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野球しようぜ!④(小学五年生)
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「く~! あんなの当たんないわよぉ」
五番バッターの小川さんは空振り三振に倒れた。当たれば飛んでいきそうなスイングだったんだけどね。ものすごい大振りだったけど。
これでスリーアウト、チェンジだ。一回表の攻撃は終わった。
一対〇。俺達五年生チームのリードだ。
だが六年生チームの攻撃はこれからである。気を引き締めていかなきゃならないだろう。
「しまっていこー!!」
グラウンドに大声を響かせる。守備についたみんなも応えるように声を返してくれた。
キャッチャーマスクを被り、俺も守備位置につく。マウンドに立つ本郷は自信満々だと態度に出ていた。相手は六年生だってのに強気だねぇ。
そんな本郷がいるからこそ、俺達も強気でいられる。俺はミットを構えた。
相手ピッチャーに触発されてなのか、本番モードの本郷が投げるボールには勢いがあった。
ズバンッ! ズバンッ! と続けて気持ちのいい音を響かせてくれる。坂本くんの速い球と比べても負けていない。
六年生チームの一番と二番バッターを連続三振に仕留める。最高の出だしだろう。
「あいつ、けっこう良い球投げるじゃねえか」
声に顔を上げれば、三番バッターの坂本くんが右打席に入るところだった。
マウンド上でも風格を感じてはいたけど、打席に立っている姿からもできる奴って感じがする。これが小学生だなんてね。将来が楽しみである。
「まあ、お手柔らかにお願いします」
「ハッ、お前にもタイムリー打たれたの忘れてねえからな」
おっと、怖い目つきがこっちにもきたぞ。キャッチャーマスクしていて助かった。
さっきまでと同じ気持ちで挑んでいたら打たれそうだ。低めにミットを構える。
ダイナミックな投球動作から、小学生レベルでは剛速球であろうボールが放たれる。相手の実力を感じ取ったのか、一段ギアを上げたようだ。
「ボール!」
だが指先から放たれた球はストライクゾーンよりも高かった。
さらにボール球を二つ続けてしまう。本郷が逃げているわけじゃない。良い球を投げようとした結果、力んでコントロールできなくなっているのだろう。悔し気な顔がそう物語っている。
ボール球を三つ続けてしまった。あと一つでフォアボールだ。ただで塁に出すわけにはいかない。
まずは一つ、ストライクがほしい。真ん中に構えて……ってのは本郷らしくないか。
スポーツに関しては常に真剣だ。そんな奴がストライクを置きにいく球を投げるはずがない。
勝負だ。俺は変わらず低めにミットを構えた。
「ストライク!」
バシッ! と構えたところにきた。こいつ、追い込まれてからがすごいな。どんな心臓してるんだよ。
「そうこなくっちゃよ」
坂本くんも嬉しそうに口角を上げる。
第五球。豪快なフォームからの一球は威力充分。
けれど、甘いコースだった。
坂本くんが鋭いスイングでボールを捉えた。痛烈な打球がピッチャー本郷の右を抜けていく。
「と」
そのままセンター前ヒットかと思われた打球を、セカンドの守備についていた赤城さんが飛びついて捕球した。
「嘘だろ!?」
一塁へ走る坂本くんが驚く。俺も驚いた。
でも捕るのが精いっぱいだ。送球できる態勢ではない。
「木之下っ」
「任せて!」
そんな考えをあっさりと裏切ってくれた。赤城さんはショートの瞳子ちゃんへとボールをトスした。受け取った瞳子ちゃんは駆ける勢いのまま送球する。
瞳子ちゃんが投げた球を、ファーストの小川さんがキャッチした。ほぼ同時に坂本くんが一塁ベースを駆け抜ける。
「セーフ!」
ファインプレーだったけど、僅かな差で間に合わなかった。坂本くんの足が並だったらアウトだったはずだ。
次は四番キャッチャーの田中くん。いかにも打ちそうな体格だ。本郷の球をジャストミートした坂本くん以上の打力があると覚悟しておいた方がいいだろう。
でも、こっちには鉄壁の二遊間コンビがいるんだとわかったはず。敵には脅威に、味方には頼もしく映った。ランナーは出したけれど、流れまでは渡してなんかいないぞ。
五番バッターの小川さんは空振り三振に倒れた。当たれば飛んでいきそうなスイングだったんだけどね。ものすごい大振りだったけど。
これでスリーアウト、チェンジだ。一回表の攻撃は終わった。
一対〇。俺達五年生チームのリードだ。
だが六年生チームの攻撃はこれからである。気を引き締めていかなきゃならないだろう。
「しまっていこー!!」
グラウンドに大声を響かせる。守備についたみんなも応えるように声を返してくれた。
キャッチャーマスクを被り、俺も守備位置につく。マウンドに立つ本郷は自信満々だと態度に出ていた。相手は六年生だってのに強気だねぇ。
そんな本郷がいるからこそ、俺達も強気でいられる。俺はミットを構えた。
相手ピッチャーに触発されてなのか、本番モードの本郷が投げるボールには勢いがあった。
ズバンッ! ズバンッ! と続けて気持ちのいい音を響かせてくれる。坂本くんの速い球と比べても負けていない。
六年生チームの一番と二番バッターを連続三振に仕留める。最高の出だしだろう。
「あいつ、けっこう良い球投げるじゃねえか」
声に顔を上げれば、三番バッターの坂本くんが右打席に入るところだった。
マウンド上でも風格を感じてはいたけど、打席に立っている姿からもできる奴って感じがする。これが小学生だなんてね。将来が楽しみである。
「まあ、お手柔らかにお願いします」
「ハッ、お前にもタイムリー打たれたの忘れてねえからな」
おっと、怖い目つきがこっちにもきたぞ。キャッチャーマスクしていて助かった。
さっきまでと同じ気持ちで挑んでいたら打たれそうだ。低めにミットを構える。
ダイナミックな投球動作から、小学生レベルでは剛速球であろうボールが放たれる。相手の実力を感じ取ったのか、一段ギアを上げたようだ。
「ボール!」
だが指先から放たれた球はストライクゾーンよりも高かった。
さらにボール球を二つ続けてしまう。本郷が逃げているわけじゃない。良い球を投げようとした結果、力んでコントロールできなくなっているのだろう。悔し気な顔がそう物語っている。
ボール球を三つ続けてしまった。あと一つでフォアボールだ。ただで塁に出すわけにはいかない。
まずは一つ、ストライクがほしい。真ん中に構えて……ってのは本郷らしくないか。
スポーツに関しては常に真剣だ。そんな奴がストライクを置きにいく球を投げるはずがない。
勝負だ。俺は変わらず低めにミットを構えた。
「ストライク!」
バシッ! と構えたところにきた。こいつ、追い込まれてからがすごいな。どんな心臓してるんだよ。
「そうこなくっちゃよ」
坂本くんも嬉しそうに口角を上げる。
第五球。豪快なフォームからの一球は威力充分。
けれど、甘いコースだった。
坂本くんが鋭いスイングでボールを捉えた。痛烈な打球がピッチャー本郷の右を抜けていく。
「と」
そのままセンター前ヒットかと思われた打球を、セカンドの守備についていた赤城さんが飛びついて捕球した。
「嘘だろ!?」
一塁へ走る坂本くんが驚く。俺も驚いた。
でも捕るのが精いっぱいだ。送球できる態勢ではない。
「木之下っ」
「任せて!」
そんな考えをあっさりと裏切ってくれた。赤城さんはショートの瞳子ちゃんへとボールをトスした。受け取った瞳子ちゃんは駆ける勢いのまま送球する。
瞳子ちゃんが投げた球を、ファーストの小川さんがキャッチした。ほぼ同時に坂本くんが一塁ベースを駆け抜ける。
「セーフ!」
ファインプレーだったけど、僅かな差で間に合わなかった。坂本くんの足が並だったらアウトだったはずだ。
次は四番キャッチャーの田中くん。いかにも打ちそうな体格だ。本郷の球をジャストミートした坂本くん以上の打力があると覚悟しておいた方がいいだろう。
でも、こっちには鉄壁の二遊間コンビがいるんだとわかったはず。敵には脅威に、味方には頼もしく映った。ランナーは出したけれど、流れまでは渡してなんかいないぞ。
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