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一
遠足に来た子どもたち ── 現代・戦場ヶ原の「青い石」
しおりを挟む楽しげな遠足の歌が聞こえる。
歌が終わると遠足の集団が現れる。
戦場ヶ原の看板が立っている。
先生 「は~いみんな集合~。ここが戦場ヶ原です。」
龍之介 「なんにもな~い。」
先生 「そう見えるけど、ここには神様の戦いの伝説があります。」
子供達 「伝説?」
先生 「その昔、私たちの町の赤城山の神様と、二荒山(フタラサン)の神様がここで戦いました。」
勇気 「神様が?」
先生 「赤城山の神様は大百足に、二荒山の神様は大蛇になって戦ったそうよ。」
愛 「先生!」
先生 「はい、愛ちゃん。」
愛 「二荒山ってどこ?」
先生 「あの男体山(ナンタイサン)と女峰山(ニョホウサン)あたり。昔はそう呼ばれていました。」
美森 「先生!」
先生 「はい、美森ちゃん。」
美森 「なんで赤城山と二荒山は戦争したの?」
先生 「中禅寺湖の所有をめぐって争ったそうよ。」
龍之介 「先生!赤城山の神は勝ったの?」
先生 「残念だけど負けちゃったの。始めは赤城山が優勢だったそうだけど、二荒山が弓の名手に助っ人を頼み、その人の弓で赤城山を破ったと言われているわ。」
龍之介 「えーなんでぇ、助っ人なんてずるいよ~。なあ勇気。」
勇気 「うん。」
先生 「つまり龍之介さん、赤城山は二荒山の神が助っ人を頼まないと勝てないほど強かったっことよ。」
龍之介 「よし!じゃあ俺が赤城山の神、勇気、二荒山の神。」
二人じゃれ始める。
先生 「それでは、散策オリエンテーリングをはじめます。各グループに分かれて、準備ができたグループからスタートしてください。は~い、スタート地点はこっちで~す。」
愛 「よし、美森ちゃん、行こう。」
美森 「うん。あれえ?愛ちゃん、勇気君と龍之介君は?」
愛 「えっと~、あ、あそこ。こら!二人とも早くしなさいよ!他のグループに負けちゃうでしょう。」
龍之介 「必殺!赤城スリーパー!」
勇気 「やめて~。」
愛 「龍之介!やめなよって。」
龍之介 「やだね~。」
美森 「龍之介君、離して。(かわいく)」
勇気を離す龍之介。対応の違いに、呆気にとられる愛。
勇気は咳込みながら地面を見る。
ふと、なにやら不思議な形の石が目線に入り、拾い上げる勇気。
愛 「…まあいいわ。二人とも準備はできてる?みんなもう先に行っちゃったじゃない。」
龍之介 「おう、まかしとけ。えっと地図地図、あれ、どこだ?」
愛 「ああ、先が思いやられる。」
美森 「あれ、勇気君、何それ?」
勇気 「…冷たい…あっ、美森ちゃん。」
真っ青な勾玉を持っている勇気。彼らはまだ古代のアクセサリである勾玉を知らない。
美森 「面白い形だねぇ。」
愛 「もう勇気!石なんか見てないで地図を見なさいよ!地図を!」
勾玉をポケットに入れる勇気。とその時、ゴロゴロと低く雷鳴が聞こえてきた。全員軽い悲鳴。
勇気 「何?」
美森 「雷?こんなにいい天気なのに?」
龍之介 「雷やだ~!(以後、雷嫌い、やだやだと連呼)」
愛 「あ~もう、龍之介、勇気、あなた達のせいよ。」
勇気 「え~っ。」
雷鳴。全員悲鳴。おびえながら空を見上げる四人。
愛 「ちょっと!嘘でしょう?雲なんか何処にもないわよ。いやだ龍之介!くっつかないでよ。」
勇気 「晴れてる時の雷は危ないってお母さんが言ってたよ。」
龍之介 「いやだ~、美森ちゃーん。」
美森 「触らないで。(きっぱり)」
龍之介 「(泣き)勇気~。」
龍之介は残された勇気にくっ付く。龍之介を慰める勇気。不安になる四人。
愛 「とにかく。クラスのみんなと合流しましょう。」
雷鳴。全員悲鳴。
辺りが暗くなる。勇気のポケットの中で拾った石があやしく点滅する。四人は気付かない。
暗闇から声が聞こえる。
男体(ナンタイ)「二荒から出ていけ!」
赤城(魔人) 「聞けぬな。二荒の湖の女神、華厳は俺が偉大なる神、大神(オオカミ)になるために必要だ。」
男体 「ええい!身の程知らずめ。二荒の湖は、二荒が生んだ命の水だ。まして軍勢を引き連れてくるような奴に我が娘、華厳(ケゴン)を差し出す道理など一つもないわ!」
赤城(魔人) 「ならば神戦となるぞ。」
男体 「始めからそのつもりだろうが! 」
赤城(魔人) 「その通り、茶番は終わりだ!妖魔、百足の化身。」
男体 「大神、大蛇の化身。」
音楽。戦場ヶ原神戦伝 テーマ曲 時の傷痕(二回目 歌無し、転調後の部分から)
勇ましい両軍の掛け声とともに、赤城率いる百足軍と男体率いる大蛇軍の戦いが始まる。
大百足と大蛇の決戦のダンス。
最後は大蛇達が赤城を囲み締め上げ、男体が赤城を倒し縛り上げる。
上手花道の子供たちに照明切り替え。
愛 「ど、どうなってんのよ?」
美森 「伝説の時代に…来た?」
龍之介 「ここどこ?」
勇気 「周りが真っ暗…。」
愛 「でも、なんでここだけ明るいの?」
あたりを見回す。勇気のポケットの中で華厳の石が光る。(青い照明点滅と効果音。※一幕中同様の処理)
龍之介 「おい、あそこ!」
上手花道から舞台へ照明切り替え
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