異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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閑話:夏だ!海だ!海の家だっ!

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「右ーっ!もうちょっと右ーっ!」
「ちがうのですーっ!今のは左なのですーっ!」
「ちょっと、どっちなのっ!」
 目隠しをしたイーレンが、棒を片手に砂浜をよろよろと歩いていた、周囲ではユラとイーナ、玲と悠希が声を張り上げて誘導している。

「もうちょっと前っ!」
「いいよレンちゃん!そこ!」
 棒が振り下ろされ、パァンッ!と小気味よい音が響く、見事、スイカが真っ二つに割れた。

「やったーっ!」
「レン、かっこいいのですーっ!」
 子供たちが歓声をあげる中、玲の母真冬が割れたスイカを広げたシートごと丁寧に受け止め、手際よくスプーンで実をすくってプラスチックのコップに入れていく。

「えっ・・・これ、シャーベットになってる?」
 イーレンが覗き込んで声をあげる。

「ええ、ちょっとだけ冷やしておいたのよ、冷たい方が美味しいでしょ?」
 真冬が静かに微笑む。

「つめたーいっ!」
「しゃりしゃりしてるのですーっ!」
 スイカシャーベットを頬張ったユラとイーナは、頬を染めてうれしそうに叫ぶ、口いっぱいに冷たい果実を詰め込んだイーナは、頭を抱えてうずくまった。

「うう・・・あたま、キーンってしたのです・・・」
「そろそろ、お昼にしようか」
 茜が車の方を指さす、すぐ近くに海の家が見えていた。

「うん、そうね、子供たちもそろそろお腹すいた頃でしょうし。」
 真冬も頷いて立ち上がった。
 ぞろぞろと海の家へ向かう一行、広々とした座敷席に落ち着くと、みんなでメニューを広げた。

「読める?」
 真冬がユラたちに尋ねると、ユラが元気よく答える。

「うん! ええと・・・カレー、ラーメン、イカ・・・やき? かきごおり!」
「すごいね~、ユラちゃん」
 悠希が笑いながら拍手を送る。

「カレー!わたしはカレーにする!」
 即決のイーレンに、イーナも手を上げる。

「イーナもカレーにするのですっ!カレーは美味しいのです!おいしいはせいぎってミオも言ってたのです!」
「じゃあ、ユラもカレーにする!」
 異世界組3人は息ぴったりだ。

「わたしはやきそばー。」
「冷やし中華がいいかな。」
 玲と悠希もそれぞれ好みの料理を決める。
 母たちもメニューを眺めながら話す。

「わたし、きゅうりの一本漬けと・・・枝豆にしようかしら」
 茜がつぶやくと、真冬がちらりと横目で見た。

「呑むの?呑むなら、コテージまで私が運転するわよ?」
「ほんと?いいの?」
「もちろん。今日の準備、ぜーんぶ茜がやってくれたんだもの、それくらいはさせてもらわないと。」
「でも、子供たちを見てなきゃだし・・・」
「一杯くらいじゃ酔わないでしょ?」
 その言葉に背中を押され、茜は嬉しそうに中ジョッキを注文した。

「子供たちの飲み物は? なにがいい?」
「らむねー!」
「らむね!ビー玉のやつー!」
 玲と悠希が元気に言うと、ユラたちは首をかしげる。

「らむね……?」
「美味しいよ! シュワーってするの!」
「飲んでみたいのですー!」
「ユラも飲む!」
「わたしも!」
 しばらくして、次々に料理が運ばれてきた。皆の目がキラキラと輝く。

「いただきまーす!」
 わいわいと楽しげに食べ始める子供たち。だが、イーナが一口カレーを食べると、ぽつりと呟いた。

「カレー・・・具が少ないのです?」
 ユラもスプーンでカレーをまさぐる。

「でも、おいしいよ?」
「それねー、こういうところのはレトルトなのよ。」
 茜がにこにこしながら言う。

「れとると・・・?」
 イーレンが小首をかしげる。

「うん、長持ちするように袋に入れて加熱してあるカレーなのよ」
 真冬が丁寧に説明する。

「へえ・・・あっちでも、そういうの作れたら便利かもって思いました。」
「それなら、千春ちゃんのお父さんたちに言えば、何とかしてくれるかもね?」
「うん!」
 話はそこまで、すぐに子供たちは再びカレーに夢中になった。
 食べ終わると、瓶のラムネに挑戦する異世界組。だが・・・

「ビー玉が・・・じゃまなのですー!」
「これ、どうやってのむの!?」
「つっかえてる・・・もうっ!」
 困り顔の3人に、悠希がゲラゲラ笑いながら教える。

「ほらここのくぼみに、ビー玉を引っかける様にして飲むんだよ。」
 説明を聞き、ようやく上手に飲めるようになると、ユラたちは目を丸くした。

「しゅわしゅわ、のどがびっくりするのですーっ!」
「おいしいー♪」


-------------------------

「いたいた、こんなところにいたのね。」
 海の家の座敷に声が響いた、振り向くと、ライフセイバーの赤いジャケットを腰に巻いた人魚の静が、袋を抱えてこちらに近づいてくる。

「静さん!休憩中?」
「うん、もう上がりよ、あっ、茜さん、今日コテージ泊まりでしょ?」
「え? うん、そうだけど・・・」
「じゃあ、夜はバーベキューでしょ?はい、これ。」
 静が茜に袋を手渡す。ずしっとした重みがあった。

「え、えっ、なにこれ?」
 茜が袋を開けると、そこにはツヤツヤとしたアワビ、トゲトゲのサザエ、ほかにも新鮮そうな貝類がたっぷり詰まっていた。

「えぇぇえ?!いいの、高級食材じゃない?!」
「楽しんでね♪子供たち、海遊びがんばってたし。」
「静さんが獲ったの?」
 真冬が尋ねる。

「ううん、仲間よ、今日潜ってた海女たち、ちゃんと漁業資格もあるから大丈夫、売る分とは別で、みんなで『差し入れしよう』って。」
「本当にいいの?これ、すっごい量だよ?」
「いいのいいの、うちの海女たち、張り切りすぎてさ~。夕方には港に戻るって言ってたから、私が預かってきたの。」
「しずさん、ありがとうーっ!」
 話を聞いていたユラたちが声をそろえて叫ぶ。

「いーえ♪じゃ、私はそろそろあがるね。日焼け止め忘れずにねー!」
 静はひらひらと手を振って、海岸のほうへ歩いていった。

「・・・なんか、すごいな、人魚界。」
「いやもう、ありがたすぎて泣きそう・・・」
 母2人は袋の中を見ながら呟く。

「夜ごはん、めっちゃ楽しみなのですーっ!」
「あっちでも人魚さん、た~~~くさん!獲ってくれてたよ♪」
「たのしみ~♪」
 子供たちのテンションは急上昇だ。
 その後、一行は海岸に戻り、砂浜で思い思いに遊び始めた。

「こっち手伝ってー、くずれちゃう~。」
「おっきなお城作るのですーっ!」
「この貝がら、飾りに使おう!」
 玲とユラがタオルを旗のように立て、イーナとイーレンがバケツで塔を重ねる。悠希は地面に川を掘って、水を流そうとしていた。

「ダムを作るのですーっ!」
「そこーっ!くずれそうだよー!」
 砂の城が完成すると、ビーチバレーを始める子供達、母2人も参戦し、大人げない試合を始める。

「いっくよー!」
「サーブーっ!」
 玲のサーブをイーレンが受け、真冬は軽々と相手側にアタックをする。

「まってぇぇぇっ!?いま膝がぁ!」
 茜は足をふらつかせながらボールを追いかける、そして、海風に笑い声が重なって、空にはゆっくりと陽が傾いていった。
 やがて空が茜色に染まり始めたころ、全員がタオルを肩にかけて、砂浜をあとにする。

「つかれたのです・・・」
「うん・・・つかれたね。」
「でも、たのしかったね!」
「うみきれーだねー。」
「・・・おなかすいた。」
 海を見ながらたそがれる子供達、そして。

「明日、筋肉痛確定ね。」
「アカネはしゃぎ過ぎよ。」
「だって楽しそうだったから♪」
 そう言うと、皆はかたずけを始める、そして荷物を車にのせ、車に乗り込み、後部座席でくたくたに眠そうな子供たち。

「さて、バーベキューの準備、しないとね?」
「そうね、サザエとかアワビとか・・・炭火で焼いたら絶対美味しいわよ」
「火起こしは私に任せてね。」
「妖狐の得意分野だものね、でも焔狐とか使わないでよ?」
「あら、最近はフェイ・フォックスってあっちの種族名乗ってるのよ?」
「わかるー、私もフロスト・セイレーンって気に入ってるのよね。」
 コテージに向かう母2人は運転をしながらのんびり話す、そして後ろからはスヤスヤと子供達の寝息が聞こえ始めた。
 今日も、夏がたっぷり詰まった一日だった。



◆◇あとがきてきななにか!◇◆
え~、お休み予定でしたが、校正作業に飽き、
気分転換にユラ達の話を書いていたら気分が乗ってしまい、
普通に1話書き上げたので、お休みはキャンセルです、
気分転換的な話なので、
作業に飽きると閑話を書く事が増えるかと思います、
本編も書いて行きたいと思いますが、
閑話は半分の時間で書き上げるので・・・

楽なのよっ!www

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