異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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大掃除!

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「はぁ、ビックリしすぎて冷静になれたわ、それで、チハル今日の予定は?」
「一度向こうに行って通知確認して大掃除します。」
「大掃除?」
「はい、向こうは年末なので恒例行事なんですよ。」
「そう言う時期なのね、そちらは。」
「はい、明日は大晦日で今年最後の日になります。」
「それじゃぁ明日は向こうで過ごすのかしら?」
「そうですねぇ、深夜まで起きてますし次の日はお正月なので、初詣に行くんです。」
「ハツモウデ?」
「私の国は神社で神様に今年もよろしくお願いしますって挨拶に行く日なんですよ。」
「・・・・・チハル神託出来るのよね?」
「はい、アイトネに貰いましたね。」
「それじゃぁ向こうの神様にもチハルの声届きそうね。」
「・・・・とどくのかな?」
 千春はロイロを見る

「届くじゃろうなぁ。」
「行くのやめとくか……」
「別に良いじゃないの、向こうでも神様とお友達になれるかもしれないわよ?」
「いやいや、そうはならないですよ!」
「まぁ恒例行事なら行けば良いじゃない、チハルに何かする訳でもあるまいし。」
 やっと落ち着いたマルグリットはケーキを一口食べ紅茶を飲む。

「とりあえず日本に戻って来ますね。」
 千春は立ち上がりマルグリットに挨拶をするとサフィーナとロイロ3人で門の部屋まで戻って来た。

「チハルおねえちゃんおかえりなさい!」
「はーいただいまー。」
 スマホを取り出し通知確認し返信を返していく。

「ほう、これが門か。」
 ロイロは門や魔法陣の周りを歩き見て回る。

「ふむ、儂等の魔法陣に似てるが、だいぶ弄っとるのー。」
「ロイロの所の魔法陣で門を開けたって事?」
「そうじゃの、文献として残ってたんじゃろ、それを改造した感じじゃのぅ。」
「これあと数年で消えるから、そうなったらもう来れなくなるのか。」
 千春はユラの頭を撫でながら呟く。

「大丈夫じゃぞ?そことそこ、あとここじゃな、魔石に魔力を貯めて置けば補充されて維持出来るぞ。」
「マジか!ロイロ素敵すぎる!」
「はっはっは!ケーキとウイスキーで良いぞ。」
「しゃーない、お酒はお父さんに頼んどくよ。」
 千春は懸念していた門の消滅が思わぬ解決で大喜びだ

「よし!それじゃ向こうで掃除して来るね!」
「チハル私も手伝いますよ。」
「マジ?たすかるー。」
「私も手伝いまーす!」
「モリーはこっちに居て。」
「何でですか!」
「絶対何かしでかす、こっちでユラちゃん見ててよ。」
「チハルおねえちゃんわたしもてつだうー!」
「ありゃ、それじゃぁモリーお留守番よろしく。」
「チーハールーさーん!」
「冗談だよ、それじゃぱぱっと終わらせますか。」
「儂もそっちに行ってみたいぞ。」
 扉の前に居たロイロの手を取り扉をくぐる

「むぅ、コレは中々。」
「どうしたの?」
「魔力が無い世界は初めてでな、これは魔法は使えんの、10倍の魔力を使ってもキツイわ、人化はスキルで解けぬが掛けてる魔法は消えるわ。」
「そんなにかー、とりあえず皆んな連れてこよ。」
 3人を連れて日本へ戻り窓拭きや床拭きの拭き掃除を任せ、千春はゴミ捨て等を終わらせる。

「よーし、粗方終わったね、ご褒美にオヤツでも買いに行くかー。」
「はーい!チハルさん私も行きたいです!」
 モリアンが手を挙げ立候補する。

「まぁ良いけど、何食べたい?」
「ケーキ?」
「ケーキがいいです!」
「ケーキですかねぇ。」
「ケーキじゃの。」
「皆んなケーキか。」
 翻訳指輪をモリアンに渡して2人はコンビニのスイーツコーナーへ向かう。

「モリーどれが良い?」
「ふぁぁ!無理です選べないです。」
「いっぱい種類あるもんね、それじゃ適当に選ぶか、1人2個くらいは食べそうだね、ショート1個とシュークリーム1個で良いか。」
 2個入りケーキを3つとシュークリーム5個をカゴに入れドリンクコーナーへ行く、飲み物もいくつか入れ精算を済ませる。

「こっちのお店すごいですねー。」
「そだねー、向こうと比べると凄いよね、私はこれが普通なんだけど。」
 2人は家に帰り着くとお菓子を広げる。

「あまいにおいー。」
 うっとりとした顔でユラが微笑んでいる。

「では取り分けますね。」
「モリーこれ並べてー。」
 サフィーナはケーキを分け千春はグラスをモリアンに渡す。

「では!大掃除ありがとう!お疲れ様のかんぱーい!」
 千春がグラスを掲げるのを真似して皆んながグラスを上げる。

「んー!コンビニスイーツ最強だね。」
「本当美味しいですね、ルノアーさんに試食させたらまだ上手になりそうです。」
「るのあーさんのケーキもおいしいよ!」
「どっちも美味しいです!幸せです~、あっ1個余ります!」
「それは魔法陣の事教えてくれたロイロ行きでーす。」
「それじゃ頂くぞ。」
 5人はシュークリームもペロリと食べ綺麗になったリビングで寛ぐ。

「千春ー?」
 扉からひょっこり大樹が顔を出して千春を呼ぶ。

「お父さんおかえりー。」
「ただいま、何してるんだい?」
「大掃除、今終わって休憩中。」
「あー、もう明日は大晦日かー、お疲れ様ありがとうね。」
 千春は大樹の手を取り日本に戻る。

「宰相さんとの話しとか終わったの?」
「あぁぼちぼちね。」
「どうしたの?」
「開発者としての葛藤がね、どこまで教えて良いものかと思ってねぇ。」
「例えば?」
「エネルギー問題だね、魔法を使う動力を考えていたけど魔力って何処から発生してるのか、無限に有るエネルギーなんてあり得ないからね、既に頭の中で物理的法則は崩壊してるけど根本的な事は残ってるから。」
「ほう?良い所に目を付けるのチハルの父は。」
「どゆこと?」
「儂の世界が終末を迎えたのはそれじゃからな、一度便利な事を知ると人はもうそれを捨てれない、そしていつかは使い切る、分かっていても止まらんのじゃ。」
「今の地球と一緒だね、だからエネルギーや自然破壊の前に植林やエコロジーの話しを押さえてから進めるべきだ、時期尚早だねぇ。」
 ウンウンと大樹とロイロは頷いていた。

「それで結局宰相さんには何を教えたの?」
「千春が教えたって言う塩田の水汲み方法と、農業の肥料でどんな種類が有るかとか何に何が含まれてるかなんて事、後は今教えて大丈夫そうな回転から生み出すエネルギーの使用方法とかだね。」
「うん、分かんない事がわかった、宰相さん分かってた?」
「うんにゃ、半分も分かってないと思うけど、メモしてたし後は自分達で考えていくよ、全部教えるより自分達で調べた方が為になるからね、ところでお父さんのケーキは?」
 ケーキの食べかすを見て大樹は千春にケーキをねだる。

「ちょっとまってねー。」
 千春は扉を通りアイテムボックスを開けルノアーが作ったケーキを出し大樹に渡す。

「ほい、これ料理長に教えたら作ったケーキだよ食べてみて。」
「へぇ、いただきます。」
 大樹はフォークで一口食べると目を見開く。

「千春これ日本のケーキより美味しいよ?」
「でしょー、魔法で生クリームを精製してスポンジケーキはメレンゲでふっくら仕上げだからね。」
「こりゃ美味しいな。」
 大樹はあっという間に食べ終わり一息つく。

「タイキ様どうぞ。」
 サフィーナが紅茶を出し食器を片付ける。

「ありがとうサフィーナさん。」
「お父さん明日大晦日だけど何か予定あんの?」
「んー、おじいちゃんの所は流石に遠くて行けないし予定は入れてないからなー、掃除も終わっちゃった感じなんだろう?」
「うん、完璧!」
「そっか、それじゃ年越しそば食べてテレビ見て終わりかなぁ。」
「つまんない年越しだなぁ。」
「千春は初詣行くのかい?」
「それがね、アイトネが神託スキルってのを付けてくれたせいで神社でお参りすると日本の神様に声が届いちゃうみたいなんだよね。」
「アイトネって誰だい?」
「ん?女神様。」
「あぁぁ!そうだよ!女神様とかドラゴンとか友達になったって言ってたよね!」
 大樹は千春が大事な事をサラッと言って去って行った事を思い出した。

「うん、因みにドラゴンはそこに居るロイロね。」
「なっ!?」
「よろしくのぅチハルの父よ、タイキだったかの?」
「あぁよろしく、お友達なの?」
「正確に言うと契約して魂の共有しちゃってるんだけどね。」
「・・・詳しく。」
「千春が死ぬと儂も死ぬ、逆もしかりじゃ。」
「・・・ほんとなの?」
「本当らしいよ、ただロイロはドラゴンであっちの世界で最強種らしくて、寿命も数千年あるらしいから、死ぬのは私が先なんだけどね。」
「ロイロちゃんはそれで良いのかい?」
 色々心配になった大樹はロイロに問いかける。

「成り行きとは言え契約したのは変わらぬ、それに儂は転生が出来るのでな、死は終わりでは無いのじゃよ。」
「そっか・・・それで、女神様は?」
「そっちの世界の星の管理者が正式名称で、人から見たら女神様、ケーキ食べたいからまた呼んでねって友達になって、神託スキル押し付けられたらもれなく聖女って称号まで付いてきた。」
「・・・・・うん、情報量多すぎ。」
「だよねー、まぁ無害だから。」
 ケラケラと笑いながら大樹に話す。

「それで、神託スキルを使うと女神様が返事してくれるの?」
「一回呼んだら返事と言うより横に居たね。」
「フットワークの軽い女神様だね、それじゃ日本で普通に呼びかけたら神様来るのかな?」
「どうなの?ロイロ。」
「来ないじゃろう、返事もないと思うぞ。」
「なんで?」
「管理者、その神を認識か意識して呼ばんと返事は無いじゃろ、ただ神社じゃったか?儂らの世界で言う神殿で呼びかければそこの神に聞こえるじゃろな。」
「そう言う事ねー。」
「ロイロちゃん危険は無いんだよね?」
「無いじゃろ、返事くらいはしてくるかも知れんがな。」
「返事もいらないよー。」
 ホッとする大樹と嫌がる千春。

「よし!それじゃ千春明日の準備をしよう。」
「掃除はしたよ?」
「年越しそばとか鏡餅とか、お雑煮とか買い物あるだろ。」
「そうだね、それじゃスーパー行って来るよ。」
「それでは私がお供しますね。」
「うん、サフィーお願い、それじゃみんなお留守番しててねー。」
「「はーい!」」
「儂はひと眠りさせて貰おうかの。」
「ロイロ床で寝ないでね、私のベッド使っていいから。」
「わかったぞー。」
「いってらっしゃい千春気を付けてね。」
 ロイロをベッドに連れて行き、サフィーナを着替えさせ年末の買い出しに2人はお出かけした。




 

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