異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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朝からみんな大忙しだあ!

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「チハル、儂らは行くぞ。」
「は~い、いってらっしゃーい、暴れるのは程ほどにねー。」
「チハル様、ありがとうございます♪」
「クラータさんも気を付けてね♪」
 千春は王都に向かうロイロ達に声を掛ける、デミオーガのクラータはニコッと頷くが、横からユーリンが突っ込む。

「デミオーガで一番強いクラータちゃんに・・・何を気を付けろと言うんだかねぇ。」
「そうなの?」
 ユーリンの言葉に千春が言うと、大将セルロ達が頷く。

「それは立場的にって事じゃん?」
「ちがうんだなぁ~♪」
「ほれ!行くぞ、ユーリン、シャルルは儂に乗れ。」
「ほいほーい、それじゃチハルちゃん行ってきまーす♪」
 ユーリンとシャルルはドラゴンに変化したロイロの背に、クラータ達デミオーガは、ジブラロールから連れて来られたドラゴンの背に乗ると、ストーノク王都に向かって飛んで行った。

「王都にドラゴンで行ったら大混乱じゃね?」
 頼子は朝ごはんのローストクルゥトクサンドを頬張りながら呟く。

「好きな様にさせておこ、止めても勝手にやるんだし。」
「千春みたいだね。」
「はぁ?私はちゃんと・・・ちゃんと・・・分別を・・・ねぇ?ハルト。」
「・・・ソウダナ。」
「ハルトぉ?!」
 クックックと笑いながらコーヒーを飲むエンハルト、横ではアリンハンドも笑っていた。

「パパさんズ達はさっさと宰相さんの所に行っちゃったからなー。」
 青空もサンドイッチを口にしながら大愛と話していた。

「ママさんズは?」
「セレスティア様と商会の話してるはず、昨日、あれから一緒にお風呂入って、髪の毛徹底的にケアしたらしいから。」
「・・・そりゃ商会の話するわぁ。」
 聖女達は朝食をとりながら、のんびりと過ごしているとノックが鳴る。

「はーい!」
 千春が返事をすると、サリナが客間の扉を開ける、入って来たのはサラマンド王だ。

「御機嫌麗しく、神聖女チハル様。」
「おはようございます!あと、神聖女はちょっと・・・。」
 苦笑いで答える千春、そして外が騒がしくなる、サラマンド王はバルコニーになった窓の方へ向かうと、千春も向かう、二階のバルコニーから下を覗くと、王城の庭園が眼下に広がり、そこにはパパドラとママドラ、そして沢山のドラゴンや妖精が飛び回っていた。

「うわぁ、沢山連れて来たなぁ。」
 千春は楽し気に言う、サラマンド王は千春に礼をする。

「お力添えと言う事で、お呼びいただきありがとうございます。」
「あ~、まぁ私が呼んだわけじゃないんですけどねぇ、これ見て驚きませんでした?」
「・・・倒れそうになりました。」
「デスヨネー。」
 バルコニーから顔を出すと、ママドラが人型に戻り、背中から翼を出すと、千春の所まで飛んで来た。

「おはようチハル。」
「おはよー!沢山連れて来たねー。」
「ウチの子ばかりだけれどね、後でヴレェーンァーンツの里の子も来るわよ。」
「えぇ~パパドラさんの所も連れて来るの?」
「あの子達は今からこの国の兵士を乗せて、領都に乗り込むから。」
「あ、言ってたね。」
 千春が渡した問題の貴族達、一部の貴族は領都に居る為、身柄を確保出来なかった、そしてパパさんズの提案で、ドラゴンを使い貴族を取り押さえると言う話になったのだ。

「それじゃ、兵士さん達、行ってらっしゃい!」
 バルコニーから庭園を見下ろし、千春はドラゴンの背に乗る兵士達を見送った。兵士達はドラゴンの咆哮とともに空へと飛び立ち、王都や領都へ向かっていった。

「賑やかになりそうだなぁ。」
 千春が微笑むと、サラマンド王の執事が王へ耳打ちをする。

「陛下、ルネスト・デュラン侯爵が登城されました。」
「そうか・・・神聖女様をお引き合わせしたいと思うのだが、よろしいかな?」
 サラマンド王が振り向いて千春に問う。

「え?あ、はい、大丈夫ですよー、暇ですし。」
 千春が軽く頷くと、近くの頼子達を見る。

「パース!」
「チハル、がんばれー!」
 手を振る頼子、エールを送る日葵、皆は千春に手を振る。

「・・・ぷくっ。」
 千春は頬を膨らませ、不満げにエンハルトを見る。

「可愛い顔が台無しだぞ?」
 エンハルトが茶化すと、千春はむくれてみせる。

「ハルトぉー?・・・もう、行ってくんねーっ!」
 笑いながらエンハルトはサフィーナ、サリナと共に千春の横につく。

「それでは・・・」
 サラマンド王に導かれ、千春達は謁見の間へと歩を進めた。
 謁見の間は豪奢な調度品と高い天井、黄金の装飾が施され、神聖女と王の席は数段高い場所に設けられていた。

「ここにお座りくださいませ。」
 案内され、千春は小さな玉座にちょこんと腰かける。

「なんか落ち着かないなぁ・・・。」
 足をぷらぷらさせながら呟くと、サラマンド王は苦笑する。
 その時、謁見の門が開かれた。
 ルネスト・デュラン侯爵を先頭に数人の貴族達が姿を現し、王と千春の居る高台を見上げ、深々と膝をつく。

「サラマンド王陛下、並びに神聖女様、御機嫌麗しゅうございます。」
「おはようございます♪神聖女慣れないなぁ・・・(ボソッ)」
 千春が手を振り笑顔を見せると、ルネスト侯爵は一瞬目を丸くしてから視線を落とした。

「陛下、庭園にドラゴンが多数おりますが・・・これはいったい?」
 別の貴族が恐る恐る問いかける。サラマンド王は頷き、説明を始めた。

「領都に潜む問題貴族を確保するため、兵を送り出した、あの者達は我が国の安全を守るための任務だ。」
「ははぁ・・・。」
 貴族達が小声で囁き合う中、扉が開き、兵士が一人の男を拘束して引き連れてきた。

「シュトレト・スタキス公爵、連行いたしました!」
「ふんっ!何たる無礼だ、サラマンド王!」
 睨みつけるようにサラマンド王を見据えるスタキス公爵、王は静かに告げる。

「捕らえる際にも申したはず、自らの行いを分かっているのだろう?」
「ふざけるな!」
 スタキス公爵は神聖女の方へ顔を向けると、怒りのあまり叫んだ。

「この偽聖女に誑かされたのだろう!」
 だが、千春はにっこりと笑顔を崩さない。

「いえいえ、偽聖女じゃないですよー。」
 すると公爵は、千春を侮蔑するように笑い、彼女の胸元を見やった。

「はっ! こんな小娘に騙されおって!年端もいかぬ子ではないか!」
 千春は「18で~す」と軽く返したが、公爵は鼻で笑った。

「はぁっ、こんな発育の悪い娘が好みだったか!」
「・・・・・・。」
 千春の笑顔のまま、頬がピキピキと引きつる、サフィーナとサリナはため息をつき、エンハルトは顔を手で覆い天を仰いだ。

「モ~トさ~ん♪」
 千春は甘い声で呼んだ。すると彼女の隣に冥界の神モートが現れる。

「サラマンド王♪この人から聞き出す情報、ありますぅ?」
 モートに視線を向けた千春。サラマンド王は一瞬硬直し、首を振った。

「・・・い、いえ、この者が首謀者と判明しております。他のことは別の貴族から。」
「ふふ~ん、じゃあ・・・。」
 千春は微笑みを絶やさず、モートに囁くように言った。

「モートさん♪この方に慈悲を♪」
「ふっ・・・ああ、肉体ごと連れて行ってやろう。魂の浄化は早く済むからな。」
 モートは穏やかに微笑み、パチンと指を鳴らした。するとスタキス公爵の姿は一瞬にして掻き消え、モートも消え去った。
 残された侯爵達は、一部始終を見届け、呆然としたまま瞬きすら忘れていた。次の瞬間、意識を取り戻した彼らは、一斉に千春の前に深く跪いた。

「・・・・・・。」
 千春は、いつものように笑顔を浮かべていた。





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