悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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時を操った少女

第393話-残された言葉-

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 ヤンとスウェイさんが戻って来て一部始終を聞いた私たちは絶句した。
 駆け出して行ったテールさんを追いかけた2人は冷静に事の顛末を教えてくれた。
 私たちは大きな音がした方向を見たけど、そこでバレルさんに止められていた。危ないかもしれないからと。
 その判断は間違っていなかったけど、もし、自分がそこにいたら何かできていたかもしれないと言う自惚にも近い言葉が頭の中で繰り返されている。

「この場にいる誰があの場所にいても結果は大きく変わらなかったとは思う」

 スウェイさんの慰めだった。

「仮に精霊憑きの力を使ったとしても上手く行く保証はないし、上手くいっても別の誰かが死んでた可能性がある」

 その言葉に誰も何もいえなかった。
 腕の立つスウェイさんとヤンでさえどうにかできなかった戦いに精霊憑きとは言っても私達の誰かがどうにか出来るとは思えない。

「だから今出来ることは残された遺志を汲み取る事じゃねぇか」

 私達の中心に置かれている石板、そこには文字が書かれているらしい。だけど、今の私にそれは理解できない。昔この世界にいた時読めていたのはあくまでフランソワの知識があったから、今の私にはちんぷんかんぷんだった。

「『火水土の大精霊を探せ』って書いてありますわ」

 読み上げてくれたのはユリィだった。

「言葉の意味通りって事で良いんでしょうか」
「多分…」

 私もユリィと同じ事を思う。
 むしろそれ以外思いつかない。

「テールさんみたいな大精霊が他にも3人いるから探し出せってことよね」
「どうやってでしょう…」
「それは…! 分かんないけど」

 手がかりもなしに世界中を探せと言うんだろうか。

「手がかりがないなら、手がかりを集めればいい、簡単な事じゃねぇか」
「当てがあるんでしょうか?」
「大きな街に行って聞き込めばいい、ないからって止まってても仕方ないだろ」

 バレルさんの言葉は確かにそうだけど、そんな上手く行くものだろうか。私達は誰も他の大精霊を知らないのに。

「まぁこの人の言うとおりね、テールさんがこれを私達に残したのならその願いをできる限りしてあげたらいいんじゃない? それで、大きな街って言うのは?」
「交易都市のドクストだ」
「えらく遠いわね、そこに行くまでも街に寄って行きながら聞くことはするけどな」
「妥当ね」
「ってことだ、目標はそれでいいか、リーダー?」

 その言葉は私に向けられていた。
 そうだ、私はこのメンバーの一応リーダーだったんだ、完全に忘れていた。

「分かりました。そしたらその大きな街へ行きながらテールさんの言葉を実行して行きましょう!」

 全員が頷いて賛同してくれた。
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