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第弐拾捌話 王都をぶらつこう

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 昨日、ギルドに依頼完了の報告と賄い屋レガールの事後依頼の件を伝えた終えた私は、王都に来てから依頼ばかり受けていて、まだ王都を色々見て回ってないと思い、今日は一日王都をぶらぶらと見て回ることに決めた。

「王都ターブルロンドをぶらぶら、略してターぶら?ロンぶら?」

 前者は某漫画に出てくる魔導師の部下みたいだな(笑)
 そういえば、銀ぶらって、銀座をぶらぶらが正しいんだけど、日本にいた頃、ネットやテレビで銀座にある某喫茶店で、ブラジルコーヒーを飲むってのが銀ぶらの語源だってよくやってたな。
 まあどっちでもいいや。とりあえずふらぶらしよう。

「どんな食材があるかとか伯爵家三男が他にどんな料理を広めたのかも気になるし、市場や飲食店中心に回ってみようかな。」

 市場の場所は事前に教えてもらったのでさっそく市場に向かった。

「すみません。これなんですか?おとオススメの果物ありますか?」

 私は、市場で地球にある果物や野菜に似たものがあったら聞いたり、オススメのものを購入してたりしなかったりしていった。

「ああ、それはバナーヌで、こっちはアナナスだね。オススメか。今は春だからねフレーズとか美味しいよ。」

「じゃあ、フレーズをください。いくらですか?」

「はいよ。小銀貨七枚だよ。」

「こんだけ入って小銀貨七枚。安いですね。」

「そうなんだよ。今年は豊作らしくてな。安く仕入れられたんだよ。だからお客さんにも安くってことさ。例年なら大銀貨一枚くらいだな。」

 購入したイチゴに似たフレーズは地球のイチゴより大粒で、三パック分くらいの量はある。
 地球だと大粒のイチゴだと一パックで七百円くらいしたりするのに……
 今年は、三パック分の量が、地球での一パック分のお値段で買えちゃうなって安すぎる。
 購入しなかったが、バナーヌはバナナ、アナナスはパイナップルに似た果物だ。

「はい。小銀貨七枚ね。」

「丁度だな。買ってくれて、ありがとよ。また来てくんな。」

「は~い。」

 ターブルロンドは近くに海がないらしく、魚や貝類など海産物は見当たらなかった。
 そして、市場は一通り見て回ったので、フレーズを無限収納に仕舞い、飲食店巡りに向かった。

「やっぱりスイーツは食べたいから、店探してみよう。」

 スイーツ店を探してみたが、見当たらないので、道行く人に聞いてみることにした。

「すみません。きいてもいいですか?」

「何だい、お嬢ちゃん」

「甘いお菓子が食べられるお店ってどこか知りませんか?」

「甘いお菓子が食べられるって、お店の中でお菓子が食べられる店ってことでいいのかい?」

「はい。そうです。」

「そういう店はないよ。お菓子はクッキーとかは売っている店はあるけど、テイクアウトしかないね。クッキーなんて家庭で作るものだからプレゼント用に買うくらいで普段は買わないしね。」
「ケーキってのもあるだけど、パウンドケーキもそれぞれの家庭で作るもんだし、店はないね。お貴族様しか食べられないくらい高いケーキもあるらしいけど、私らには食べることできないからねよ。」

 なんですと~。スイーツが食べられる店がないだとお~。これは確認のため聞いてみちゃおう。

「あの~、プリンって聞いたことないですか?」

「プリン? 何だいそりゃあ。」

「わかりました。ありがとうございました。」

「あいよ。」

 これは確定だ。転生者がプリンを作り広まるのは定番。なのにこの世界にはプリンがない。
 私が知っている限り、伯爵家の三男は、醤油や味噌、日本酒、丼もの、漬物、生姜焼は作り広まって、この世界に定着している。
 でもスイーツ系は、甘いものが好きじゃなかったのか作られることがなかったからこの世界にはないんだ。きっと。
 身体が甘いものを欲しているけど、無いものは仕方がない。
 とりあえず、お昼ごはんをどこかで食べて、屋敷に帰ってから無限収納から地球のプリンを出して食べよう。

「いつも食べるのレガールか、ギルド酒場だから新しいお店を開拓しよう。そろそろ麺類食べたいな。そういえばレガールもギルド酒場も麺類扱ってないな」
「麺類のお店を探そう。ラーメンもあるかもしれないし、スイーツはなかったけど、日本人の転生者だったんならきっとラーメンを作り広まっているはずだ……」

 しばらく、散策するとついに発見した看板。

「ラーメンじゃなく、ラメーンって書いてあるけど、この匂いは間違いない。」

 悩むこと無く、店内へ入っていく。

「いらっしゃやせ~お客様は何名様ですか?」

「一名です」

「一名様ごあんな~い。お好きな席へどうぞ。」

 お客が少なかったので、十一席あるカウンターの真ん中の席に座る

「ご注文いかがいたしましょう~」

「もう少し考えます。決まったら声掛けます。」

「かしこまりやした~」

 おお、聞き覚えのあるこのやり取り、そして異世界には似つかわしくない受け入れられている事に驚きを感じてしまう、この臭めのとんこつの臭い。
 豚骨の臭みがだめでとんこつラーメンが苦手だって人もいるけど、これは堪らん。
 メニューを見てすぐさま、注文するものが決まった。

「すみません。注文お願いします。」

「あいよ。何しましょう。」

「オークキング骨ラメーン、バリカタで」

「かしこまりました。」

「オークキングラメーン、バリカタ入りました。」

 しばらく待つと注文したものが目の前に置かれた。

「お待たせした。オークキングラメーン、バリカタお待ち」

 おお、この白濁スープいいね。
 何も加えずそのままで、先ずはスープを口に含む。

 ああ、これこれ、しみわたる~。
 次は麺いっちゃうよ。

「ちゃんと、極細麺だあ。ズルズル ズルズル スープが麺に絡んでうまし」

 とんこつラーメン出すお店で細麺と太麺選べるとこもあったりするけど、とんこつラーメンと言ったらやっぱり極細麺だよね。
 私のイメージだけど……
 そして、半分くらい食べ進めた頃、あれいっちゃうよ、あれ……

「替え玉、バリカタでお願いします」

「替え玉、バリカタ入りました」

「はい替え玉、バリカタね」

 麺をスープに投入し、麺をほぐし、今度は置かれているすりゴマを加える。
 このあと、二回替え玉を頼み、ニンニク(こっちではアイユというらしい)を加えたりして、久しぶりのラーメンにお腹いっぱいになり、満足して屋敷に戻ったアオイは、異世界にはなかったプリンを堪能した。

 替え玉、計三回もしてお腹いっぱいだったのに、プリンを二個も完食したアオイであった。
 甘いものは別腹ってやつだ。
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どうやら、我慢する必要はなかったみたいです。

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