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第1話 聖女は婚約破棄される
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ハルカス王国の今代の聖女のチェルシーは歴代聖女よりずば抜けた聖女の力の保持者でそれを現すように銀髪である。
チェルシーは王国全てを覆う強力な結界を張って、祈りをすることで十年間維持し続け、病や魔獣などの侵入を防いでいたのだが、今代の聖女は平民であった。
十年間聖女として頑張ってきたチェルシーは、婚約者である王太子のカイン殿下に王城に呼び出された。
「よく来たな。チェルシー。お前に伝えることがある。」
「何でしょうか。カイン殿下。」
「チェルシー。私とチェルシーの婚約を破棄する。そして聖女解任と国外追放を言い渡す。」
カイン殿下とは聖女ではあるが平民であるので身分差がかなりあるのだが良好な関係であると思っていた。
いきなり婚約破棄をされる心当たりは特にないあるとすれば私が平民だと言うことで周りが騒いでいるかもと言うことくらいだ。
「理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。」
カイン殿下の隣で仲良さそうにしている見覚えのある女性がいるのが気になったが婚約破棄の理由をたずねた。
「私は王太子なので次期国王だ。そして歴代の王は聖女と婚姻してきた。だがチェルシーは平民だ。
なので次期国王となる王太子の婚約者が聖女であるが平民なのは許されないと言う声が多い。
なので、お前を解任し、隣にいる公爵令嬢のミーシャ嬢を聖女とし、私の婚約者とすることにしたからだ。
国外追放とするのは、歴代で類をみないほどのずば抜けた魔力を保有する元聖女が教会で働いていてはミーシャが聖女の務めをやりにくかろうという配慮ならだ。」
やっぱり隣にいるのはミーシャ嬢だったか。
ミーシャ嬢とは聖女見習いの頃に聖女を目指して切磋琢磨し、平民と公爵令嬢ではあったが親友になった。
私が聖女に任命されて、ミーシャ嬢は教会を出て私も忙しかったのでそれ以降会うことはなかった。
「そういうことでしたら仕方がないです。婚約破棄、聖女解任、国外追放の件、了承しました。」
ミーシャ嬢は公爵令嬢で身分的に問題ないし、私と違い美人だし、性格もいい。
カイン殿下と並ぶと美男美女のベストカップルだ。
それに教会長が自身の権力を増す為に毎日貴族の依頼人を連れてくるし、一部の聖女見習いが貴族の自分たちがなぜ聖女とはいえ平民の世話をしなきゃならないのかという不満からか嫌がらせや自分達の仕事を押しつけてくるので休む暇がない。
聖女を辞められる超嬉しい。
それに国から多額の予算や教会を訪れる国民からのお布施も多いはずなのに来客時や民衆の前出る時には聖女専用の服があるのでそれを着るが、普段は私だけみすぼらしいボロボロの服を着ている。
絶対に国からの聖女の予算や国民からお布施を教会長や教会幹部が横領しているに違いない。
出ていく私にはもう関係ないけどミーシャ嬢が聖女になればそんなこともなくなるかもしれないし、聖女見習いたちも協力的になるだろうから結果オーライかな。
「では私の聖女の力の一部を次代聖女のミーシャ嬢に譲渡したいのですがお許しいただけますでしょうか。」
「おお、ミーシャ嬢もチェルシーには及ばないが聖女の力は高いのだが、それは助かるぞ。よろしく頼む。」
「わかりました。」
そして私はミーシャ嬢に近づき、両手を握ると聖女の力を一部譲渡した。
するとミーシャ嬢の体全体が光り、光がおさまる頃には金髪だったミーシャ嬢の髪の色が高い聖女の力証明する銀髪となっていた。
「では譲渡も済みましたので、国を出る準備もありますので、教会に戻り着替えてすぐに国から出て行きたいと思います。
ミーシャ嬢も大変だと思いますが、聖女のお務め頑張ってくださいね。遠くからミーシャ嬢を祈って応援いたしますね。お二人ともお身体にお気をつけてでは失礼いたします。」
「はい。しっかり聖女としての務めを全ういたしますわ。」
おお、今まで一言も発せず、私を追い出すことになった負い目か下を向いていたミーシャ嬢が言葉を発したことに感動しながら私は王城を後にし、教会へ向かった。
チェルシーは王国全てを覆う強力な結界を張って、祈りをすることで十年間維持し続け、病や魔獣などの侵入を防いでいたのだが、今代の聖女は平民であった。
十年間聖女として頑張ってきたチェルシーは、婚約者である王太子のカイン殿下に王城に呼び出された。
「よく来たな。チェルシー。お前に伝えることがある。」
「何でしょうか。カイン殿下。」
「チェルシー。私とチェルシーの婚約を破棄する。そして聖女解任と国外追放を言い渡す。」
カイン殿下とは聖女ではあるが平民であるので身分差がかなりあるのだが良好な関係であると思っていた。
いきなり婚約破棄をされる心当たりは特にないあるとすれば私が平民だと言うことで周りが騒いでいるかもと言うことくらいだ。
「理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。」
カイン殿下の隣で仲良さそうにしている見覚えのある女性がいるのが気になったが婚約破棄の理由をたずねた。
「私は王太子なので次期国王だ。そして歴代の王は聖女と婚姻してきた。だがチェルシーは平民だ。
なので次期国王となる王太子の婚約者が聖女であるが平民なのは許されないと言う声が多い。
なので、お前を解任し、隣にいる公爵令嬢のミーシャ嬢を聖女とし、私の婚約者とすることにしたからだ。
国外追放とするのは、歴代で類をみないほどのずば抜けた魔力を保有する元聖女が教会で働いていてはミーシャが聖女の務めをやりにくかろうという配慮ならだ。」
やっぱり隣にいるのはミーシャ嬢だったか。
ミーシャ嬢とは聖女見習いの頃に聖女を目指して切磋琢磨し、平民と公爵令嬢ではあったが親友になった。
私が聖女に任命されて、ミーシャ嬢は教会を出て私も忙しかったのでそれ以降会うことはなかった。
「そういうことでしたら仕方がないです。婚約破棄、聖女解任、国外追放の件、了承しました。」
ミーシャ嬢は公爵令嬢で身分的に問題ないし、私と違い美人だし、性格もいい。
カイン殿下と並ぶと美男美女のベストカップルだ。
それに教会長が自身の権力を増す為に毎日貴族の依頼人を連れてくるし、一部の聖女見習いが貴族の自分たちがなぜ聖女とはいえ平民の世話をしなきゃならないのかという不満からか嫌がらせや自分達の仕事を押しつけてくるので休む暇がない。
聖女を辞められる超嬉しい。
それに国から多額の予算や教会を訪れる国民からのお布施も多いはずなのに来客時や民衆の前出る時には聖女専用の服があるのでそれを着るが、普段は私だけみすぼらしいボロボロの服を着ている。
絶対に国からの聖女の予算や国民からお布施を教会長や教会幹部が横領しているに違いない。
出ていく私にはもう関係ないけどミーシャ嬢が聖女になればそんなこともなくなるかもしれないし、聖女見習いたちも協力的になるだろうから結果オーライかな。
「では私の聖女の力の一部を次代聖女のミーシャ嬢に譲渡したいのですがお許しいただけますでしょうか。」
「おお、ミーシャ嬢もチェルシーには及ばないが聖女の力は高いのだが、それは助かるぞ。よろしく頼む。」
「わかりました。」
そして私はミーシャ嬢に近づき、両手を握ると聖女の力を一部譲渡した。
するとミーシャ嬢の体全体が光り、光がおさまる頃には金髪だったミーシャ嬢の髪の色が高い聖女の力証明する銀髪となっていた。
「では譲渡も済みましたので、国を出る準備もありますので、教会に戻り着替えてすぐに国から出て行きたいと思います。
ミーシャ嬢も大変だと思いますが、聖女のお務め頑張ってくださいね。遠くからミーシャ嬢を祈って応援いたしますね。お二人ともお身体にお気をつけてでは失礼いたします。」
「はい。しっかり聖女としての務めを全ういたしますわ。」
おお、今まで一言も発せず、私を追い出すことになった負い目か下を向いていたミーシャ嬢が言葉を発したことに感動しながら私は王城を後にし、教会へ向かった。
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