゴンが遊びに行く事になるわ、急に来たら困るじゃない?」
「・・・遊びに行くの?」
 千春はちょうど横に立つドラゴンへ話しかけると、ドラゴンはクルルルと可愛い声で鳴く。

「さ、行くわよ。」
 マルグリットが言うと、妖精のクゥクゥがフェアリーリングを回る、そして皆の姿が消えた。

「・・・さて、私達も着替えておくかなぁ。」
 頼子が言うと、麗奈が問いかける。

「マルグリット様も行くんだから何も無いっしょ。」
「チッチッチ、千春が行くんだよ?絶対なにか面倒事持ってくるって。」
 頼子の言葉に美桜が頷く。

「うん、何か有る方にこのお菓子を賭ける!」
 そう言うとお菓子を口に入れる。

「食ってんじゃん。」
「えへっ♪」
 面倒事と言いながらも皆は楽し気にしていた。


-------------------------


「いらっしゃいませマルグリット王妃殿下。」
「ルイーズ女王陛下は?」
「はい、こちらへ。」
 兵士はそう言うとマルグリットを案内する、マルグリットの背に見えるドラゴン達、そして聖女が2人、心の中では何故自分が警備の時にこんな事が起きるのかと思っていた。

「こちらでお待ちくださいませ。」
 兵士は王族用の応接間へ案内すると部屋を出て行く、マルグリットの横にはイショナとママドラ、その後ろに千春と日葵、そして執事ワークス、侍女のサフィーナ、クーネス、エリーナが立つ。

「いらっしゃい!メグ!」
 嬉しそうに部屋に入って来たのはルイーズ・ハセマニア女王その人だ。

「また来ちゃったわ。」
「いつでも来て良いのよ♪それで?ドラゴンを連れて来たって聞いたのだけれど。」
「ええ、この前話をしたでしょう?」
「早かったわね、他の国の問題は・・・あら、イショナさんが居るという事はブルーワグにも?」
「逆ね、ブルーワグにドラゴンが行く事になったから他の国にもドラゴンが来れるようにするのよ。」
「どっちでもいいわよ、それで・・・ママドラ様が来られるの?」
 ルイーズはママドラを見る、ママドラは首を振り答える。

「うちの子と旦那の里の子が来るわ。」
「そう、ママドラ様も遊びに来てくださいませ♪」
「ええ、この子達の様子も見たいから遊びに来させてもらうわ。」
 のんびりとした会話が続く、千春と日葵はもっとお堅い話だと思っていたが、予想と違い目を合わせ微笑む。

「よかったね。」
「だね。」
 千春はホッとした声で言うと、日葵も頷く。

「お母様、私が来る必要あったんですか?」
「ええ、あるわよ、女王の前でこの話をしたという事実が出来たでしょう?」
「でもこの件って私関係なく無いです?」
「そんな事は無いわ、こうなった原因はチハルたちでしょうに。」
「・・・そうでした。」
「・・・ごめんなさい。」
 千春と日葵は頭を下げながら謝罪する。

「謝らなくても良いわよ、おそかれはやかれドラゴンが同盟国に来れる様にするつもりだったもの。」
 マルグリットが言うと、ルイーズも頷く。

「ドラゴンは聖女様の使役する種族ですわ、ドラゴンをお連れ頂きありがとうございます。」
「使役・・・なの?お友達感覚なんだけど、ねぇママドラさん。」
「そうね、でもチハルが命令すれば国くらい滅ぼしてくるわよ、あの子達、私もだけど♪」
「やめてくださいね!?」
「チハル、絶対命令しないでよ。」
「ヒマリ!?しないよ!?」
 狼狽える千春にルイーズ、マルグリット、イショナが笑う。

「神モート様にもお話してるから、貴族の前ではこの前言った通りに伝えて良いわ。」
「この前?」
 千春は首を傾げる。

「もうこの件は前々から進めていたのよ、丁度良かったわ、ありがとうチハル。」
「あ、はい、よくわかんないけど・・・」
「ちなみにどんな計画なんですか?」
 千春と日葵が言うと、マルグリットが答えた。

「フフッ、計画と言えば計画だけど、もっと大きな絵よ、ドラゴンを同盟国に送るのはただの交流や遊びだけれど、各国にドラゴンの存在と聖女の影響力をさらに上げる為の一歩なの。」
「え?影響力?」
 千春は目を丸くするとルイーズが優しく補足する。

「チハル様、ドラゴンは聖女の象徴でもありますの、ドラゴンが各国で親しまれる事で聖女の存在感が常につきますのよ。」
「そうなんです?」
 千春はマルグリットを見る。

「そうよ、ただ、ブルーワグだけにドラゴンが定着するとバランスが崩れるでしょう?だから他の国にもドラゴンが遊びに行けるようにして友好関係を深めつつ、どの国も対等であり、聖女の影響も広げられるの。」
 ルイーズも頷きながら言葉を続ける。

「ドラゴンが来る事で、各国の民が聖女や他国との絆を感じてくれると思うわ、モート連邦国としては、ドラゴンが来る事で神モート様の加護をより強く示すことができるし、国民の結束力も高まると思うの、チハル様が動く事で世界が動くの。」
「・・・えぇぇやだぁ・・・でもドラゴンたちが楽しく過ごせればいいなぁ」
 思わず声が漏れる千春、それを見てマルグリットは満足そうに笑う。

「ええ、まずはそれね、ドラゴンたちの環境を作って行く事に力をいれましょう、さ、次はロラカリアね、ルイーズ、今から良いかしら?」
「他国も回ってるの?」
「ここが最初よ、それに最初はココが良いでしょう、一番神モート様と聖女の力が知られているのだから。」
 そう言うとマルグリットが立ち上がる。

「もう行くんですか!?」
 千春が言うとマルグリットが頷く。

「早く終わらせないとチェラシーが寂しがるでしょ♪」
「・・・今日全部回らなくてもよk」
「さ、行くわよ♪」
 マルグリットは千春の言葉を遮り皆を見渡した。


-------------------------


「エイダン、何が起きてる?」
 ファーグスは宰相と話をしていたエイダンを見て問いかける。

「ん、知りたいか?」
「知りたいから聞いている。不穏な言葉が聞こえたが。」
「不穏な事は無いじゃろ、同盟国にドラゴンが飛び回るだけじゃ。」
「・・・不穏じゃないか!どういうことだ!?この件もジブラロール王国の企みか!?」
「いや、偶然じゃな、ただ、ドラゴンたちが同盟国へ遊びに行くのは前から考えておった。」
「あ・・・あそび?」
「うむ、ジブラロールは飯が美味いじゃろ。」
「ああ、美味い、ジブラロールで修行した料理人は引っ張りだこだ。」
「他国でも色々な料理が作られ始めた、チハルのレシピから派生し、他国の特産品で作られた料理も増えているじゃろ。」
「そうだな、我が国も美味い物が増えた・・・それがドラゴンと繋がるんだ?」
「ドラゴンも美食な者が増えた、他国で飯を食いたい、遊びに行く、じゃろ?」
「じゃろっと言われてもわからないぞ。」
「ま、それは建前じゃがな。」
「おい!」
「はっはっは!今マルグリットが動いておる、各国にドラゴンが往来する日が来る、そしてモート連邦国の力の象徴、神モートと聖女の影響力を増やし団結力を持つ、それが目的じゃな。」
「・・・そう言う事か。」
 2人の会話を聞いたハチェットが問いかける。

「エイダン陛下、それがブルーワグにも恩恵があると?」
「うむ、ブルーワグは同盟国の中でも一番影響力がある者がおるじゃろ。」
「・・・ヒマリですか。」
 ハチェットが目を開き答える。

「うむ、聖女、そして聖女につくドラゴン、そして考え付く先は・・・」
「貴族ですか。」
「そうじゃ。」
「しかし・・・他国にもドラゴンはやり過ぎでは?」
「逆じゃな、他国にも同等の力を送る事でバランスと影響力を持つことが出来る、そしてその影響は変な輩から聖女とドラゴンを守る事になる。」
「・・・ヒマリを守る力になる・・・と?」
「うむ、ジブラロールから離れた唯一の聖女じゃ、だが、チハルの大事な友達じゃ、もし・・・仮にじゃぞ?何かヒマリの身に何か有れば。」
 エイダンはそう言うと言葉を小さな声で続けた。

「世界が終わるかもしれぬ。」
 エイダンの言葉はファーグスとハチェットの心を心底冷やした。




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