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本編 第一部
37. やっぱり意地悪 ※R18表現あり
※※※※※※※※※※
※がっつりR18なので、背後に気を付けてください。
※※※※※※※※※※
キスをかわしながら、ネルヴィスは僕のシャツの裾から手を滑り込ませる。
腹、脇、背中へと移動しながら、優しく撫で、徐々にほぐしていった。
とっくに力が抜けている僕はぼんやりしていて、うながされるまま自分の服を脱ぐ協力をする。
いつの間にか、生まれた時の姿になっており、ネルヴィスは上半身裸になっていた。
文官だというわりに、ネルヴィスは均整のとれた体つきをしている。細身なのに、ひょろくはない。
室内はすっかり暗くなり、ネルヴィスは魔導具のランプを一つだけ灯した。
そして、天蓋のカーテンを落とす。うすぼんやりとした明かりで、紫紺の髪は夜に溶け込んでいる。
再び僕に覆いかぶさる。ベッドがギシリときしんだ。
見下すような目には、なぜだか色気がある。
ネルヴィスは僕の鎖骨を甘噛みしながら、とうとうそこに指を触れた。いつの間に取り出したのか、香油を垂らして、後孔に指を入れる。
熱を持て余していた僕は、期待のあまり無意識に腰を揺らしていた。ネルヴィスがふっと息だけで笑う。
「そんなに急かさないでください」
僕はカアッと顔を赤くした。
「だって……」
「発情期のせいだと分かってますから、すねないで」
頬へのキスで、僕はあっさりと誤魔化された。
「濡れてはいるようですが、きちんとほぐさないと。痛い思いはさせたくありませんから」
僕はハッと我に返る。
「あ! ご、ごめんなさい。自分で用意してきます……」
そういえば、いつもは事前に準備していたのだ。そうでないと、王太子がすぐに突っ込もうとして痛いから。
「ディル様」
起き上がろうとした僕の肩を、ネルヴィスは押さえてベッドに戻す。彼はにこりと笑っているが、こめかみに青筋が立っていた。
「前の方のことは忘れましょう。ね?」
笑顔が怖くて、僕は反射的に頷く。しかし、納得がいかない。
「でも、事前に用意するものじゃ……?」
「女性やオメガにそんなことを頼んだら、ここでは最低だと振られてもおかしくありません。セックスは二人でするものなのに、相手を気遣う余裕がありませんと暴露しているみたいなものでしょ?」
どうやら知らずに、最低野郎と言ったようなものらしい。僕は慌てて首を振る。
「違います! そんなんじゃなくて」
「分かってますから、あなたはがんばらなくてよろしい」
「はいっ」
僕は落ち着かない気分で、体の力を抜く。その余裕もすぐになくなった。ネルヴィスの指が僕の中を慎重にほぐし、良いところに触れたのだ。
「あっ」
僕がビクリと震えると、ネルヴィスは「ふむ」と思案げにつぶやく。次に、腹のすぐ下あたりを撫でる。ゾワッとして、僕の体がはねる。
(な、何!?)
以前はそこを触られて、こんな感覚は起きなかった。
混乱していると、ネルヴィスは愉快そうに口端を上げる。
「なるほど。ディルレクシア様の時と、感じるところは同じようですね」
「え……?」
「そして、以前のあなたとは違っている。そうじゃないですか?」
なんとも答えられず、僕の目が泳ぐ。
「分かりやすい方ですね。様子見をしていましたが、これなら遠慮しなくて良さそうだ」
「ネ、ネルヴィス……?」
僕は嫌な予感がして、ネルヴィスの名を呼ぶ。
「あなたにはへたくそと言われないように、がんばらせていただきますね?」
「……お手柔らかに」
引きつった顔で、そう返すのが精いっぱいだった。
それからネルヴィスは宣言通り、がんばった。
僕が息をのむくらい長い彼自身を納めるところまでは慎重だったが、僕の声に快楽が混じり始めてからは、遠慮がなくなった。
「あ、あ、あっ」
正面で抱き合いながら、ネルヴィスは腰を振る。
良いところを狙ってえぐるように突くので、僕はネルヴィスの背にしがみついて、なすすべもなく声を上げる。
「あ、やあっ、なんでっ」
訳が分からない。
ディルレクシアの体は、僕にはまるきり未知数だ。思いもよらぬところで快感を拾い、制御が効かない。
混乱がすぎると、怖くなる。
「ネル……ヴィス……待って、怖い……っ」
「ディル様、ネルと呼んでください」
「え? ネ……ル?」
「親しい者はそう呼びます」
気がそれた瞬間、ネルヴィスは僕の腰をつかみ、奥へと大きくえぐる。
「ああああっ」
その衝撃に、一瞬、目の前に火花が散った。
僕の薄い腹に白濁が付いたことで、高みに達したことに遅れて気づく。はあはあと息をする僕に気づいたのか、ネルヴィスは動きを止めた。
長いそれが中に納まったままなので、僕は嫌でも意識してしまう。
この世界では避妊具が発達していて、ゴムというものを付けてくれている。それでも、発情期のオメガは身ごもりやすいので、抜いてもらわなくてはという意識があるのに、熱に浮かされた頭は中に出して欲しいとささやく。
「ネル……」
口から甘い声が出たことに、僕自身が驚いた。無意識に中を絞めたようで、ネルヴィスが眉をしかめる。
「私をあおるなんて、悪い子ですね」
意地悪に笑い、ネルヴィスは僕の口にキスをする。至近距離で見つめて、ふと思い出したように問う。
「それで、どうですか?」
「え……?」
息を整えるのに忙しい僕は、ネルヴィスが何を聞きたいのか分からない。
「私はへたくそでしょうか?」
「…………」
僕は唇をわななかせる。
(ディルレクシア! ものすごく! 根に持たれてる!)
どうしてそれを僕が対応する事態になっているんだろう。
僕が答えないので、ネルヴィスは首を傾げる。
「そうですか。ご満足いただけないとは。ディル様、良かったらちゃんと気持ち良いと言ってくださいね」
「え……」
そんな恥ずかしいことを言わないといけないのかと、僕は固まった。
「ね?」
念を押すネルヴィスの笑顔は、どう見ても悪魔的だった。
それからどれくらい時間が経ったのだろうか。
僕は泣かされていた。
ベッドにあぐらをかいているネルヴィスの膝の上で、僕は正面から抱き合う形で揺さぶられている。
ネルヴィスのものは長く、僕は自重のせいで、深いところまで犯されていた。オメガは直腸の奥に、子どもを作る器官がある。だから奥を突かれると弱い。
「ん、んんっ、ひ……っ。……え?」
僕の体を揺さぶって、奥を突くのに、僕が達しそうになると、ネルヴィスはわざと良いところを外す。
それを何度か繰り返されて、僕の目には涙がにじむ。
「な、なんで……っ」
「良いのでしたら、なんて言うんでしたっけ?」
「~~っ」
ネルヴィスからすれば普通かもしれないが、僕には恥ずかしいことだ。どうしても言えずに黙ると、ネルヴィスは同じことを繰り返す。
僕が良いと言うまで、これ以上、僕を高みに追いやるつもりがないらしい。さんざん高められた熱がつらくて、僕は腹が立った。
「も、もうっ。意地悪……!」
八つ当たりで、目の前にある白い肩に噛みつく。
さしものネルヴィスも、これにはビクリと震えた。
これで少しは譲歩するだろうと、僕は涙ににじむ目でキッとにらむ。
「……っ」
ネルヴィスは息を飲み、顔から余裕が抜け落ちた。どう猛な獣の気配があらわれる。
「え? な、なんで大きく……っ」
中に入っているネルヴィス自身の質量が増したので、僕はぎくりとした。
「あなたは私をあおる天才のようですね」
「ネルヴィス……? ひゃっ」
恐る恐る名を呼んだ僕は、ネルヴィスが僕の腰をつかんで持ち上げ、勢い良く落とした衝撃で悲鳴を上げる。
ネルヴィスのものが、奥をゴリッと突く。僕の目の前に火花が散る。
「あっ、んあっ、や、待って……激しっ」
僕は動きを止めたくて、必死にネルヴィスの背に腕を回すが、指先は力なくその背をかくだけだ。
強制的に高みに突き上げられ、僕は背をそらしてビクビクと震える。
「ああああっ」
目の前が真っ白になる。
いつもならそこでだるさがやって来るのに、なぜか高みから下りられない。それに、僕のものからは何も出ていない。
「おや、ドライでいったんですか。我慢させすぎたようですね」
「え……?」
ドライって?
「もしかして初めてですか? 出さずに達することですよ。こんなふうに」
「ひっ、んんっ、あ、ああっ」
制止したいのに、口から出るのは意味をなさない言葉だけ。絶頂から戻れずにもがく僕を押さえつけて、ネルヴィスは腰を突き上げる。再び悦楽の波に襲われて、僕はビクビクと震えながら達した。
「あぁーーっ」
どっと押し寄せるけだるさのまま、ネルヴィスにもたれかかる。
遅れて、中で何かが弾けた。
ネルヴィスはずるりと自身を引き抜く。
「あ……」
その刺激でも、僕は感じてしまう。
ぐったりと息をする僕の前で、ネルヴィスはゴムを外す。中身が出ないように結ぶと、床に投げた。
僕はぼんやりと眺めながら、ネルヴィスも達したのだと遅れて気づいた。
前の世界にはあんなゴムという避妊具はなかったから、僕には不思議なものに見える。
(似たようなものに、羊の腸を使ったものがあったけど、使ったことがないしな)
王族の子はできるだけ多く作ったほうがいいので、知識として知っていただけだ。
「水を飲んでください」
ネルヴィスがグラスに水をつぎ、僕に飲ませる。彼も水分をとると、僕を寝かせた。
このまま眠るのだろうと思ったが、ネルヴィスはなぜか新しいゴムを手に取る。
「……ネル?」
寝るんじゃないの? という問いかけを、ネルヴィスは口付けでさえぎった。彼は薄く微笑む。
「ディル様、あなたにまでへたくそだと思われては嫌なので、名誉挽回のためにがんばります。気持ち良いと言ってくれるまで、寝かしませんから」
……なんて言いました?
ぼーっとしていた僕は、意味を理解するなり青ざめる。恥をかなぐり捨てて、ネルヴィスに返す。
「ま、待って! 気持ち良かったです! とても!」
これで今日は休めそうだと思ったが、甘かった。
「そうですか。では、あと一回はいけそうですね」
ええええっ、終わるんじゃないの?
驚愕に目を丸くする僕の頬に、ネルヴィスはキスを落とす。
「可愛いですね、ディル様」
うっとりと呟いたネルヴィスだが、結局、第二ラウンドでも僕は泣くはめになった。
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