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第一章・幼馴染の怪しげな情報
8話・10個の石
しおりを挟む「え? この扉やマジックキー以外の情報?う~~~ん、そうだねぇ......」
ライロードの問いに、テンが首を傾げつつ目をスッと瞑った後、記憶の引き出しを開けまくっていく。
そしてその中に入っている、色々な情報を引き出した結果、
「......ああ、あった! あったよ、ライロード! そんな情報があったのを思い出したよ! 確か情報屋の奴がこんな事を言ってたよ。この洞窟のどこかに数個の丸状の石が置かれている部屋があるって!」
テンは手のひらをポンと叩き、情報屋の言っていた言葉を思い出す。
「数個の石......ねぇ。どうもそいつが怪しい感じだな? で、その部屋っていうのは一体どこにあるんだ、テン?」
「さぁ?」
「さぁってなんだよ、さぁってっ!? その情報は聞いていないのかよ!?」
「うん、聞いてない! 何故なら、わたしはそういった細かい情報には全くの興味がないねぇ♪」
俺の問いに、テンは全く悪びれのないドヤ顔を見せてくる。
「ハァ...そういった些細な情報って、探索やお宝のゲットには必須な情報だろうに。お前...ホント本題にしか興味がないよな......」
そんなテンのお気楽な思考に対し、俺は呆れたという表情で軽い嘆息を吐く。
「大体お前はさぁ。主の部分しか聞かな過ぎなんだよ! この前の時もそうだったろ! そのせいで俺がどれだけの迷惑を―――」
そしてそんなテンのお気楽さによってひどい目にあった事を思い出し、その不満を説教するように愚痴っていると、
「あは...あはは~♪ そ、そんな事より、ライロード! 時間もあんまない事だし、さっき話した情報屋の言う石が置いてある部屋をちゃちゃっと探しに行こうよ! うん! そうしようっ!!」
「あ、待って! まだ言い足りな―――」
これ以上の説教は御免被るといわんばかりに、テンは大慌てで奥の通路に向かって猛ダッシュで走って行く。
「......クソ、逃げやがった!」
......ったく、テンの奴め。自分が不利になるといっつもこれなんだから。
俺はテンの行動に呆れながら頭を掻くと、先に行ったテンの後を追い駆けて行く。
それから俺とテンは、魔物を退治しながら情報屋の言っていた丸状の石とやらがどこにあるのかを探す。
―――そして数分後。
「あ、あれは!? おい見ろよ、テン! あそこに数個の丸状の石が置いてあるぞ!」
「うへ!? おお~! た、確かに置いてあるねっ! そして見事なくらいに『フラグだぜ!』っていわんばかりの飾りがいっぱいある部屋じゃん!」
何度目かに入った部屋は、テンが言ったように他の殺風景の部屋とは違って絵や彫刻が多く飾ってあり、その中心の台座にボールくらいの大きさの石が十個並べて置いてあった。
「ふむふむ。これらの石を使って何かをするんだろうけど......」
テンは目を凝らすようにして、部屋の周囲を見渡していく。
すると、
壁に飾ってある絵の中に、星座の絵が数点混ざってある事に気付く。
「なんで星座の絵が飾ってあるんだろう?」
「そう言われれば何か変だな? だってそれ以外の絵はみんな肖像画ばかりだしな?」
俺とテンがどういう事だと、小首を傾げて思考していると、
「あ! 見てよ、ライロード! あの奥にある部屋に何かあるみたいだよ!」
「え? 奥の部屋?」
テンが何かを発見し、その発見した場所に向けて指を差す。
「あれは......なんか窪みのようなものが数個あるな? 取り敢えず、近くまで行ってみるか!」
「了解!」
俺とテンはその窪みらしきのある場所に移動すると、改めてその窪みを観察してみる。
「一体なんだろうね、この窪み?」
「ひぃ...ふぅ...みぃ...どうやら全部で10個みたいだな?」
......ん?
「10個...の窪み?」
――ハッ!?
ライロードは何かに気付いたのか、目を大きく見開く。
「なぁ、テン。この窪みってあれじゃないかな! ほら、あっちの部屋にあった石たちをここに置くんだよ!」
「な、なるほど!確かにあの石を置くのに丁度良い窪みだよね、これっ!」
ライロードの言葉にテンも目を大きく見開いて、納得といわんばかりに手のひらをポンと叩く。
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