異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

オーレン公爵領のフランちゃん!

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「エンハルト王子殿下!?」
 急いでゴンドラに向かったピリス夫人は、千春の前に立つエンハルトを見て礼をする。

「ピリス夫人、急な来訪すまない。」
「いえ!そんな事は御座いません、宜しければ中でお寛ぎ下さいませ。」
 ピリスはエンハルトに言うと、千春の方を見る。

「チハル王女殿下、ようこそフィアー侯爵領へ。」
「おじゃまします♪あ!ヤーテちゃん!」
 ピリスの後ろで礼をしていたヤーテをロックオンした千春は、楽しそうに声を掛けると、ヤーテも笑みを浮かべ話す。

「ようこそ、チハル様。」
「様きんしで。」
「・・・チハルさん。」
「おじゃまするね♪」
「は、はい・・・あ。」
 ヤーテは千春の後ろで騒ぐ頼子達の横にぽつんと立つテールキを見つけ、目を見開く、テールキは視線に気付き、苦笑いで手を振る。

「あ、そうだ!フランちゃん迎えに行こう!」
 千春はそう言うとエンハルトを見る。

「ああ、サフィー後は頼む、俺はピリス夫人と話しをしてくる。」
「了解しました。」
 エンハルトはそう言うと、ピリスと屋敷に入っていった。

「それじゃリリ、オーレン公爵領にフェアリーリングお願い♪」
「どこにつくろうかしら~♪」
「ヤーテちゃん、フェアリーリング何処か作って良い?」
「そちらのガゼボのある庭園でしたらどこでも宜しいですが。」
 屋敷の奥、花は咲いていないが、寒さに強いのであろう緑の葉が生い茂る庭園を指差す。

「さんきゅー!それじゃリリ、そっちにおねがーい♪」
「おっけー♪」
 リリはクゥクゥとレゥレゥの妖精3人でフェアリーリングを作り皆でオーレン公爵領へフランシスを迎えに行った。


----------------------------


「ピリス夫人、すまないな。」
「謝らないで下さいませ、チハル王女殿下、いえ、聖女様が御出でになる事は領を持つ貴族として名誉や誇りで御座います。」
「そう言ってもらえると助かる。」
 エンハルトはメイドが淹れたお茶を口に含むと、ピリスが申し訳なさそうに問いかける。

「その、それで、どういったご用件で?」
 領主ケイルスからの通信を又聞きとはいえ聞いていた、しかし他に理由が有るのでは?とピリスはエンハルトを見る。

「遊びだな、本来であれば公務として領地視察するべきだろうが、今日は完全な遊びだ。」
「・・・そう・・・なのですか?」
「ああ、だから気を使う必要はない・・・と言っても無理だろうが、何が起きても問題にはしない、気楽に対応してくれ。」
 フッと笑みを浮かべるエンハルト、後ろに立つ大きな虎獣人エーデルと、起立したまま動かないホーキンも微笑み頷く。

「は、はぁ、わかりました。」
「あ。」
 ピリスが答えると、直ぐにエンハルトが声をもらす、ピリスはビクッとしながらもエンハルトを見て問いかける。

「如何なされました?」
「いや、食事の準備はしなくて良い、材料だけ準備してもらえると助かる、勿論費用は払う。」
「勿論準備させて頂きます、お金の方も大丈夫です。」
「イヤぁ、そう言う訳にもなぁ。」
 急に軽く話始めるエンハルトはエーデルを見る。

「そうですね、今回はドラゴンも多い、ルプ殿達も勢揃い、多分あの方々も呼ばれるでしょうから、相当消費するでしょうね。」
 エーデルが言うと、横で肩を震わせ笑うホーキンは呟く。

「どんな料理を作られるか分かりませんが、牛1頭は消えるのでは?」
 ホーキンの言葉を聞きエンハルトがふと考えながら答える。

「そうだな、まだ時間も早い、チハルの事だ、今から領都に行って食材を買いに行くとか言いそうだな。」
「言いそうですね。」
「言いますね。」
 エンハルトは2人に相槌をうたれ、ピリスを見る。

「ピリス夫人、食材は多分必要ないな、間違いなく領都に行くだろ。」
「は、はぁ、それではお部屋の準備はさせていた居ても宜しいでしょうか?」
「ああ、頼む、予定では3日ほど滞在するつもりだ。」
「はい、承りました、エンハルト王子殿下、フィアー侯爵領をごゆっくりお楽しみくださいませ。」
 話を聞き、ホッとした顔でピリスは言うと、エンハルトは頷き微笑んだ。


----------------------------


「・・・チハルさん。」
 フランシスはソファーに座り、前に座る千春を見つめながら話す。

「はい。」
「いくら王女殿下でも、貴族の領都に連絡無しで行くのは問題ですよ?」
「はい、ごめんなさい。」
「フランシス、それくらいで・・・。」
「いいえ、テールキ、王都からフィアー侯爵領までは早馬でも10日、せめて手紙が届くのを確認してから行くべきです。」
 オーレン公爵領、領都邸の応接間、フランシスにこんこんと叱られる千春、頼子達は遠巻きに見ながら肩を震わせながら笑いを堪える。

「ごめんなさい。」
「フランシス、お父様が是非にと言われたの、チハル様は悪くないのよ?」
 ヤーテも千春を庇いながらフランシスに言うと、フランシスはため息をつく。

「わかりました、そう言う事も踏まえてと言う事なのですね、サフィーナ様。」
「ええ。」
「サフィーナ様もチハルさんの事となると甘くなりますものね。」
 チラッとサフィーナを見るフランシス、サフィーナはニコッと微笑み返した。

「・・・はぁぁぁ、それで、皆でフィアー侯爵領に遊びに行くわけですね。」
「そう!寒くなって来たけどヤーテちゃんちは比較的暖かいらしいから!あと畜産!」
 急に元気に答える千春にフランシスも笑みを零す。

「わかりました、それでは準備致しますので少しお待ち頂いても宜しいですか?」
「ん?準備?」
「ええ、3日滞在するのですよね?」
「うん、でもフランちゃん達のお出かけセットは準備してるよ。」
「え?」
 千春が言うとサフィーナが答える。

「チハルに連れて行かれる方々の準備はしてますよ。」
 フランシスは呆れたようにサフィーナを見て千春に視線を移す、千春はドヤ顔でサムズアップしていた、それを見ていた頼子はボソッと呟く。

「フランちゃんつえぇ~。」
「こっちで一番チハル被害多い子だもんね。」
「なに?チハル被害って。」
「一番苦労させられてるって事じゃね?」
「あー把握した。」
「そしてチハルは反省しないと。」
 頼子達の声が聞こえ千春はチラッとフランシスを見る。

「大丈夫ですよ、慣れましたから♪」
「えへへ。」
「でも反省はしてくださいね?」
「はーい。」
「それでは母に一言伝えてきますので、少々お待ちください。」
 フランシスは微笑み立ち上がると部屋を出て行った。

「・・・はぁぁぁぁ!!!フランちゃんこえええ!!!」
「チハルの事を思って言ってるんですよ。」
「わかってるよぉ、まさか叱られると思わなかったわ。」
 千春が言うと、ヤーテとテールキも苦笑いで頷く。

「まさかチハルさんを叱るなんて、驚きました。」
「私もです。」
「チハルさん叱る人が一人増えましたねぇ~♪」
「なんでモリー嬉しそうなん?」
「え?べべべべべべつにウレシクナイデスヨ!?」
「いや!私が叱られてる時笑い堪えてたじゃん!」
「キノセイデス!被害妄想です!」
「いーや!絶対楽しんでたね!」
 ギャイギャイと騒ぎ始める千春とモリアンにサフィーナが言う。

「モリーも叱られてきなさい。」
「イヤです!公爵令嬢のフランシス様に叱られるとか!お父様に叱られるより怖いです!」
「モリー、一緒に叱られよう!」
「イヤです!」
「チハル、モリー。」
「「はい!」」
「叱られないようにしなさい。」
「「・・・はい。」」
 サフィーナに言われショボンとする2人、そしてそれを見ていた頼子達は笑い転げた。





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