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幕間③
小雪舞う
しおりを挟むショウスケは、あの世とこの世を彷徨っていた時、賽の河原に辿り着いた話をした。
セイタロウは面白そうに食いついてきたが、コイミズは胡散臭いと言わんばかりの態度で話半分に聞いている。
しかし、雪輪文様の帯を締めた童女の話になった途端、コイミズの目の色が変わった。
顔貌、背格好を伝えると、ほんの少し哀しい顔で口許に笑みをこぼした。彼が言うことには……。
「それは幼くして亡くなった、ユキちゃんの妹ね。アンタの叔母にあたるひとよ」
羽裏に牡丹の柄が入った羽織を掻き合わせて、コイミズは懐かしむように目を細めた。
「あの子は自分の名が嫌いでねぇ、もっと煌めくような名前が欲しかったって、よく喚いてたわ」
「はぁ、煌めく名……?」
「きらきらした水晶に憧れていたわね」
コイミズはそれ以上語らない。だが、それで十分だった。
ショウスケの名付け親はユキヘイだが、その由来はあの童女に連なっているらしい。鬼から守るため闇を指差してくれた名も知らぬ叔母に、ショウスケは布団の中で手を合わせた。
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