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第1章 召喚編

006 俺の扱い

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#006 俺の扱い

 リリアーナさんは俺を屋敷で下ろした後、国王様に報告すると言うことでそのまま馬車で出て行ってしまった。




 夕方になってリリアーナさんが帰ってきた。何か疲れた顔をしている。

「カンザキ様、カンザキ様の扱いが決まりました。陛下からは私に面倒を見るように言いつけられました。
 私のしでかした誤召喚でご迷惑をおかけした上で、その私に面倒を見られるのは不安かもしれませんが、どうかよろしくお願いします」

 別に不安なわけじゃないんだけどね。会社に行かなくて済むだけでもラッキーって感じだし。

「気にしてませんから大丈夫ですよ。正直元の世界にいても良い事なかったですし」

 そう言うと余計に恐縮してしまった。

「そう言っていただけるとありがたいです。
 とりあえずこの世界の説明だけざっとさせていただきますね。
 魔王の話はだいたい終わりましたし、後は日常生活でしょうか。
 朝と昼と夕方に鐘がなりますので、一般的にはそれで時間を把握します。朝の鐘で仕事を始めて夕方の鐘で終わると言う感じでしょうか。
 それとお金に関してもお話ししておきましょうか。
 この世界では硬貨を使っていまして、鉄貨、大鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨となっています。
 1鉄貨が1Rです。単位はリラですね。それぞれ10倍の価値を持ちます。
 大体串焼きが銅貨数枚、宿は大銅貨5-6枚でしょうか。平民の一年の収入が金貨3-4枚です」

 大体1R=1円で良さそうだ。平均年収が300万とかで生活できるのかね?

「政治体制としては王政をとっていまして、国王陛下を筆頭に貴族が納めています。私は公爵家の当主になります」

 あれ、公爵当主って女性でもなれるんだ。

「ふふ、本当なら兄弟に男がいればその人が公爵位を賜ったはずなのですが、残念ながら王族には男は一人、王太子がいるだけです。
 なので私が公爵位を賜ることになりました。
 婿はお父様が選ぶとの事ですが、難航しているようですね」

「あとは近隣諸国でしょうか。北にアレグスト帝国、東にロザリア王国、南にマモルス王国があります。それぞれ特色はありますが、この国は農業で成り立っています。食料自給率は世界一です。その分工業製品に関しては帝国に依存していますが。
 何にせよ、現在この大陸では争いは起きていません。それぞれの特色を生かして支え合っている感じです」

「普通の人は何をして生活してるんでしょうか?」

「普通ですよ?パンを売ったり、宿を経営したり。ああ、冒険者と言うのもありますね。異世界にはないかもしれませんね」

「冒険者ですか。俺の認識では魔物を倒したりする職業なんですが合ってますか?」

「大まかにはその通りです。それ以外にも商隊の護衛や採取など何でも仕事にしています。興味がおありですか?それでしたらギルドを案内させますが」

「そうですね。一度見ておきたいです」

 リリアーナさんが生活の面倒を見てくれるとは言っているが、自分で稼ぐ方法は模索したい。国の方針が変われば放り出される可能性もあるからな。

「では明日にでも案内させましょう。
 大体のところは説明したかと思いますが、他に質問などはありますか?」

「宗教ってのは女神教だけなんでしょうか?」

「地方によっては独特な宗教を持っている場所もありますが、この大陸ではリスモット様を祭る、女神教徒がほとんどです。女神様は大きな災害などを神託で教えてくださるので被害を抑えれます。他にも加護をいただいたりとお世話になっています」

 なんかイングリッド様?が言ってた神様の世界の情勢と違うな。多分リスモット様というのは下級神なんだろうけど、世界の管理は下級神がやってる感じなのかな?

「あと、魔法とかってあるんですよね?召喚魔法とか言ってましたし」

「もちろんです。と言っても専門の教育を受ける必要があるので人数は少ないですが。
 カンザキ様は加護がないのでおそらく魔法は使えないとは思うのですが・・・いえ、異世界人ですからね。使える可能性はないとは言い切れませんね。まあ勉強するだけで数年はかかりますから希望されるなら学院のほうに手を回しますが、どうされますか?学院に入っても魔法が使えるようになる保証はありませんが」

「いえ、それなら結構です」

 数年で帰れるのだ。その間ずっと勉強してるなんて冗談じゃない。

「それではこれからはどうされますか?別に生きていくだけであれば当家でずっといてもらっても構いませんが、それだと退屈でしょう?何か趣味でも持たれた方が良いと思いますよ」

「考えておきます」

 趣味か。確かに数年間何もせずにいるだけってのも・・・良いんじゃないか?俺って十分働いたよね?数年くらい休んでもバチは当たらないよね?
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