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8.旅立つために
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金髪にまだ幼さが残る顔立ち。なのに体は誰がどう見ても成人女性だ。……いつの間にか大人になったんだよなぁ。
そんなフィーナは今日一日ずっとビキニアーマーを着用している。本人は冒険に出てからもこのビキニアーマーを愛用するつもりなのだろう。
「このビキニアーマーがあればテッドの攻撃なんか効かないぞ! ビキニアーマーさえあればテッドに勝てるってところを見せてやる!」
「年頃の女の子がビキニアーマーって連呼するんじゃありません!」
このままではフィーナはビキニアーマーに依存してしまう。どんだけ気に入ってんだよ。
フィーナは胸も尻も発育が良すぎた。ビキニアーマーで隠しているとはいえ溢れんばかりで目に毒だ。男は毒に侵されるとすぐに我を失うケダモノなのだ。外でも男どもはフィーナに群がるに決まっている。
やはりフィーナにビキニアーマーは危険だ。なんとかしなければならない。
「俺が勝ったらフィーナにはビキニアーマーを脱いでもらうぞ。いいな?」
「う……。テッドがそこまで言うなら……構わないぞ」
待て待て、恥ずかしがるのは良い傾向だが、今のフィーナの発言はなんだかループしている気がする。これじゃあ俺の意図は伝わらない。
「いくぞ!」
俺が口を開くよりも早く、フィーナが攻めてきた。
武器も何も持っていないのに怒涛のラッシュだ。防戦一方になってしまう。女の拳じゃないっ。
フィーナの打撃は繰り出すだけで空気を破裂させるような音がする。まともにもらえばその辺の魔物ならひとたまりもないだろう。
戦士としての力は充分。あのおじさんの娘なのだ。剣があってもなくても強いことには変わらない。
俺だってフィーナを認めている。実力を疑っているなんてことはない。
「だがな、まだまだ負けてやるつもりはねえぞ!」
兄貴分として、妹分には負けられない。
フィーナに足をかけて転ばせる。追撃の踏みつけはさすがにかわされた。転がる勢いで立ち上がってきた。
俺達はこれまで何度戦ってきただろうか。小さい頃から始めたことで、もういつから始めたことか覚えていない。どれだけの回数を重ねたかなんて数えるのも馬鹿らしい。
「私も負けないーー!! 絶対テッドに認めてもらうんだ!!」
子供のような感情的な反論。でもその攻撃は大人顔負けのものだった。
なんとかかわしていく。下手な防御ではやられてしまうだろう。
子供の頃は可愛らしくて、本当に子供程度の力しかなかったフィーナ。
最初は遊び気分の戦いだった。フィーナに付き合ってごっこ遊びをしていただけだ。
今では本気でやらなければやられてしまう。それだけの戦士になっていた。
(フィーナも成長したんだな……)
これだけ接していればわかる。実力を認めざるを得ない。きっと冒険者としてやっていけるだろう。アリシアもいるんだから心配なんてないはずだ。
「でぇいっ!」
「このぉっ!」
俺達はヒートアップしていく。空気が破裂し、大地が割れた。それでもお構いなしに打ち合いが繰り広げられる。
その最中、俺の蹴りがフィーナにクリーンヒットした。
「っ!?」
瞬時にまずいと思った。いくらなんでもやり過ぎた。そう確信できるだけの一撃だった。
しかし今回は違っていた。何か間に挟まったかのような感触。ビキニアーマーの魔力が俺の一撃を相殺していると気づいた。
効果は目で見てわかった。クリーンヒットしたはずなのにフィーナの身体には傷一つつかなかった。
それどころか蹴りの衝撃すら相殺されてしまったようだ。クリーンヒットした攻撃はなかったかのように、フィーナに何一つダメージを与えられなかった。
これがビキニアーマーの力か……。
思った以上の性能だ。フィーナとおじさんがどれだけこの鎧と呼べるのか怪しいものに絶大な信頼を寄せていたのか。ちょっとはわかった気がした。
これなら大丈夫だろう。フィーナは戦士としての実力は申し分ない。それに魔法技術に長けたアリシアだっている。俺が心配することなんて、きっともう何もないのだ。
最後の拳を繰り出す。これをフィーナはギリギリでかわし、カウンターの一撃を俺に叩き込むだろう。
本当に強くなったな、フィーナ……。
「……あ?」
穏やかな気持ちで繰り出した攻撃をフィーナはギリギリでかわした。そこまでは想定通りだった。
だがギリギリすぎて少しかすった。胸部を覆うビキニアーマーの背中側を、である。
瞬時に嫌な予感がした。ていうか嫌な音がした。こう、ブツンッて聞こえた。
それはすぐに結果として表れた。
「「「うおおおおおおおおおおーーっ!!」」」
野太い声が大地を轟かせた。誰が聞いても男率一〇〇%である。
事実だけを述べよう。フィーナの体を覆っていたビキニアーマーがあっさりと取れてしまった!
露になるのは立派な胸部。兄貴分としてフィーナも大人になったのだなぁとしみじみ。
そんな穏やかな気持ちも、ガチャンッとビキニアーマーが地面に落ちた音で我に返る。
「フィ、フィーナ!」
さっきまでの防御力はなんだったのか。紙切れ以下となったフィーナの防御力にさすがの俺も慌てた。
「ひやあっ!?」
いくら家族同然の村の連中とはいえ、裸を大勢の男から見られるなんて可哀そうだ。
そう思った時には体が勝手に動いていた。具体的に言えば、俺は両手でフィーナの胸を掴んでいた。
やましい気持ちはなかったと断言しよう。ただ男連中の目から隠してやらなければならない。考えていたのはそればかりだった。
俺の手とビキニアーマー。胸を覆う面積だけでいえばそれほど大差はなかっただろう。
「テ……テッ、テッド……っ。テッドの手が……手がぁ……ててててててててて……」
さて、胸を掴まれた当人はといえば、みるみる顔を真っ赤にさせていた。
この時点でも、俺は自分が正しいことをしていると思い込んでいた。実は相当混乱していたらしい。
「ブフーー!」
限界まで顔を赤くしたフィーナは、ついに倒れてしまった。しかも盛大に鼻血を噴くというおまけつきである。
こうしてフィーナは最後に伝説を残していったのだ。後にこの日が血の成人式と呼ばれるようになったとかならなかったとか。俺も知らない。
※ ※ ※
「では、行ってきます!」
次の日。フィーナとアリシアが旅立つ日。村人総動員で見送りをした。
昨晩のことがなかったかのように明るい表情のフィーナだった。冒険のワクワクは羞恥を上回っているようだ。
「兄さん、本当に行かないの?」
「ああ、気をつけてなアリシア」
俺の答えにアリシアは渋い表情で引き下がった。
フィーナが最後まで「いっしょに冒険に出よう!」と誘ってくるかと思ったが、今日は一度もそんなことは口にしなかった。まあチラチラ視線は感じているのだが。
「フィーナ、アリシア。がんばってこいよ」
別れのあいさつをして、二人は旅立った。後ろ姿が見えなくなるまで見送っていた。
「テッドくん、いいのか?」
娘のフィーナを見送った大柄な男が口を開いた。
「何がだクソジジイ」
「その呼び方のまんまなんだ……」
図体のでかい男が落ち込むポーズ。とても迷惑に感じる。
「好きな女が行っちまってもいいのかってんだよ?」
「……」
クソジジイが顔を覗き込んでくる。すごく迷惑だ。
「……いいんだよ。フィーナなら冒険者の強くてかっこいい奴とか金持ちの貴族とか、より取り見取りだろ」
「テッドくんはヘタレだな」
クソジジイをぶん殴ろうと思ったが、きっと今はそれだけの力は出ないだろう。
「村の復興だとか、体のいいこと言ったつもりかもしれねえがよ。ただ動けねえだけってんならかっこ悪いぜ」
村を復興したい気持ちがあるのは本当だ。でも、言い返せないのはそれがただの理由付けにしかなっていない証明だった。
「せっかくビキニアーマーで露出を増やしてやったってのによ。焦って冒険に出りゃあいいのにこれだよ。あれ高かったんだぞ。若者なんだからもっとがっつけよ」
「おい、ビキニアーマーの理由はそれか? そんだけの理由であんな格好で冒険に出しちゃったのか?」
なんてオヤジだ。見損なったぜ。いやこういう人だったわ。
「なあテッドくん。村の復興がどうとかって言ってたがな、それこそ俺達大人を見損なうんじゃねえぞ」
「……おじさん」
強面の表情が人懐っこそうにニカッと笑った。やっぱり怖かった。
「冒険に出て外の連中に村の良いとこ宣伝してきてくれや。俺達村人一同、おもてなしするからよ」
背中を叩かれる。よくもまあフィーナとアリシアはあっさりと一歩を踏み出せたものだ。
どっちが良いとかじゃなく、もっと簡単に考えればよかった。自分のやりたいことを選択すればよかった。それをギリギリになって思うことができた。
「俺も、行ってきます!」
背中を叩かれた勢いのまま走り出す。すぐに二人の背中が見えてきた。
今さらついて行くのはちょっとかっこ悪い。でも、まずは一言口にしなければならないだろう。
「フィーナ! やっぱりそのビキニアーマーは脱ぎなさい!」
いろんな意味で防御力の低い彼女のことを、俺は放ってはおけないようだ。
そんなフィーナは今日一日ずっとビキニアーマーを着用している。本人は冒険に出てからもこのビキニアーマーを愛用するつもりなのだろう。
「このビキニアーマーがあればテッドの攻撃なんか効かないぞ! ビキニアーマーさえあればテッドに勝てるってところを見せてやる!」
「年頃の女の子がビキニアーマーって連呼するんじゃありません!」
このままではフィーナはビキニアーマーに依存してしまう。どんだけ気に入ってんだよ。
フィーナは胸も尻も発育が良すぎた。ビキニアーマーで隠しているとはいえ溢れんばかりで目に毒だ。男は毒に侵されるとすぐに我を失うケダモノなのだ。外でも男どもはフィーナに群がるに決まっている。
やはりフィーナにビキニアーマーは危険だ。なんとかしなければならない。
「俺が勝ったらフィーナにはビキニアーマーを脱いでもらうぞ。いいな?」
「う……。テッドがそこまで言うなら……構わないぞ」
待て待て、恥ずかしがるのは良い傾向だが、今のフィーナの発言はなんだかループしている気がする。これじゃあ俺の意図は伝わらない。
「いくぞ!」
俺が口を開くよりも早く、フィーナが攻めてきた。
武器も何も持っていないのに怒涛のラッシュだ。防戦一方になってしまう。女の拳じゃないっ。
フィーナの打撃は繰り出すだけで空気を破裂させるような音がする。まともにもらえばその辺の魔物ならひとたまりもないだろう。
戦士としての力は充分。あのおじさんの娘なのだ。剣があってもなくても強いことには変わらない。
俺だってフィーナを認めている。実力を疑っているなんてことはない。
「だがな、まだまだ負けてやるつもりはねえぞ!」
兄貴分として、妹分には負けられない。
フィーナに足をかけて転ばせる。追撃の踏みつけはさすがにかわされた。転がる勢いで立ち上がってきた。
俺達はこれまで何度戦ってきただろうか。小さい頃から始めたことで、もういつから始めたことか覚えていない。どれだけの回数を重ねたかなんて数えるのも馬鹿らしい。
「私も負けないーー!! 絶対テッドに認めてもらうんだ!!」
子供のような感情的な反論。でもその攻撃は大人顔負けのものだった。
なんとかかわしていく。下手な防御ではやられてしまうだろう。
子供の頃は可愛らしくて、本当に子供程度の力しかなかったフィーナ。
最初は遊び気分の戦いだった。フィーナに付き合ってごっこ遊びをしていただけだ。
今では本気でやらなければやられてしまう。それだけの戦士になっていた。
(フィーナも成長したんだな……)
これだけ接していればわかる。実力を認めざるを得ない。きっと冒険者としてやっていけるだろう。アリシアもいるんだから心配なんてないはずだ。
「でぇいっ!」
「このぉっ!」
俺達はヒートアップしていく。空気が破裂し、大地が割れた。それでもお構いなしに打ち合いが繰り広げられる。
その最中、俺の蹴りがフィーナにクリーンヒットした。
「っ!?」
瞬時にまずいと思った。いくらなんでもやり過ぎた。そう確信できるだけの一撃だった。
しかし今回は違っていた。何か間に挟まったかのような感触。ビキニアーマーの魔力が俺の一撃を相殺していると気づいた。
効果は目で見てわかった。クリーンヒットしたはずなのにフィーナの身体には傷一つつかなかった。
それどころか蹴りの衝撃すら相殺されてしまったようだ。クリーンヒットした攻撃はなかったかのように、フィーナに何一つダメージを与えられなかった。
これがビキニアーマーの力か……。
思った以上の性能だ。フィーナとおじさんがどれだけこの鎧と呼べるのか怪しいものに絶大な信頼を寄せていたのか。ちょっとはわかった気がした。
これなら大丈夫だろう。フィーナは戦士としての実力は申し分ない。それに魔法技術に長けたアリシアだっている。俺が心配することなんて、きっともう何もないのだ。
最後の拳を繰り出す。これをフィーナはギリギリでかわし、カウンターの一撃を俺に叩き込むだろう。
本当に強くなったな、フィーナ……。
「……あ?」
穏やかな気持ちで繰り出した攻撃をフィーナはギリギリでかわした。そこまでは想定通りだった。
だがギリギリすぎて少しかすった。胸部を覆うビキニアーマーの背中側を、である。
瞬時に嫌な予感がした。ていうか嫌な音がした。こう、ブツンッて聞こえた。
それはすぐに結果として表れた。
「「「うおおおおおおおおおおーーっ!!」」」
野太い声が大地を轟かせた。誰が聞いても男率一〇〇%である。
事実だけを述べよう。フィーナの体を覆っていたビキニアーマーがあっさりと取れてしまった!
露になるのは立派な胸部。兄貴分としてフィーナも大人になったのだなぁとしみじみ。
そんな穏やかな気持ちも、ガチャンッとビキニアーマーが地面に落ちた音で我に返る。
「フィ、フィーナ!」
さっきまでの防御力はなんだったのか。紙切れ以下となったフィーナの防御力にさすがの俺も慌てた。
「ひやあっ!?」
いくら家族同然の村の連中とはいえ、裸を大勢の男から見られるなんて可哀そうだ。
そう思った時には体が勝手に動いていた。具体的に言えば、俺は両手でフィーナの胸を掴んでいた。
やましい気持ちはなかったと断言しよう。ただ男連中の目から隠してやらなければならない。考えていたのはそればかりだった。
俺の手とビキニアーマー。胸を覆う面積だけでいえばそれほど大差はなかっただろう。
「テ……テッ、テッド……っ。テッドの手が……手がぁ……ててててててててて……」
さて、胸を掴まれた当人はといえば、みるみる顔を真っ赤にさせていた。
この時点でも、俺は自分が正しいことをしていると思い込んでいた。実は相当混乱していたらしい。
「ブフーー!」
限界まで顔を赤くしたフィーナは、ついに倒れてしまった。しかも盛大に鼻血を噴くというおまけつきである。
こうしてフィーナは最後に伝説を残していったのだ。後にこの日が血の成人式と呼ばれるようになったとかならなかったとか。俺も知らない。
※ ※ ※
「では、行ってきます!」
次の日。フィーナとアリシアが旅立つ日。村人総動員で見送りをした。
昨晩のことがなかったかのように明るい表情のフィーナだった。冒険のワクワクは羞恥を上回っているようだ。
「兄さん、本当に行かないの?」
「ああ、気をつけてなアリシア」
俺の答えにアリシアは渋い表情で引き下がった。
フィーナが最後まで「いっしょに冒険に出よう!」と誘ってくるかと思ったが、今日は一度もそんなことは口にしなかった。まあチラチラ視線は感じているのだが。
「フィーナ、アリシア。がんばってこいよ」
別れのあいさつをして、二人は旅立った。後ろ姿が見えなくなるまで見送っていた。
「テッドくん、いいのか?」
娘のフィーナを見送った大柄な男が口を開いた。
「何がだクソジジイ」
「その呼び方のまんまなんだ……」
図体のでかい男が落ち込むポーズ。とても迷惑に感じる。
「好きな女が行っちまってもいいのかってんだよ?」
「……」
クソジジイが顔を覗き込んでくる。すごく迷惑だ。
「……いいんだよ。フィーナなら冒険者の強くてかっこいい奴とか金持ちの貴族とか、より取り見取りだろ」
「テッドくんはヘタレだな」
クソジジイをぶん殴ろうと思ったが、きっと今はそれだけの力は出ないだろう。
「村の復興だとか、体のいいこと言ったつもりかもしれねえがよ。ただ動けねえだけってんならかっこ悪いぜ」
村を復興したい気持ちがあるのは本当だ。でも、言い返せないのはそれがただの理由付けにしかなっていない証明だった。
「せっかくビキニアーマーで露出を増やしてやったってのによ。焦って冒険に出りゃあいいのにこれだよ。あれ高かったんだぞ。若者なんだからもっとがっつけよ」
「おい、ビキニアーマーの理由はそれか? そんだけの理由であんな格好で冒険に出しちゃったのか?」
なんてオヤジだ。見損なったぜ。いやこういう人だったわ。
「なあテッドくん。村の復興がどうとかって言ってたがな、それこそ俺達大人を見損なうんじゃねえぞ」
「……おじさん」
強面の表情が人懐っこそうにニカッと笑った。やっぱり怖かった。
「冒険に出て外の連中に村の良いとこ宣伝してきてくれや。俺達村人一同、おもてなしするからよ」
背中を叩かれる。よくもまあフィーナとアリシアはあっさりと一歩を踏み出せたものだ。
どっちが良いとかじゃなく、もっと簡単に考えればよかった。自分のやりたいことを選択すればよかった。それをギリギリになって思うことができた。
「俺も、行ってきます!」
背中を叩かれた勢いのまま走り出す。すぐに二人の背中が見えてきた。
今さらついて行くのはちょっとかっこ悪い。でも、まずは一言口にしなければならないだろう。
「フィーナ! やっぱりそのビキニアーマーは脱ぎなさい!」
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