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連載
フェンリルの牙!
「必殺!AED!」
千春はそう言うと魔法を胸に当てる、パチンと軽い音が響くとミシェールの指がぴくりと動いた。
「どう?」
千春が問いかけると、花音が脈を計る。
「おっけ、生き返ったよ。」
花音の言葉と同時にミシェールは目を開ける、目の前には覗き込む8人の聖女と小さな子猿が申し訳なさそうに自分を見ていた。
「・・・あぁ、気を失っていたのか。」
呟くミシェールにエンハルトが答える。
「いや、お前死んでたぞ。」
「・・・あ、やっぱり死んだのか。」
「ああ。」
「いや、あれは死ぬだろ!」
最後に食らったサンジュの拳、速く重い拳はミシェールを吹き飛ばし、訓練所の壁を粉砕していた。
「ごめんうきぃ~。」
サンジュが謝ると、ミシェールは苦笑いで答える。
「いや、君は悪くない、そういう試合だからな。」
そう言うとミシェールは頭を上げ、手を数回握りしめながら体を確認する。
「問題無さそうだ。」
「それはそうだ、聖女8人が全力で回復したからな。」
エンハルトの言葉にミシェールは頭を下げる。
「ありがとう。」
「ごめんなさい。」
花音が謝ると、ミシェールは首を振る、そして立ち上がる。
「次は・・・」
「ミシェールさん、もうよくない?」
千春が問いかけると、ミシェールはまた首を振る。
「神獣と戦えるなんて光栄だ、こんな機会はそうそうない、しかも死んでも生き返れるんだ、やるに決まっている。」
恐怖や畏怖もない目、ミシェールの視線はルプとロイロを見る。
「いい度胸してるな。」
ルプはそう言うとただでさえ大きな体をもう一回り大きくする、フェンリルの本来の姿に戻った。
「フェンリル・・・」
ミシェールの顔には笑みが零れていた、千春はため息をつきながらルプに言う。
「ルプ、ほどほどにね。」
「そうだな、蘇生出来るくらいには原型をとどめておこうか。」
「それはほどほどって言わないね。」
喉の奥で笑いを漏らしたルプは、ゆっくりと大きな体を動かし、エイヒムのもとへ歩いていく、だが、その巨体に似合わず足音は一切しない。
ミシェールは剣を手に取り、静かにルプの前へと歩み出る、鋭い視線が交錯する中、エイヒムは二人を見つめ、短く声を発した。
「――始め。」
その一言を合図に、ルプはニヤリと牙を見せ、顎を少し動かした。
“来い”と言わんばかりの仕草。
ミシェールもまた薄く笑い、剣を構えて地を蹴る。
その動きはこれまでとまるで違った。三戦の中で何かを掴んだのか、足運びが軽く、踏み込みが鋭い。
ルプへ向けて疾走し、下から上へ・・・鋭い一閃。
すくい上げるような剣筋。
ルプはその一撃をわずかに体を逸らしてかわす。
だがミシェールは止まらない。すくい上げた剣をすぐに振り下ろし、ルプの前足を狙って切りつけた。
ルプは素早く前足を引き、逆に振り抜く。
その速度はミシェールの予想を超えていた。
刹那、空気が唸り、風圧が爆ぜる。
「・・・ッ!」
ミシェールの体はその風圧に押され、数歩、後方へと押し戻される。
だが、すぐに再び踏み込み、次の一撃。
二撃、三撃、四撃・・・。
連続で切り込むミシェール。だが、ルプは全てを軽やかにかわす。
銀の巨体が風のように揺れ、爪が地を掴む音だけが響く。
しかし、その一瞬の隙。
ルプが首をわずかに傾けた瞬間、ミシェールの剣が唸りを上げた。
「っらああッ!!」
狙いすました一閃が、ルプの顔面を正確に捉える・・・はずだった。
だが次の瞬間、鈍い金属音が響く。
ガキィン!
ルプは牙で、その剣を噛み止めていた。
剣身が軋み、ルプは目を細め、口をわずかに動かす。
バキンッ!!!
音を立てて剣が砕け散る。
「なーーっ!」
驚く間もなく、ルプの前足が一閃。
その巨腕がミシェールを薙ぎ払う。
ドゴン!
重い衝撃音。
ミシェールの体は宙を舞い、床を転がり、壁まで吹き飛ばされる。
ごろりと転がったまま、彼は動かなくなった。
静寂が落ちる。
エイヒムがわずかに眉を上げ、ルプが息を吐き呟いた。
「なかなかいい動きだ、よくやったな。」
千春たちは駆け寄る。
ミシェールの胸に手を当てる千春の顔は、少し苦笑いを浮かべていた。
「蘇生するよ!!!」
千春の言葉に青空と大愛が魔法を使う。
「「ヒール!」」
「千春!」
「はいよ!必殺!AED!」
「そろそろ必殺やめない?」
「こまけぇこたぁいいのよ。」
千春はニパッと笑い魔法を当てる、すぐにミシェールは目を開け天井を見つめる。
「・・・すごい、これが神獣。」
今回は意識もはっきりしていたのか、楽し気に呟く。
「また死んだよ?」
「だろうな・・・ありがとうチハル。」
「少し休みます?」
「いや、次はあの子だろう?」
ミシェールの視線はロイロに向いている、ロイロは腕を組み楽し気に微笑んでいる。
「まぁそうなんだけどぉ、ヤバいよ?」
「あれも仮の姿か。」
「うん。」
千春が頷く、ミシェールは立ち上がる、先程と同じ様に体を動かし状態を確認する、力がみなぎる、聖女の回復のせいか、体が成長しているのか・・・あきらかに思考と身体の動きがスムーズになっていた。
「さて、次は儂じゃな。」
ロイロはそう言うとエイヒムの前に行く、ミシェールが立ち上がると、エンハルトが剣を渡す。
「俺の剣じゃないか。」
「ああ、ロイロに鉄剣は木の枝と変わらないからな。」
「これはミスリルだぞ。」
「それで傷がつけば良いけどな。」
「・・・あの娘、ロイロは何者だ。」
「本人に聞いてみろ。」
エンハルトは悪戯っぽい笑みを浮かべる、ミシェールは無言になる、そしてエイヒムの前に行くと、ロイロは楽し気に話しかける。
「ミシェール殿。」
「なんでしょう。」
「この姿と本来の姿、どっちが良い?」
「・・・本来の姿を見せてもらいましょうか。」
ミシェールは美しい姿で微笑むロイロを見る、線は細く、貴族令嬢の様にも見える、そしてロイロを見つめていると空気がわずかに震えた。
熱を帯びた風が頬を撫で、光が集まる、次の瞬間、ミシェールの視界いっぱいに巨大な鱗が広がった、その姿を見たミシェールは思わず一歩下がる。
「ど・・・ドラゴン!?」
『うむ、ドラゴンと戦うのは初めてか?』
「当たり前だ、ドラゴンに喧嘩を売る人間なんていない。」
『さぁ、始めようかのぅ。』
ドラゴンの姿で笑うロイロ、ルプの巨大な銀狼姿の前でも平然と立てたミシェール、だがロイロの圧を感じたミシェールは足が震えている事に気付く。
エイヒムは2人を見る、そして声を掛けた。
「――始めっ!!!」
千春はそう言うと魔法を胸に当てる、パチンと軽い音が響くとミシェールの指がぴくりと動いた。
「どう?」
千春が問いかけると、花音が脈を計る。
「おっけ、生き返ったよ。」
花音の言葉と同時にミシェールは目を開ける、目の前には覗き込む8人の聖女と小さな子猿が申し訳なさそうに自分を見ていた。
「・・・あぁ、気を失っていたのか。」
呟くミシェールにエンハルトが答える。
「いや、お前死んでたぞ。」
「・・・あ、やっぱり死んだのか。」
「ああ。」
「いや、あれは死ぬだろ!」
最後に食らったサンジュの拳、速く重い拳はミシェールを吹き飛ばし、訓練所の壁を粉砕していた。
「ごめんうきぃ~。」
サンジュが謝ると、ミシェールは苦笑いで答える。
「いや、君は悪くない、そういう試合だからな。」
そう言うとミシェールは頭を上げ、手を数回握りしめながら体を確認する。
「問題無さそうだ。」
「それはそうだ、聖女8人が全力で回復したからな。」
エンハルトの言葉にミシェールは頭を下げる。
「ありがとう。」
「ごめんなさい。」
花音が謝ると、ミシェールは首を振る、そして立ち上がる。
「次は・・・」
「ミシェールさん、もうよくない?」
千春が問いかけると、ミシェールはまた首を振る。
「神獣と戦えるなんて光栄だ、こんな機会はそうそうない、しかも死んでも生き返れるんだ、やるに決まっている。」
恐怖や畏怖もない目、ミシェールの視線はルプとロイロを見る。
「いい度胸してるな。」
ルプはそう言うとただでさえ大きな体をもう一回り大きくする、フェンリルの本来の姿に戻った。
「フェンリル・・・」
ミシェールの顔には笑みが零れていた、千春はため息をつきながらルプに言う。
「ルプ、ほどほどにね。」
「そうだな、蘇生出来るくらいには原型をとどめておこうか。」
「それはほどほどって言わないね。」
喉の奥で笑いを漏らしたルプは、ゆっくりと大きな体を動かし、エイヒムのもとへ歩いていく、だが、その巨体に似合わず足音は一切しない。
ミシェールは剣を手に取り、静かにルプの前へと歩み出る、鋭い視線が交錯する中、エイヒムは二人を見つめ、短く声を発した。
「――始め。」
その一言を合図に、ルプはニヤリと牙を見せ、顎を少し動かした。
“来い”と言わんばかりの仕草。
ミシェールもまた薄く笑い、剣を構えて地を蹴る。
その動きはこれまでとまるで違った。三戦の中で何かを掴んだのか、足運びが軽く、踏み込みが鋭い。
ルプへ向けて疾走し、下から上へ・・・鋭い一閃。
すくい上げるような剣筋。
ルプはその一撃をわずかに体を逸らしてかわす。
だがミシェールは止まらない。すくい上げた剣をすぐに振り下ろし、ルプの前足を狙って切りつけた。
ルプは素早く前足を引き、逆に振り抜く。
その速度はミシェールの予想を超えていた。
刹那、空気が唸り、風圧が爆ぜる。
「・・・ッ!」
ミシェールの体はその風圧に押され、数歩、後方へと押し戻される。
だが、すぐに再び踏み込み、次の一撃。
二撃、三撃、四撃・・・。
連続で切り込むミシェール。だが、ルプは全てを軽やかにかわす。
銀の巨体が風のように揺れ、爪が地を掴む音だけが響く。
しかし、その一瞬の隙。
ルプが首をわずかに傾けた瞬間、ミシェールの剣が唸りを上げた。
「っらああッ!!」
狙いすました一閃が、ルプの顔面を正確に捉える・・・はずだった。
だが次の瞬間、鈍い金属音が響く。
ガキィン!
ルプは牙で、その剣を噛み止めていた。
剣身が軋み、ルプは目を細め、口をわずかに動かす。
バキンッ!!!
音を立てて剣が砕け散る。
「なーーっ!」
驚く間もなく、ルプの前足が一閃。
その巨腕がミシェールを薙ぎ払う。
ドゴン!
重い衝撃音。
ミシェールの体は宙を舞い、床を転がり、壁まで吹き飛ばされる。
ごろりと転がったまま、彼は動かなくなった。
静寂が落ちる。
エイヒムがわずかに眉を上げ、ルプが息を吐き呟いた。
「なかなかいい動きだ、よくやったな。」
千春たちは駆け寄る。
ミシェールの胸に手を当てる千春の顔は、少し苦笑いを浮かべていた。
「蘇生するよ!!!」
千春の言葉に青空と大愛が魔法を使う。
「「ヒール!」」
「千春!」
「はいよ!必殺!AED!」
「そろそろ必殺やめない?」
「こまけぇこたぁいいのよ。」
千春はニパッと笑い魔法を当てる、すぐにミシェールは目を開け天井を見つめる。
「・・・すごい、これが神獣。」
今回は意識もはっきりしていたのか、楽し気に呟く。
「また死んだよ?」
「だろうな・・・ありがとうチハル。」
「少し休みます?」
「いや、次はあの子だろう?」
ミシェールの視線はロイロに向いている、ロイロは腕を組み楽し気に微笑んでいる。
「まぁそうなんだけどぉ、ヤバいよ?」
「あれも仮の姿か。」
「うん。」
千春が頷く、ミシェールは立ち上がる、先程と同じ様に体を動かし状態を確認する、力がみなぎる、聖女の回復のせいか、体が成長しているのか・・・あきらかに思考と身体の動きがスムーズになっていた。
「さて、次は儂じゃな。」
ロイロはそう言うとエイヒムの前に行く、ミシェールが立ち上がると、エンハルトが剣を渡す。
「俺の剣じゃないか。」
「ああ、ロイロに鉄剣は木の枝と変わらないからな。」
「これはミスリルだぞ。」
「それで傷がつけば良いけどな。」
「・・・あの娘、ロイロは何者だ。」
「本人に聞いてみろ。」
エンハルトは悪戯っぽい笑みを浮かべる、ミシェールは無言になる、そしてエイヒムの前に行くと、ロイロは楽し気に話しかける。
「ミシェール殿。」
「なんでしょう。」
「この姿と本来の姿、どっちが良い?」
「・・・本来の姿を見せてもらいましょうか。」
ミシェールは美しい姿で微笑むロイロを見る、線は細く、貴族令嬢の様にも見える、そしてロイロを見つめていると空気がわずかに震えた。
熱を帯びた風が頬を撫で、光が集まる、次の瞬間、ミシェールの視界いっぱいに巨大な鱗が広がった、その姿を見たミシェールは思わず一歩下がる。
「ど・・・ドラゴン!?」
『うむ、ドラゴンと戦うのは初めてか?』
「当たり前だ、ドラゴンに喧嘩を売る人間なんていない。」
『さぁ、始めようかのぅ。』
ドラゴンの姿で笑うロイロ、ルプの巨大な銀狼姿の前でも平然と立てたミシェール、だがロイロの圧を感じたミシェールは足が震えている事に気付く。
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