異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

異世界デビューと新聖女!

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ピロン♪

 テーブル席で寛いでいた千春のスマホに通知音が鳴る、スマホを取り出し文字を打ち込む千春を見て志乃は眉間に皺を寄せる。

「・・・異世界でスマホ使えるの?」
「うん、シノも使えるよ、ギリWi-Fi届いてるから。」
「・・・あ、ほんとだ、だれから?」
「小学校の時からの幼馴染、ヨリって言うんだけど。」
「日本から?」
「んにゃ?今王都にいるらしい。」
「へー・・・え?王都にもWi-Fi届いてるの?」
「あー、アイトネー。」
 千春は日本の神々とソファーでお茶会をしているアイトネに声を掛けた。

『シノちゃんにもかけるのね♪』
「よろー♪」
『え~い♪』
 声かけはいらないが、アイトネはノリノリで手を振る。

「はい、シノもこの世界でスマホ使えるようになったよ。」
「どういうこと?」
「それはですねー、かくかくしかじかで~。」
「・・・わかんないよ。」
「神様のチート魔法だよ、ついでに持ってるだけでMPで充電できるようになってるから。」
 千春が説明すると、志乃はスマホを手にする。

「ホントだ・・・充電中になってる、意味わかんない。」
「便利っしょ♪」
「まぁありがたいけど・・・え?私MPあるの?」
「あると思うよ、アイトネー、シノって魔法つかえるー?」
 千春は再度アイトネに問いかける。

『属性は水ね、魔力はそこそこあるわよ、ブーストする?』
 アイトネは当たり前の様に問いかける。

「聖魔法使えると便利だし、どうせアイトネは神託スキル付けるでしょ?」
『♪』
「んじゃもう最初から10で。」
『おっけー♪』
「ねぇチハル、何の話をしてるのかしら?」
 千春とアイトネの会話を聞きながら首を傾げる志乃、千春はニコッと微笑み答える。

「シノも聖女のナカーマ♪」
「は?なにを・・・」
 志乃が問いかけようとすると、志乃の体がうっすらと光る。

「なにこれ!」
「新しいスキルと称号が付いたんだよ、ついでに聖魔法が使えるようになってMPも増えまーす♪」
「・・・聖女になったって事?」
「ぴんぽ~ん♪」
「ちょっと!大丈夫なの!?聖女って不遇扱いされるじゃん!」
 不安そうに答える志乃に千春が首を傾げた。

「なんで?」
「ほら!異世界に転生した聖女って国から追い出されたり、こき使われたり、国の為に他国と結婚させられたり!」
「何処情報なの?それ。」
「・・・アニメ。」
「アニメ見るんだ。」
「・・・うん。」
「好きなの?アニメ。」
「・・・大好き、異世界物とか最近よく見る。」
「おめでとう!異世界だよ!」
 千春は両手を広げながら言うと、志乃はジト目で千春を見つめる。

「大丈夫よね?」
「うん、大丈夫、だってほら、最強の味方がこちらに~♪」
 千春はソファーに座る女神アイトネ、そして同じ席に並ぶ宇迦之御魂、天照大御神、迦具夜比売命の方へ手を向けた、女神達は志乃の方を見ると微笑む。

『シノに悪意を向ける者には女神の鉄槌が落ちるから♪』
 アイトネが楽しげに言うと、宇迦之御魂も頷く。

「もう貴女は私たちの庇護下にあるわ♪この世界と日本の生活を楽しめばいいのよ♪」
「そうそう、でも私達の事を日本で話す事は出来ないから、もし説明する必要がある人がいたら何処の神社でも良いから呼びなさいね。」
 天照大御神が言うと、志乃は頷き返事を返す。

「はい・・・えぇ、千春、その、ヨリって子も日本の子だよね?」
「そだよー、あと、ミオとレナ、ソラにダイアとヒマリ、あとカノンって子もいるよ。」
「何人連れて来てんのよ!」
「え?7人だけど。」
「連れて来すぎでしょ!」
「まぁ良いじゃん、悪い人とか悪意持つ人は記憶消して帰って貰ってるし♪」
「そっか・・・ん?ちょっとまって。」
 千春の説明に頷いた志乃は、ふと嫌な考えが脳裏をよぎる、そして千春を見て問いかけた。

「もしかしてさ。」
「・・・なにかな?」
「私連れて来たのって・・・記憶消す為・・・じゃないよね?」
「・・・ソンナワケナイジャーン。」
「うわあああ!!!絶対そうだ!!!バレそうだから記憶消すつもりだったんだ!!!」
「消してないじゃん!聖女になったじゃん!ウカ様もアマ様も楽しめって言ってたじゃん!」
「結果論じゃん!」
「チッチッチ、結果が大事なのだよシノ。」
「かっこよく言ってもダメだからね。」
「くっ・・・あ、これ食べます?」
 テーブルに置かれたドーナツを、千春はスッと志乃の前に置く。

「・・・もうお腹いっぱいだよ、あーあ、どうしよっかなぁ。」
 お腹を擦りながら椅子にふんぞりかえり、天井を見上げる志乃、千春はクスッと笑い問いかける。

「なにか問題あった?」
「んー、めっちゃ遊びに来たいのはやまやまなんだけどさ、私の家ってめっちゃ遠いのよ。」
「んじゃこっちで生活したらいいじゃん、学校は私と一緒に行けばよろし♪」
「・・・親に何て言おう、1人暮らし許してもらえるかなぁ。」
 悩む志乃に千春は軽く答える。

「パパママも連れてきたらいいじゃん。」
「・・・は?何言ってんの?」
「だって一番早いよ。」
「なんて言えばいいのよ、『私異世界から学校行くから』って言うわけ?」
「私の家でシェアハウスする的な?って言うか連れてきたらいいじゃん。」
「だからなんで親連れてくんのよ!」
「だってさっき言ったメンバー全員の両親、こっちで生活してるもん。」
 千春が言うと、志乃は目が点になる。

「うそ・・・」
「ほんと~。」
「問題無かったの?!仕事とかは!?」
「あー、そこらへんも問題無いよ、ウカ様の会社に籍置いてもらって、こっちで領地運営とかすればおっけ~♪」
「ちょっとまって、チハル、私は記憶消されなかったから良いけど・・・両親はどうかわかんないよね?それに両親来るなら弟を1人に出来ないよ!?」
「高校生だっけ。」
「うん。」
「とりあえず連れてきたら?」
「どうやって?私じゃ説明できないよ!『ちょっと異世界に行くからついて来て』って言うわけ!?」
「うん。」
「おい!無理に決まってるでしょ!病院連れて行かれるわよ!」
 志乃は立ち上がり千春に言うと、千春はニコッと笑う。

「そこで力になるのがママさんズなわけですよ。」
「・・・なにそのママさんズって。」
「そのまま、私達のママ♪」
「協力してくれるの?」
「うん。」
「面倒事になるのに?嫌がられるんじゃない?」
「逆かなぁ、喜んで協力してくれると思うなぁ。」
 千春はそう答える、志乃は千春を見つめる、嘘をついているようには見えない、志乃自身もこの世界を楽しみたいと言う衝動に駆られていた、そして魔法という未知の力を試したい、聖女と言う称号も実は悪いと思っていなかった。

「・・・お願いしてもらっていい?」
 志乃は小さく呟くと、千春はニパッと微笑む。

「任せろー!みんな招集するわ♪」
 千春はスマホを取り出しアプリを開く、そしてLIMEを見つめ、ぽちぽちとスマホをタップすると、画面を見せる。

「はい、友達登録しとこ♪」
「今!?」
「ついでだよついで♪」
 QRコードを見せる千春、それどころでは無い志乃はため息をつくと、スマホの画面を開き、QR読み込み画面を開いた。





◆◇あとがきてきななにか!◇◆

応援、お祝いのコメントありがとうございます!
物語が終わりに近づく事にも皆様の声を沢山いただき、とても感謝しております。

その件に関して、事情が色々と急変しております
私事のこともあり、物語を一度終わらせる必要があったのですが・・・
終わらせなくても良くなってしまい、終わらせる予定で動いていたのですが・・・

最終的にはどっかで終わるんですが!まだしばらく終わらないって感じで良いっすか?
理由に関しては、後日、いや、年内・・・いや、年始?結構先になるかもしれませんが、お伝えさせて頂きたいと思います!

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