異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

閑話:社会科見学!

「はーい!みんなバスに乗ってー。」
 小学校の先生が子供達に声を掛ける、皆はゾロゾロとバスに乗り込む。

「たのしみ~♪」
「私も♪」
「イーナもなのです!」
「工場見学かぁワクワクするな。」
「僕もこっちの工場気になるよ。」
 ユラ、イーレン、イーナ、ケンブリット、シュウラスは班を組みバスに乗り込む、皆が乗り込むと、担任の月先生が生徒を数える。

「みんな揃ってるわね。」
 声を掛ける月先生、生徒は皆手を上げ返事を返す、月先生は微笑み運転手へ話しかけるとバスが動き出した。

「最初はパン工場で、その後消防署かぁ。」
 イーレンが言うと、イーナは嬉しそうに答える。

「パンこうじょう、たのしみなのです!」
「パン食べれるのかなぁ。」
 ユラはニコニコで呟く。

「食べれるわよ。」
 ユラの近くに座っていた月先生が微笑み答えると、皆は目をキラキラさせながら笑みを零す、そしてバスは走り、工場へ到着する。

「はい、工場の中では皆さんお仕事をしています、邪魔をしないように、騒いではダメよ。」
 月先生が言うと、皆は返事を返す、そして工場の中へ入る。

「はい、ここでこれを着て、マスクをして・・・」
 職員が準備をしていたマスクや帽子、小さな作業着を着せられる、皆はおとなしく指示に従い準備をする、そして。

「まずはここを通ります、3人ずつ通ってね。」
 職員のお姉さんが言うと、ユラ、イーレン、イーナが小さな部屋に入る、そして。

「そのボタンを押して。」
 お姉さんが指差す大きく真っ赤なボタンをイーナが押す。

ブオオオオオオオオオッ!

「うわあああ!」
「すごおおい!」
「風がすごいのですっ!!!」
 エアカーテンに当てられ喜ぶユラ達、そして風が止まると前の扉が開く。

「はい、次はここで手を洗ってね。」
 職員のお兄さんが大きな手洗い場に連れて行く、後ろでは次の子たちがエアカーテンで興奮していた。

「はい、この中に手を入れて、その後こっちの水で流してね。」
 指示をするお兄さん、ユラはツンとする匂いに顔をしかめ、問いかける。

「これなに?」
「これはジア、次亜塩素酸と言う消毒水だよ、パンは発酵させるからばい菌が入ると大変なんだよ。」
 優しく説明するお兄さん、ユラたちは次亜塩素酸の張られたシンクに手を入れ、隣で手を洗う、そして皆が集まると、工場の中へ入って行った。


-------------------------


「凄かったね。」
 ユラは見終わった工場の感想を呟く。

「パンが上を通ってたね。」
「えっと、あれはパンを冷やす工程・・・」
 イーレンがメモ帳を見ながら呟く。

「あんな大きな機械が正確に動き続けるのか。」
 日本に慣れて来たとはいえ、異世界の住人であるケンブリットは驚きを隠せなかった。

「はーい!みんな、パンを作るわよー!」
 月先生が待機していた子供達に声を掛ける、皆はパァっと笑みを浮かべる、そして別室に移動すると、発酵された生地を並べる職員が皆を出迎える。

「はい、このパン生地で好きなパンを作ってね。」
 子供達はテーブルの前に立つと、目の前にあるパン生地を見つめる。

「好きな形を作ったらこの上に置いてね。」
 シートが敷かれた天板を皆の前に並べると、子供達はパンを作り始めた、そして皆が作り終えると、職員たちはそれを持って行く、子供達はまた別室に行くと、パンの製造から物流、そして販売までのDVDを見て時間を過ごした。


-------------------------


「ありがとうございました!」
 子供達の声が工場に響く、職員たちは微笑み手を振り、子供達を見送る、子供達の手には自分が作ったパンが袋に入っていた。

「いい香り♪」
「おいしそうー。」
「イーナのパンはこうもりなのです!」
「俺・・・ドラゴンにしたのに・・・ドラゴンじゃなくなったよ。」
「僕も・・・」
 男の子2人は膨らみ形が変わったパンを見て呟く。

「ユラは上手だな。」
「えへぇ~♪チハルおねーちゃんとパンつくってるもん♪」
「私も~♪」
「イーナも~♪」
 膨らむ事を計算して作った幼女3人はドヤ顔でケンブリットとシュウラスを見る、そして皆はバスに乗り込むと、次の見学先へ向かった。


-------------------------


「みんな、お昼ご飯を持って降りてね。」
 月先生はそう言うとバスを降りる、バスの前には真っ赤な大きな車が沢山並んでいた、それを見た男子たちは嬉しそうに声を上げる。

「消防車だ!」
「大きい!」
「すごい!こんな近くで見たの初めてだ!」
 喜ぶ男子生徒達、だが女子生徒達はパンの方が気になるようで先生を見つめていた。

「ここでお昼ごはん休憩よ、みんなこっちにいらっしゃい。」
 月先生が皆に言う、奥には消防署職員が笑顔で待っていた。

「本日はよろしくお願いします。」
 月先生が挨拶すると、ゴツイ職員が子供達を見る。

「ようこそ、今日はいっぱい覚えて行ってくれな。」
 そう言うと食堂らしき部屋へ案内される、皆はそれぞれ席に付くとお昼ごはんを食べる、その後、消防署を見て回り、訓練場で消火器を使い消火活動と、色々な事を体験し、子供達は勉強をしながらも社会科見学を楽しんだ。


-------------------------


「ただいまー!」
「ただいまかえりましたー!」
「ただいまなのです!」
 幼女達は元気に異世界に帰って来る、そして後ろからケンブリットとシュウラスが付いて来る。

「消防署すごかったな。」
「こっちで消火って水魔法が使える人達の仕事だもんね。」
「魔力を使わないであんな事ができるのか、魔法使いが居ない村とかでも出来るな。」
「でも、あんな技術こっちには無いよ。」
「無いなら作ればいいんじゃないか?」
「どうやって?」
「俺達が勉強すればいいじゃん。」
「えー、無理だよー。」
 呟く男子、それを聞いた千春と頼子は楽し気に答える。

「勉強してきたねー。」
「偉いな、こっちでも使える技術を考えるとか、それに比べてこの子達は。」
 頼子はキャッキャと騒ぐユラ達を見て笑うと、ケンブリットに話しかけた。

「ケン、ムカイ領でその話してみ?」
 頼子が言うと、ケンブリットはハッとした顔で頼子を見る。

「いいんですか!?」
「うん、パパさんズならその答えが出せるかもだよ。」
「はい!聞いてみます!」
 ケンブリットは嬉しそうに言う、シュウラスもウンウンと頷く、そして皆に挨拶をすると自分の館へ帰って行った。

「チハルおねーちゃん、パンつくりたい!」
 ユラはパン工場の話をすると、千春にお願いをする、千春はニコッと微笑み頷いた。

「おっけー、生地あるから今から作る?」
「さいしょから作りたい!」
「お?そっから?」
「うん!」
「よし、それじゃ今日は疲れただろうから、明日の朝作ろう。」
「私も良いですか?!」
「もちろん♪」
「イーナも!イーナも!」
「いいよー♪みんなでいっぱい、たーーーーくさん作ろう♪」
「「「やったー!!!」」」
 ピョンピョンと跳ねる幼女たちの笑い声が、夕暮れの街に溶けていく。
 千春と頼子は、その音を聞きながら静かに頷いた。
 “学ぶ”という灯が、少しずつこの世界にも広がっていく――
 そんな、確かな未来を感じながら。





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