悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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新たなる始まり

第275話-変わった世界-

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 ユリィに連れられて森を抜けて街と呼ばれる場所まで出てきた。道すがらにユリィに質問され回答したり、逆に私から質問して回答を貰ったりした。とは言っても道のりは10分もないほどで全ての疑問がお互いに解消された訳ではないとは思う。
 街について連れられたのは宿だった。そこで私はユリィの持っていた服に着替えた。歩く中でこの世界での服装とはテイストが違うからは注目の的になっていた。
 そして何より驚くべきは自分の姿だった。ユリィから鏡を受け取って写すと、よく知っている顔と身体があった。服装は部屋着のままで。

「サイズがあって良かったです」
「ありがとう。なんか目立ってたもんね」

 とは言ってもサイズが全くピッタリと言う訳ではない。悲しいが胸元は少し余っている。

「さて、そしたら一度整理致しましょう。どうぞそちらへ座って下さい。お茶でもどうぞ」
「ありがとう。うん、もう懐かしいと思えるのよねこの味」

 フランソワとして飲んだこの世界の紅茶。美味しいが私の知っている紅茶とは少し風味の違うお茶の味が懐かしい。

「私の感覚では五年ですが、優子さんの方では一年経っていない。不思議な感覚ですね」
「本当にね。驚きでしかないもの。時間もそうだけど、聞いた話が本当なら尚更」
「驚いたと言うのはこちらもです。まさか当時私の呼んだ人がフランソワ様になっていて、アリスさんが時間を巻き戻していたなんて正直信じられません」

 お互い困った顔をしながら言い合った。
 お互いの質疑応答をしていくとどんどん信じられない様になるほどの事が当時と今で起こっていた。

「まとめると、優子さんはかつてフランソワ様として過ごしていた。そして、私が助けを求めるきっかけになった時間が巻き戻る現象の原因はアリスさんだったと」
「ざっくり言うとそうね。そして、当時私がフランソワになったのはユリィが原因なのね。貴方もアリスと同じように願いを聞いてくれる貴方だけにしか見えないものがいるのよね」
「そうです。とは言ってもそこまでコミュニケーションが取れる訳ではありませんが」
「そんでもって、最後に私がいた時から五年も経ってるのよね。びっくり」
「こちらもです」

 でもそれよりも驚いた事があった。もちろんユリィがこの世界に呼んでくれた事にもかなり驚いている。ただ、それ以上にこの世界が変わっていた。

「魔法が一般的なものになってるなんて想像の遥か上を言ってるわよ……」

 そうこの世界ではある日を境に突然魔法と言うものを扱える様になったらしい。それが私がこの世界から消えた一年後の出来事。
 そこから戸惑いと変革の一年が過ぎ。力を持った領主が他の領地へと襲いかかり、領地争いが始まって小競り合いが起きまくっていたのが二年。それが下火になり、少し落ち着いたのが今という事らしい。

「もう私からしたらまったく未知の世界よ……」
「その点はご心配なく、私達からしても突然魔法なんてものが何故使えるようになったのか謎でしたから。確かにそのおかげで生活は楽になり、そんな疑問を持つ人も少なくなりました」
「ねぇ。ユリィも魔法を使えるのよね? すごい気になるの見せて欲しい……かも。だめ?」

 正直かなり気になっている。ここまで来る途中で見られるかとも思ったけど見ることはなかったから。
 魔法と言われてワクワクしない人間なんて私の知ってる世界にはまずいないだろうに。

「それなのですが……私は使えないんですよ……」

 申し訳なさそうにユリィが呟いた。
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