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五
赤城、再び ── 二荒に迫る影
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ラテン系の楽しげな音楽(エドムントロスオーケストラの軍艦マーチ)。
緞帳上げる。
なかよしが舞台中央に飛び出し、両手を広げる。
なかよし 「おまたせ!夢の続き、始めるぞ~っ!」
動きは操り人形のような動作のなかよし。
なかよし 「私は夢の世界の案内人、な・か・よ・し。そして、夢の扉を開け閉めする相棒、カッコウのユバ君だ。ほれご挨拶。」
なかよしが肩の紐を引っ張ると、カッコウの鳴き声が響く。
ユバ 「カッコー! 」
なかよし 「うん、礼儀正しい。」
龍之介 「おじさん、それおもちゃだろう…。」
なかよし 「違う!ユバ君は生きておる。なあ、ユバ君。」
なかよしが肩の紐を引っ張ると、カッコウの鳴き声が響く。
ユバ 「カッコー!クックックッ。」
龍之介 「笑った?」
なかよし 「ラブ・アンド・ピース。(変な恰好を楽しんでいる)」
勇気 「おじさん。ここはどこなの? 」
なかよし 「ここは神様の記憶の世界、そう、夢の世界じゃ。」
勇気 「…夢の世界。でも僕たちさっき頬っぺたをつねったけど、目が覚めなかったよ。」
なかよし 「ほっほっほ、ここは君たちの夢ではなく、神様の夢の中じゃからな。」
愛 「神様の夢の中?なんで私達がそんな世界にいるわけ?」
なかよし 「それはな、神様が思い出したんじゃ。遠い昔の記憶を。」
美森 「遠い昔の記憶?」
なかよし 「そう、そして君らはその華厳の石とともに神様の夢の中に導かれたのじゃ。」
勇気 「この石に?」
美森 「やっぱり華厳ちゃんの石だったんだ。」
なかよし 「そうじゃ、できれば物語の始めから案内してあげたかったんじゃが、何せ千年ぶりの呼び出しだったもんでのう、いろいろ準備してるうちに遅刻してしもうた。いやすまんすまん。ほれ、ユバ君もお詫びじゃ。」
ユバ 「どうもすいません。(※マイクを使った影声)」
龍之介 「あ、しゃべった。」
美森 「でも、上の方から声が聞こえたような?」
なかよし 「ふっふっふ。では、物語に戻ろうかの。実体を取り戻した赤城山の神は、華厳との約束を破り、再び二荒に戦を仕掛けたのじゃ。ユバ君よろしく。」
ユバ 「カッコー!カッコー!カッコー!(徐々に小さく)」
花道から舞台に照明切り替え。
音楽(死線 クロノクロスより)再びの赤城襲来に慌てふためく二荒の国。
あちこちで二荒山の家来達がオロオロしている。
家来1 「大変だ赤城がまた攻めてきた!」
家来2 「軍勢を率いてまたやってきた!」
家来3 「迎え討て!」
大真名子 「急げ!戦だ!戦の準備をしろ!」
家来3 「男体様!ご報告申し上げます。金精峠の守備隊が打ち破られ、赤城の百足軍、進軍止まりません。」
男体 「おのれ赤城、とっとと人体を始末しておくべきだったわ。大神を恐れぬ外神が、締め上げてくれる!大真名子、出陣じゃ!」
大真名子 「いけませぬ!男体様は我ら二荒の神々の総大将。ここは体調が戻るまでご辛抱を、前線には私が参ります。では。」
男体 「口惜しや~、しびれさえ抜けきれば、もう一度わしの剛力で締め上げてやるものを…。」
フラフラする男体。
女峰 「あなた大丈夫ですか?」
男体 「ああ、すまん。ところで華厳はどうした。」
女峰 「湖畔にいるとは思いますが、あの子そうとうショックを受けていたみたいですよ。」
男体 「だからワシは言ったのだ。あんな奴の言う事を信じてはならんと。」
女峰 「あなた。もう一度、赤城さんとお話…。」
男体 「黙れ!あの男は、わしを殺そうとしたのだぞ!」
女峰 「そのあなたを救ったのも赤城さんですよ。赤城さんには事情があるようですし、もっと話を聞いて…。」
男体 「これは話し合ってどうなる問題ではない!女峰よ!分かっておるのか?わしら土地神がその地を離れたらどうなるかを!」
女峰 「ええ、私たち土地神がその地を離れれば、土地は枯れ、追って土地神も消える…。」
男体 「そうだ。私たち土地神はその土地と共に生きねばならん。子供が誤った道を進もうとした時は親が止めるのだ。たとえ恨まれようとも、この身に変えてもだ。」
女峰 「…そうね。華厳は我らの大事な子。二荒が生んだ命の湖。今は辛いかもしれませんが、二荒と共に生きるのがあの子のためでありますものね。」
男体 「しかし、参った…。随分動くようにはなったが、体のしびれがまだ抜けておらん。この戦い、厳しいかもしれん…。」
女峰 「そうだわ!鹿島の神に助けを求めてみてはいかがでしょう?」
男体 「鹿島の神!」
女峰 「ええ、事情を話せばきっとお力を貸してくれるでしょう。」
男体 「それはいい。武術の神と言われる鹿島の神のなら奴など一ひねりだ。」
女峰 「ではお迎えに行ってまいります。」
男体 「頼んだぞ。女峰の神速なら常陸の国まで一日とかかるまい。」
女峰 「では。」
暗転。
映像 女峰が白鹿への変身する。
映像終了後、上手花道に照明切り替え。
なかよし 「こうして、二荒の女神、女峰は白い鹿となって、鹿島の神に助けを求めに行ったのじゃ。」
勇気 「鹿島ってどこにあるの?栃木県?」
なかよし 「いや、お隣の茨城県じゃ。鹿島には中禅寺湖から流れ出た命の水が流れついておる、つまり鹿島は二荒の恵みを受けており、二神は旧知の仲なんじゃ。だが、事はそううまくいかなかったんじゃ。」
ユバ 「カッコー!カッコー!カッコー!(徐々に小さく)」
花道から舞台に照明切り替え。
緞帳上げる。
なかよしが舞台中央に飛び出し、両手を広げる。
なかよし 「おまたせ!夢の続き、始めるぞ~っ!」
動きは操り人形のような動作のなかよし。
なかよし 「私は夢の世界の案内人、な・か・よ・し。そして、夢の扉を開け閉めする相棒、カッコウのユバ君だ。ほれご挨拶。」
なかよしが肩の紐を引っ張ると、カッコウの鳴き声が響く。
ユバ 「カッコー! 」
なかよし 「うん、礼儀正しい。」
龍之介 「おじさん、それおもちゃだろう…。」
なかよし 「違う!ユバ君は生きておる。なあ、ユバ君。」
なかよしが肩の紐を引っ張ると、カッコウの鳴き声が響く。
ユバ 「カッコー!クックックッ。」
龍之介 「笑った?」
なかよし 「ラブ・アンド・ピース。(変な恰好を楽しんでいる)」
勇気 「おじさん。ここはどこなの? 」
なかよし 「ここは神様の記憶の世界、そう、夢の世界じゃ。」
勇気 「…夢の世界。でも僕たちさっき頬っぺたをつねったけど、目が覚めなかったよ。」
なかよし 「ほっほっほ、ここは君たちの夢ではなく、神様の夢の中じゃからな。」
愛 「神様の夢の中?なんで私達がそんな世界にいるわけ?」
なかよし 「それはな、神様が思い出したんじゃ。遠い昔の記憶を。」
美森 「遠い昔の記憶?」
なかよし 「そう、そして君らはその華厳の石とともに神様の夢の中に導かれたのじゃ。」
勇気 「この石に?」
美森 「やっぱり華厳ちゃんの石だったんだ。」
なかよし 「そうじゃ、できれば物語の始めから案内してあげたかったんじゃが、何せ千年ぶりの呼び出しだったもんでのう、いろいろ準備してるうちに遅刻してしもうた。いやすまんすまん。ほれ、ユバ君もお詫びじゃ。」
ユバ 「どうもすいません。(※マイクを使った影声)」
龍之介 「あ、しゃべった。」
美森 「でも、上の方から声が聞こえたような?」
なかよし 「ふっふっふ。では、物語に戻ろうかの。実体を取り戻した赤城山の神は、華厳との約束を破り、再び二荒に戦を仕掛けたのじゃ。ユバ君よろしく。」
ユバ 「カッコー!カッコー!カッコー!(徐々に小さく)」
花道から舞台に照明切り替え。
音楽(死線 クロノクロスより)再びの赤城襲来に慌てふためく二荒の国。
あちこちで二荒山の家来達がオロオロしている。
家来1 「大変だ赤城がまた攻めてきた!」
家来2 「軍勢を率いてまたやってきた!」
家来3 「迎え討て!」
大真名子 「急げ!戦だ!戦の準備をしろ!」
家来3 「男体様!ご報告申し上げます。金精峠の守備隊が打ち破られ、赤城の百足軍、進軍止まりません。」
男体 「おのれ赤城、とっとと人体を始末しておくべきだったわ。大神を恐れぬ外神が、締め上げてくれる!大真名子、出陣じゃ!」
大真名子 「いけませぬ!男体様は我ら二荒の神々の総大将。ここは体調が戻るまでご辛抱を、前線には私が参ります。では。」
男体 「口惜しや~、しびれさえ抜けきれば、もう一度わしの剛力で締め上げてやるものを…。」
フラフラする男体。
女峰 「あなた大丈夫ですか?」
男体 「ああ、すまん。ところで華厳はどうした。」
女峰 「湖畔にいるとは思いますが、あの子そうとうショックを受けていたみたいですよ。」
男体 「だからワシは言ったのだ。あんな奴の言う事を信じてはならんと。」
女峰 「あなた。もう一度、赤城さんとお話…。」
男体 「黙れ!あの男は、わしを殺そうとしたのだぞ!」
女峰 「そのあなたを救ったのも赤城さんですよ。赤城さんには事情があるようですし、もっと話を聞いて…。」
男体 「これは話し合ってどうなる問題ではない!女峰よ!分かっておるのか?わしら土地神がその地を離れたらどうなるかを!」
女峰 「ええ、私たち土地神がその地を離れれば、土地は枯れ、追って土地神も消える…。」
男体 「そうだ。私たち土地神はその土地と共に生きねばならん。子供が誤った道を進もうとした時は親が止めるのだ。たとえ恨まれようとも、この身に変えてもだ。」
女峰 「…そうね。華厳は我らの大事な子。二荒が生んだ命の湖。今は辛いかもしれませんが、二荒と共に生きるのがあの子のためでありますものね。」
男体 「しかし、参った…。随分動くようにはなったが、体のしびれがまだ抜けておらん。この戦い、厳しいかもしれん…。」
女峰 「そうだわ!鹿島の神に助けを求めてみてはいかがでしょう?」
男体 「鹿島の神!」
女峰 「ええ、事情を話せばきっとお力を貸してくれるでしょう。」
男体 「それはいい。武術の神と言われる鹿島の神のなら奴など一ひねりだ。」
女峰 「ではお迎えに行ってまいります。」
男体 「頼んだぞ。女峰の神速なら常陸の国まで一日とかかるまい。」
女峰 「では。」
暗転。
映像 女峰が白鹿への変身する。
映像終了後、上手花道に照明切り替え。
なかよし 「こうして、二荒の女神、女峰は白い鹿となって、鹿島の神に助けを求めに行ったのじゃ。」
勇気 「鹿島ってどこにあるの?栃木県?」
なかよし 「いや、お隣の茨城県じゃ。鹿島には中禅寺湖から流れ出た命の水が流れついておる、つまり鹿島は二荒の恵みを受けており、二神は旧知の仲なんじゃ。だが、事はそううまくいかなかったんじゃ。」
ユバ 「カッコー!カッコー!カッコー!(徐々に小さく)」
花道から舞台に照明切り替え。
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