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第二部
134.二人の気持ちは暴走中
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「ふ……ん……くぅ……」
背中に大きくて温かな手のひらが滑らされる。何度も何度も、しつこいくらい続けられた。
こんなに丁寧にしていたんだ……。改めて体感してみると、ちょっとだけ嫉妬心が顔を出す。
「終わったぞ葵。……葵?」
「ん……はっ!? う、うんっ。ありがとうトシくんっ」
慌てて飛び起きようとして、それを慌てて押しとめる。
「……ごめんトシくん。その……水着の……後ろ、とめて……」
「あ、ああ! そうだなこれビキニだもんなっ」
トシくんが上の水着をとめてくれる。私からちゃんと塗ってもらうようにと外したのに、自分がビキニだとうっかり忘れていた。危うく落としてしまうところだった。
普段は初めてだからって油断しないのにな……。トシくんがあんなにも気持ちよくするのが悪いよ……。
でもいいんだ。私のビキニ姿にトシくん釘付けだったし。初めてのビキニは恥ずかしかったけど、勇気を出して着てみてよかった。
「と、俊成……。次はあたしの番よ……」
「お、おうっ。任せろ」
夏の太陽から守ってくれるビーチパラソルの下。日陰のシートに寝そべって、私はトシくんに日焼け止めクリームを塗ってもらった。
今度は瞳子ちゃんの番。普段の凛とした雰囲気は鳴りを潜めて今か今かと待っている。恥じらいと期待が入り混じった表情は、同性の私でもかわいらしく思う。顔を真っ赤にするくらい恥ずかしがっているのに、私と同じように無防備に背中をさらす。青色のビキニと合わさって色っぽい姿だ。
トシくんが私の時と同じように、瞳子ちゃんの背中に日焼け止めクリームを塗っていく。私よりも綺麗な白い肌に触れようとする彼は何を思っているのだろう。
「ひゃっ……んふぅ……」
触れられた瞬間、ピクンと反応する瞳子ちゃん。それが傍から見たさっきまでの私を見ているようで、急激に顔が熱くなる。
それでも目は逸らせなかった。別に監視するつもりはないのに、なんだか傍にいないと落ち着かない。瞳子ちゃんがくぐもった声を漏らす度に、背けようとする顔に力を込める。
私は何をやっているんだろう……。そうは思っていても、結局最後まで見届けてしまった。
「それじゃあしっかり準備体操するわよ」
トシくんに触れられて、顔を真っ赤にしていた瞳子ちゃんはいなくなっていた。元気よく準備体操するのを見ていると、さっきまで恥ずかしがっていたのが嘘みたい。
「葵、もっとしっかり体を動かすのよ。浮き輪があるからって油断しちゃダメなんだからね」
「わかってるよー。私だってちゃんとしてるもん」
そう言いつつも、さっきよりもちょっとだけ関節の可動域を広く動かすよう心掛ける。水難事故がとても怖いことだって、私達三人はよく知っているんだから。準備に手を抜いたりなんかしない。
瞳子ちゃんはきびきびと準備体操をしている。でも、トシくんはただの準備体操なのに迫力まで感じた。
筋肉があるからかな? 瞳子ちゃんがきびきびなら、トシくんはシュバッシュバッて動いているように見える。
トシくんって……本当にたくましくなったね……。
彼氏だから抱きついたりするけど、直に触れて筋肉を確かめてみたいなって……。それくらいはいいよね?
「はい。準備体操もこれくらいやれば充分ね。海に行くわよ葵」
パンッと手を叩いた瞳子ちゃんによって現実に引き戻された。はっとして、さっきまで考えていたことにみるみる恥ずかしさが湧いてくる。
「そうだね瞳子ちゃん! というわけで、私が一番に海に入っちゃうもんね!」
「あっ、コラ。ずるいわよ葵っ」
「二人とも転ぶなよー」
トシくんに膨らませてもらった浮き輪を持って海に向かって走り出す。顔が赤くなるのは恥ずかしいからじゃなくて走ったからだもんね。
日差しの強さに少しだけ目を伏せる。一歩海に入ってしまえば勝手に顔がほころぶ。それは瞳子ちゃんも同じで、二人して黄色い声を上げた。
「トシくん、早く早くー」
「冷たくて気持ちいいわよ。俊成も来なさいよ」
振り返ればトシくんがいる。それは決して夢でも幻でもない。それが当たり前のことなのに、彼を目にして私はひどく安堵した。
夢を、見ることがある。
その夢は現実感があって怖かった。ううん、今でも怖い……。
私は大人になっていて、トシくんも瞳子ちゃんも傍にはいない。
一人ぼっちの自分。だけど夢の中ではそれが当たり前のことのように受け入れている自分がいた。
夢なんてそんなものなのかもしれない。ありえない状況でも、夢を見ている最中は不思議にも思わないものだから。
だからってつらくないわけじゃない。二人がいないことに疑問を感じなくても、何かぽっかりと胸に穴でも空いてしまったかのような虚無感だけはあった。
苦しいけれど笑っている自分。そんな嘘つきの笑顔を張り付けている自分自身が恐ろしくてたまらない。
夢の現実味がどんどん増してきて、この夢はもしかしたら予知か何かを示しているのかと疑うようになった。
予知夢、という単語を聞いたことがある。妙に実感がこもった夢。これは私の未来を示唆した映像ではないかと考えた。
そう考えて、鳥肌が立つくらいぶるりと体を震わせた。
もし予知夢だったら……、悪夢どころの話じゃなくなる。だって現実に起こりえることなら目が覚めてもなかったことにはならないんだから。
トシくんの答えを覚悟して待っている。でも、夢が現実になったらどうしようという恐怖が、私の覚悟を揺さぶってくる。
できるだけ早く、トシくんと深い関係になりたい。純粋に彼を想う気持ちがある一方で、彼の手で不安を払拭してもらいたい気持ちも確かにあった。
早く、早く、早く! 気持ちばかりが急いでしまう。それだけ不安に追い立てられていても、トシくんと接する時だけは不安なんて忘れて安心できた。
忘れられるけれど、不安を解消できるわけじゃない。
「今日はトシくんを抜きにした、私達の話をしようよ」
だから瞳子ちゃんと話をしようと思った。彼女にしかできない話だと思ったから。
瞳子ちゃんも私と似た夢を見ていたと知っていたから。彼女の夢の内容も、詳細は違うにしても状況がよく似ていた。
私と瞳子ちゃんの夢が同じ予知夢だとしたら? そう仮定しても、やっぱりトシくんの存在がないことに説明がつかない。
予知夢なら私か瞳子ちゃんのどちらかの夢に出てくるはずだから。私達のどちらでもなく、まったく別の人とくっついてしまった? ……ありえない。
ただの悪夢と切ってしまうには夢を見る回数が多すぎる。それに、私も瞳子ちゃんも歳を重ねるごとに夢の現実味が増してきていた。まるであの光景がもうすぐ起こるのだと、そう迫っているみたいに。
まとまらない不安材料。それを整理するよう一つ一つ瞳子ちゃんに話した。
「……断定はできない。でもあたしも葵と同じでただの夢とは思えないわ」
瞳子ちゃんは青い顔をしながらも振り絞るように言った。
しばらく頭の中を整理しているのか瞳子ちゃんは黙っていた。そして、こくりと喉を鳴らして、再び口を開く。
「一つ……仮定の話を考えたのだけれど……聞いてくれるかしら?」
私は黙って頷いた。
それから続けられた仮定の話に、私はひどく動揺した。
「仮に、本当に予知夢だとして……その通りの未来が訪れるのだとしたら、俊成はあたし達の前からいなくなるってことよね。もし、その理由があたし達……俊成の意思も関係ないのだとしたら……、未来で俊成はなんらかの事故に遭ってしまう。いいえ、一向に夢に現れないとなると、もしものことがあったのかも……」
それ以上は瞳子ちゃんも言葉にならなかった。私も身が裂かれそうな思いになって聞いていられそうにない。
……でも、瞳子ちゃんの仮定の話を否定できないほど、私達の見る夢は現実味がありすぎた。
「……守らなくっちゃ」
「葵?」
「トシくんを、守らなくっちゃ」
「……そうね。今まで俊成に守られてきたんだものね。今度はあたし達が俊成を守る番よね」
瞳子ちゃんの瞳が決意の色に染まる。きっと、私も同じ目をしていた。
未来に何があるかはわからない。トシくんがどんな選択をするかはわからない。だとしても、私達にとってトシくんが大切な人に変わりないんだから。
「そろそろ旅館に戻るか」
「……うん」
「……そうね」
トシくんが緊張の色を帯びた声で言った。私と瞳子ちゃんは心をともに頷いた。
夕日に染まる海はとても綺麗で。ときめく胸の高鳴りは期待の証でもあった。
大切な人との深いつながりがほしい。
未来が不確定だからこそ、そう強く思う。あの夢を確定させないためにも、トシくんをもっとずっとずっと、離したくない……。
※ ※ ※
「ふぅ……、気持ちいいね瞳子ちゃん」
「うん。いいお湯加減だわ。これなら葵の緊張もほぐれたんじゃないかしら?」
「と、瞳子ちゃんだって緊張していたじゃないっ。すっごくフラフラしていたところ、ちゃんと見ていたんだからねっ」
葵といっしょに温泉を楽しむ。
昼間は海でたくさん遊んだ。楽しくて気づかなかったけれど、ちょっと疲れちゃっていたみたいね。ほっと吐息を零す。
体は入念に洗った。葵と洗いっこしたからお互い洗い残しなんてないはずよね。
「……」
「……」
体調は問題ないわ。ゆっくり温泉に浸かっていれば疲れもすぐ取れる。体の準備は整った。
あとは、心の問題だけね。
あたしも、葵だって覚悟はできている。付き合い始めた頃から意識していたことでもあったから。
そうやって自分の心を決めていたとしても、いざその時がくるとこうも臆病になるものなのだと実感させられる。
体が震えているのか、心が震えているのか。それすらわからなくなっている。
「あ、葵……その……」
無言の時間を止めたのはあたしの方からだった。
自分の方から口を開いたにもかかわらず、沸騰した頭からは何を言おうとしていたのか湯気とともに出ていってしまったかのように何も発せなかった。
「……不安、だよね」
葵がぽつりと言った。
微笑む葵の横顔からは不安を感じられなかった。そうやって表情で覆い隠しても、葵にも緊張や恐れがあるとあたしは知っている。
「俊成はその……本当に、あの……求めてくるって思う?」
俊成がこの旅行のためにがんばっていたのを知っている。今までと違う雰囲気、どんな気持ちであたし達を誘ったのか、察した上で覚悟していたつもりだった。
だけど、言葉にされたわけじゃない。そのまま夜が過ぎて、朝になって旅行がおしまい、なんてこともありそう……。
「大丈夫だよ。トシくんは、きっと求めてくるから」
ニッコリと笑う葵が心の底からすごいと思った。葵の笑顔があたしに信じる力を分け与えてくれる。
「だから私達はお祝いするの。だって、今日はトシくんのお誕生日なんだもんね」
葵の頬が朱に染まっているのは温泉のせいか、それとも……、それを詮索するのは野暮ね。
「そうよね。今日は俊成の誕生日なんだもの。特別な日……なのよね。いいえ、あたし達が特別な日にしなくっちゃいけないわ」
そう言い切ってあたしは口元まで湯船に沈み込んだ。熱くなる体は温泉のせいだわ。
チラリと横目で葵を盗み見る。
まとめられた黒髪は艶やかで、同性でも素直にかわいいと感想が漏れるほどの整った顔立ちをしている。
さらに視線を下げれば、思わず目を見張るほどの豊満な部位が飛び込んでくる。決して小さくないはずの自分の胸に手を当てて、その差に愕然とする。
あたしと葵。俊成だって比べてしまうだろう。どっちがいいかなんて、わかりきっている……。
はっとした時には葵と目が合っていた。
自分の視線のいやらしさに羞恥が押し寄せる。かぁと顔中どころか体中が熱くなった。
「瞳子ちゃん……」
「な、何かしら……?」
何を言われるのかとビクビクしてしまう。後ろめたさがあたしを責め立てる。
「瞳子ちゃん……。肌が綺麗で羨ましいなぁ」
「えぇ?」
「瞳子ちゃんの肌ってすごく白いよね。スタイルも均整がとれていて、手足も長くてモデルさんみたい。トシくんもよく見つめているし……男の人って瞳子ちゃんみたいな女の子が好きだよね」
それは葵の方よ。と、言える余裕はなかった。
もし比べられたら。その不安は共通のものに決まっている。あたしだけが思っていることじゃないんだものね。葵だって普通の女の子なんだもの。
だからあたしは背筋を伸ばす。堂々と、自信を持てるようにと。
「葵はかわいいわよ。俊成がいつも言ってくれるのだから自信を持ちなさい」
「え、あ、うん。トシくんの言葉を信じなきゃだもんね」
「そうよ。……俊成が言ってくれるのだから、あ、あたしもかわいいのっ。だから、俊成の前ではお互い自信を持ちましょう」
自分で自分のことがかわいいと口にするのってすごく恥ずかしい。
でも、葵が笑顔で頷いてくれたのだから、よしとしましょう。
葵があたしに勇気をくれるように、あたしだって葵を勇気づけられるんだからね。
「そろそろあたしは上がるわ。あまり入っているとのぼせちゃいそうだわ」
「あ、待ってよ瞳子ちゃん。……あれ? これって」
葵が壁に目を留める。あたしもつられて目を向けた。
そこには温泉の効能が記されていた。冷え性や肩こりなどに効くだとか、よくある症状が並んでいる。
「「あ」」
同時に声が漏れた。
記された症状に目を走らせ、一つの単語のところで固まった。
『子宝』
あたしと葵は温泉から上がったのにのぼせそうになってしまった。今のあたし達には刺激の強すぎる単語に、目を回してしまったのだ。
あの時。俊成の部屋で俊成がいない間に葵と二人で話をした。
あたしと葵にしかわからない話。とても現実味のある夢の話だ。
小さい頃から見始めた夢。俊成と葵がいなくて、大人の自分なのに独りぼっちで心が絞めつけられるような気持にさせられる。
それは連続性があって、歳を重ねるごとに現実感が増してきていた。
あたしも薄々思ってはいたけれど、葵は予知夢かもしれないと言った。それを聞いてあたしは一つの仮定が頭に過ってしまった。
それは俊成の身に何かが起こってしまうかもしれないと暗示しているという考え。予知夢が本当に起こりえるのだと信じるなら、だけれど。
あたしと葵の不安は尽きない。もしそれが現実になればと考えるだけで心が壊れてしまいそうになる。
そして、夢の中でのあたしはそうなってしまったのだろう。葵が傍にいないことからも明らかだ。おそらく俊成がいなくなったことのショックで疎遠になってしまったのね。
「……初めては、俊成がいいわよね」
「うん。絶対に」
それはあたし達の譲れない思いだ。
何があろうとも俊成を守る。俊成の味方であり続ける。そう二人で決めたものの、もしもを考えるとより強く彼を求めてしまう。
「……私、トシくんの初めての相手が瞳子ちゃんでもいいよ」
「え? い、いいい、いきなり何を言うのよっ」
「その代わり、瞳子ちゃんまでどこかに行っちゃ嫌だよ」
「……葵」
葵の瞳は揺れていた。
俊成はあたし達にとって大切な人。世界で一番大切な人だ。
そして、あたしと葵は世界で一番の親友なのだ。
震える彼女を、あたしは抱きしめた。
「大丈夫よ。俊成も、葵も、あたしの大切な人に変わりないの。何があっても守るわ。俊成も、葵も、二人ともね」
「瞳子ちゃん……ありがとう……」
嗚咽を漏らす葵を抱きしめ続けた。今それをできるのはあたししかいないのだから。
……そうやっていたのに、俊成が帰ってくる頃にはすっかり笑顔を取り戻していたのには驚きを通り越して呆れてしまう。むしろあたしの方が気にしているみたいじゃない。俊成もあたしが葵を抱きしめているタイミングで帰ってくるから、慌てて離れて変な態度をとってしまった。
考えることが多くて、時間はいくらあっても足りない。あの現実味のある夢の通りの未来を回避するために。そして、俊成に愛されるために。
温泉から上がり、あたしと葵は浴衣に着替えた。
ドライヤーで髪を乾かし鏡でチェックする。背中に髪を流して、微笑んでみせる。
早く俊成の口からかわいいと言ってもらいたくて、浴衣の合わせ目を気にしている葵を置いて脱衣所から出た。これくらいはいいわよね?
近くの売店で俊成の後姿を見つける。こっそり近づいたのに、驚く様子もなく彼は振り返った。
「お待たせ俊成」
あたしの姿を見て、俊成が微笑んでくれる。あたしの頬もほころんだ。
俊成に「かわいい」と言ってもらえる前に葵がきてしまった。それでもいつも通りの態度となった葵に、つい噴き出してしまう。
「なあ、牛乳飲まないか? やっぱり温泉から出た後の定番だしね」
「やった! 温泉から出たらやっぱりフルーツ牛乳だよねっ」
「ふふっ。葵ったらフルーツ牛乳が好きなのは昔から変わらないんだから」
「えー、そんなこと言っちゃってー。瞳子ちゃんも昔からいちご牛乳が好きでしょ?」
俊成の提案で売店で牛乳を買った。
三人で牛乳を飲んでいると懐かしさが込み上げてくる。やっぱり三人いっしょの空気が好き。
「さて、部屋に戻ろうか。……瞳子の浴衣姿、かわいいぞ。下ろした髪もいつもと雰囲気が違って似合ってる」
「あ、ありがとう……俊成がそう言ってくれて、嬉しいわ」
俊成が耳元であたしだけに聞こえる褒め言葉をくれた。
俊成がちゃんと「かわいい」と言葉にしてくれて、言葉以上の嬉しさがあたしの心を満たしてくれる。
もちろん葵のことも褒めていたけれど、それで腹が立つことはなかった。それ以上に、うるさくなってきた胸の鼓動を気づかれないようにするので精一杯だった。
俊成ったら、もうっ……大好き……。
あたし達は部屋へと戻る。心が急かされるのを自覚しながら、ゆっくりと歩を進めた。
――そして、ついに夜が訪れた。
背中に大きくて温かな手のひらが滑らされる。何度も何度も、しつこいくらい続けられた。
こんなに丁寧にしていたんだ……。改めて体感してみると、ちょっとだけ嫉妬心が顔を出す。
「終わったぞ葵。……葵?」
「ん……はっ!? う、うんっ。ありがとうトシくんっ」
慌てて飛び起きようとして、それを慌てて押しとめる。
「……ごめんトシくん。その……水着の……後ろ、とめて……」
「あ、ああ! そうだなこれビキニだもんなっ」
トシくんが上の水着をとめてくれる。私からちゃんと塗ってもらうようにと外したのに、自分がビキニだとうっかり忘れていた。危うく落としてしまうところだった。
普段は初めてだからって油断しないのにな……。トシくんがあんなにも気持ちよくするのが悪いよ……。
でもいいんだ。私のビキニ姿にトシくん釘付けだったし。初めてのビキニは恥ずかしかったけど、勇気を出して着てみてよかった。
「と、俊成……。次はあたしの番よ……」
「お、おうっ。任せろ」
夏の太陽から守ってくれるビーチパラソルの下。日陰のシートに寝そべって、私はトシくんに日焼け止めクリームを塗ってもらった。
今度は瞳子ちゃんの番。普段の凛とした雰囲気は鳴りを潜めて今か今かと待っている。恥じらいと期待が入り混じった表情は、同性の私でもかわいらしく思う。顔を真っ赤にするくらい恥ずかしがっているのに、私と同じように無防備に背中をさらす。青色のビキニと合わさって色っぽい姿だ。
トシくんが私の時と同じように、瞳子ちゃんの背中に日焼け止めクリームを塗っていく。私よりも綺麗な白い肌に触れようとする彼は何を思っているのだろう。
「ひゃっ……んふぅ……」
触れられた瞬間、ピクンと反応する瞳子ちゃん。それが傍から見たさっきまでの私を見ているようで、急激に顔が熱くなる。
それでも目は逸らせなかった。別に監視するつもりはないのに、なんだか傍にいないと落ち着かない。瞳子ちゃんがくぐもった声を漏らす度に、背けようとする顔に力を込める。
私は何をやっているんだろう……。そうは思っていても、結局最後まで見届けてしまった。
「それじゃあしっかり準備体操するわよ」
トシくんに触れられて、顔を真っ赤にしていた瞳子ちゃんはいなくなっていた。元気よく準備体操するのを見ていると、さっきまで恥ずかしがっていたのが嘘みたい。
「葵、もっとしっかり体を動かすのよ。浮き輪があるからって油断しちゃダメなんだからね」
「わかってるよー。私だってちゃんとしてるもん」
そう言いつつも、さっきよりもちょっとだけ関節の可動域を広く動かすよう心掛ける。水難事故がとても怖いことだって、私達三人はよく知っているんだから。準備に手を抜いたりなんかしない。
瞳子ちゃんはきびきびと準備体操をしている。でも、トシくんはただの準備体操なのに迫力まで感じた。
筋肉があるからかな? 瞳子ちゃんがきびきびなら、トシくんはシュバッシュバッて動いているように見える。
トシくんって……本当にたくましくなったね……。
彼氏だから抱きついたりするけど、直に触れて筋肉を確かめてみたいなって……。それくらいはいいよね?
「はい。準備体操もこれくらいやれば充分ね。海に行くわよ葵」
パンッと手を叩いた瞳子ちゃんによって現実に引き戻された。はっとして、さっきまで考えていたことにみるみる恥ずかしさが湧いてくる。
「そうだね瞳子ちゃん! というわけで、私が一番に海に入っちゃうもんね!」
「あっ、コラ。ずるいわよ葵っ」
「二人とも転ぶなよー」
トシくんに膨らませてもらった浮き輪を持って海に向かって走り出す。顔が赤くなるのは恥ずかしいからじゃなくて走ったからだもんね。
日差しの強さに少しだけ目を伏せる。一歩海に入ってしまえば勝手に顔がほころぶ。それは瞳子ちゃんも同じで、二人して黄色い声を上げた。
「トシくん、早く早くー」
「冷たくて気持ちいいわよ。俊成も来なさいよ」
振り返ればトシくんがいる。それは決して夢でも幻でもない。それが当たり前のことなのに、彼を目にして私はひどく安堵した。
夢を、見ることがある。
その夢は現実感があって怖かった。ううん、今でも怖い……。
私は大人になっていて、トシくんも瞳子ちゃんも傍にはいない。
一人ぼっちの自分。だけど夢の中ではそれが当たり前のことのように受け入れている自分がいた。
夢なんてそんなものなのかもしれない。ありえない状況でも、夢を見ている最中は不思議にも思わないものだから。
だからってつらくないわけじゃない。二人がいないことに疑問を感じなくても、何かぽっかりと胸に穴でも空いてしまったかのような虚無感だけはあった。
苦しいけれど笑っている自分。そんな嘘つきの笑顔を張り付けている自分自身が恐ろしくてたまらない。
夢の現実味がどんどん増してきて、この夢はもしかしたら予知か何かを示しているのかと疑うようになった。
予知夢、という単語を聞いたことがある。妙に実感がこもった夢。これは私の未来を示唆した映像ではないかと考えた。
そう考えて、鳥肌が立つくらいぶるりと体を震わせた。
もし予知夢だったら……、悪夢どころの話じゃなくなる。だって現実に起こりえることなら目が覚めてもなかったことにはならないんだから。
トシくんの答えを覚悟して待っている。でも、夢が現実になったらどうしようという恐怖が、私の覚悟を揺さぶってくる。
できるだけ早く、トシくんと深い関係になりたい。純粋に彼を想う気持ちがある一方で、彼の手で不安を払拭してもらいたい気持ちも確かにあった。
早く、早く、早く! 気持ちばかりが急いでしまう。それだけ不安に追い立てられていても、トシくんと接する時だけは不安なんて忘れて安心できた。
忘れられるけれど、不安を解消できるわけじゃない。
「今日はトシくんを抜きにした、私達の話をしようよ」
だから瞳子ちゃんと話をしようと思った。彼女にしかできない話だと思ったから。
瞳子ちゃんも私と似た夢を見ていたと知っていたから。彼女の夢の内容も、詳細は違うにしても状況がよく似ていた。
私と瞳子ちゃんの夢が同じ予知夢だとしたら? そう仮定しても、やっぱりトシくんの存在がないことに説明がつかない。
予知夢なら私か瞳子ちゃんのどちらかの夢に出てくるはずだから。私達のどちらでもなく、まったく別の人とくっついてしまった? ……ありえない。
ただの悪夢と切ってしまうには夢を見る回数が多すぎる。それに、私も瞳子ちゃんも歳を重ねるごとに夢の現実味が増してきていた。まるであの光景がもうすぐ起こるのだと、そう迫っているみたいに。
まとまらない不安材料。それを整理するよう一つ一つ瞳子ちゃんに話した。
「……断定はできない。でもあたしも葵と同じでただの夢とは思えないわ」
瞳子ちゃんは青い顔をしながらも振り絞るように言った。
しばらく頭の中を整理しているのか瞳子ちゃんは黙っていた。そして、こくりと喉を鳴らして、再び口を開く。
「一つ……仮定の話を考えたのだけれど……聞いてくれるかしら?」
私は黙って頷いた。
それから続けられた仮定の話に、私はひどく動揺した。
「仮に、本当に予知夢だとして……その通りの未来が訪れるのだとしたら、俊成はあたし達の前からいなくなるってことよね。もし、その理由があたし達……俊成の意思も関係ないのだとしたら……、未来で俊成はなんらかの事故に遭ってしまう。いいえ、一向に夢に現れないとなると、もしものことがあったのかも……」
それ以上は瞳子ちゃんも言葉にならなかった。私も身が裂かれそうな思いになって聞いていられそうにない。
……でも、瞳子ちゃんの仮定の話を否定できないほど、私達の見る夢は現実味がありすぎた。
「……守らなくっちゃ」
「葵?」
「トシくんを、守らなくっちゃ」
「……そうね。今まで俊成に守られてきたんだものね。今度はあたし達が俊成を守る番よね」
瞳子ちゃんの瞳が決意の色に染まる。きっと、私も同じ目をしていた。
未来に何があるかはわからない。トシくんがどんな選択をするかはわからない。だとしても、私達にとってトシくんが大切な人に変わりないんだから。
「そろそろ旅館に戻るか」
「……うん」
「……そうね」
トシくんが緊張の色を帯びた声で言った。私と瞳子ちゃんは心をともに頷いた。
夕日に染まる海はとても綺麗で。ときめく胸の高鳴りは期待の証でもあった。
大切な人との深いつながりがほしい。
未来が不確定だからこそ、そう強く思う。あの夢を確定させないためにも、トシくんをもっとずっとずっと、離したくない……。
※ ※ ※
「ふぅ……、気持ちいいね瞳子ちゃん」
「うん。いいお湯加減だわ。これなら葵の緊張もほぐれたんじゃないかしら?」
「と、瞳子ちゃんだって緊張していたじゃないっ。すっごくフラフラしていたところ、ちゃんと見ていたんだからねっ」
葵といっしょに温泉を楽しむ。
昼間は海でたくさん遊んだ。楽しくて気づかなかったけれど、ちょっと疲れちゃっていたみたいね。ほっと吐息を零す。
体は入念に洗った。葵と洗いっこしたからお互い洗い残しなんてないはずよね。
「……」
「……」
体調は問題ないわ。ゆっくり温泉に浸かっていれば疲れもすぐ取れる。体の準備は整った。
あとは、心の問題だけね。
あたしも、葵だって覚悟はできている。付き合い始めた頃から意識していたことでもあったから。
そうやって自分の心を決めていたとしても、いざその時がくるとこうも臆病になるものなのだと実感させられる。
体が震えているのか、心が震えているのか。それすらわからなくなっている。
「あ、葵……その……」
無言の時間を止めたのはあたしの方からだった。
自分の方から口を開いたにもかかわらず、沸騰した頭からは何を言おうとしていたのか湯気とともに出ていってしまったかのように何も発せなかった。
「……不安、だよね」
葵がぽつりと言った。
微笑む葵の横顔からは不安を感じられなかった。そうやって表情で覆い隠しても、葵にも緊張や恐れがあるとあたしは知っている。
「俊成はその……本当に、あの……求めてくるって思う?」
俊成がこの旅行のためにがんばっていたのを知っている。今までと違う雰囲気、どんな気持ちであたし達を誘ったのか、察した上で覚悟していたつもりだった。
だけど、言葉にされたわけじゃない。そのまま夜が過ぎて、朝になって旅行がおしまい、なんてこともありそう……。
「大丈夫だよ。トシくんは、きっと求めてくるから」
ニッコリと笑う葵が心の底からすごいと思った。葵の笑顔があたしに信じる力を分け与えてくれる。
「だから私達はお祝いするの。だって、今日はトシくんのお誕生日なんだもんね」
葵の頬が朱に染まっているのは温泉のせいか、それとも……、それを詮索するのは野暮ね。
「そうよね。今日は俊成の誕生日なんだもの。特別な日……なのよね。いいえ、あたし達が特別な日にしなくっちゃいけないわ」
そう言い切ってあたしは口元まで湯船に沈み込んだ。熱くなる体は温泉のせいだわ。
チラリと横目で葵を盗み見る。
まとめられた黒髪は艶やかで、同性でも素直にかわいいと感想が漏れるほどの整った顔立ちをしている。
さらに視線を下げれば、思わず目を見張るほどの豊満な部位が飛び込んでくる。決して小さくないはずの自分の胸に手を当てて、その差に愕然とする。
あたしと葵。俊成だって比べてしまうだろう。どっちがいいかなんて、わかりきっている……。
はっとした時には葵と目が合っていた。
自分の視線のいやらしさに羞恥が押し寄せる。かぁと顔中どころか体中が熱くなった。
「瞳子ちゃん……」
「な、何かしら……?」
何を言われるのかとビクビクしてしまう。後ろめたさがあたしを責め立てる。
「瞳子ちゃん……。肌が綺麗で羨ましいなぁ」
「えぇ?」
「瞳子ちゃんの肌ってすごく白いよね。スタイルも均整がとれていて、手足も長くてモデルさんみたい。トシくんもよく見つめているし……男の人って瞳子ちゃんみたいな女の子が好きだよね」
それは葵の方よ。と、言える余裕はなかった。
もし比べられたら。その不安は共通のものに決まっている。あたしだけが思っていることじゃないんだものね。葵だって普通の女の子なんだもの。
だからあたしは背筋を伸ばす。堂々と、自信を持てるようにと。
「葵はかわいいわよ。俊成がいつも言ってくれるのだから自信を持ちなさい」
「え、あ、うん。トシくんの言葉を信じなきゃだもんね」
「そうよ。……俊成が言ってくれるのだから、あ、あたしもかわいいのっ。だから、俊成の前ではお互い自信を持ちましょう」
自分で自分のことがかわいいと口にするのってすごく恥ずかしい。
でも、葵が笑顔で頷いてくれたのだから、よしとしましょう。
葵があたしに勇気をくれるように、あたしだって葵を勇気づけられるんだからね。
「そろそろあたしは上がるわ。あまり入っているとのぼせちゃいそうだわ」
「あ、待ってよ瞳子ちゃん。……あれ? これって」
葵が壁に目を留める。あたしもつられて目を向けた。
そこには温泉の効能が記されていた。冷え性や肩こりなどに効くだとか、よくある症状が並んでいる。
「「あ」」
同時に声が漏れた。
記された症状に目を走らせ、一つの単語のところで固まった。
『子宝』
あたしと葵は温泉から上がったのにのぼせそうになってしまった。今のあたし達には刺激の強すぎる単語に、目を回してしまったのだ。
あの時。俊成の部屋で俊成がいない間に葵と二人で話をした。
あたしと葵にしかわからない話。とても現実味のある夢の話だ。
小さい頃から見始めた夢。俊成と葵がいなくて、大人の自分なのに独りぼっちで心が絞めつけられるような気持にさせられる。
それは連続性があって、歳を重ねるごとに現実感が増してきていた。
あたしも薄々思ってはいたけれど、葵は予知夢かもしれないと言った。それを聞いてあたしは一つの仮定が頭に過ってしまった。
それは俊成の身に何かが起こってしまうかもしれないと暗示しているという考え。予知夢が本当に起こりえるのだと信じるなら、だけれど。
あたしと葵の不安は尽きない。もしそれが現実になればと考えるだけで心が壊れてしまいそうになる。
そして、夢の中でのあたしはそうなってしまったのだろう。葵が傍にいないことからも明らかだ。おそらく俊成がいなくなったことのショックで疎遠になってしまったのね。
「……初めては、俊成がいいわよね」
「うん。絶対に」
それはあたし達の譲れない思いだ。
何があろうとも俊成を守る。俊成の味方であり続ける。そう二人で決めたものの、もしもを考えるとより強く彼を求めてしまう。
「……私、トシくんの初めての相手が瞳子ちゃんでもいいよ」
「え? い、いいい、いきなり何を言うのよっ」
「その代わり、瞳子ちゃんまでどこかに行っちゃ嫌だよ」
「……葵」
葵の瞳は揺れていた。
俊成はあたし達にとって大切な人。世界で一番大切な人だ。
そして、あたしと葵は世界で一番の親友なのだ。
震える彼女を、あたしは抱きしめた。
「大丈夫よ。俊成も、葵も、あたしの大切な人に変わりないの。何があっても守るわ。俊成も、葵も、二人ともね」
「瞳子ちゃん……ありがとう……」
嗚咽を漏らす葵を抱きしめ続けた。今それをできるのはあたししかいないのだから。
……そうやっていたのに、俊成が帰ってくる頃にはすっかり笑顔を取り戻していたのには驚きを通り越して呆れてしまう。むしろあたしの方が気にしているみたいじゃない。俊成もあたしが葵を抱きしめているタイミングで帰ってくるから、慌てて離れて変な態度をとってしまった。
考えることが多くて、時間はいくらあっても足りない。あの現実味のある夢の通りの未来を回避するために。そして、俊成に愛されるために。
温泉から上がり、あたしと葵は浴衣に着替えた。
ドライヤーで髪を乾かし鏡でチェックする。背中に髪を流して、微笑んでみせる。
早く俊成の口からかわいいと言ってもらいたくて、浴衣の合わせ目を気にしている葵を置いて脱衣所から出た。これくらいはいいわよね?
近くの売店で俊成の後姿を見つける。こっそり近づいたのに、驚く様子もなく彼は振り返った。
「お待たせ俊成」
あたしの姿を見て、俊成が微笑んでくれる。あたしの頬もほころんだ。
俊成に「かわいい」と言ってもらえる前に葵がきてしまった。それでもいつも通りの態度となった葵に、つい噴き出してしまう。
「なあ、牛乳飲まないか? やっぱり温泉から出た後の定番だしね」
「やった! 温泉から出たらやっぱりフルーツ牛乳だよねっ」
「ふふっ。葵ったらフルーツ牛乳が好きなのは昔から変わらないんだから」
「えー、そんなこと言っちゃってー。瞳子ちゃんも昔からいちご牛乳が好きでしょ?」
俊成の提案で売店で牛乳を買った。
三人で牛乳を飲んでいると懐かしさが込み上げてくる。やっぱり三人いっしょの空気が好き。
「さて、部屋に戻ろうか。……瞳子の浴衣姿、かわいいぞ。下ろした髪もいつもと雰囲気が違って似合ってる」
「あ、ありがとう……俊成がそう言ってくれて、嬉しいわ」
俊成が耳元であたしだけに聞こえる褒め言葉をくれた。
俊成がちゃんと「かわいい」と言葉にしてくれて、言葉以上の嬉しさがあたしの心を満たしてくれる。
もちろん葵のことも褒めていたけれど、それで腹が立つことはなかった。それ以上に、うるさくなってきた胸の鼓動を気づかれないようにするので精一杯だった。
俊成ったら、もうっ……大好き……。
あたし達は部屋へと戻る。心が急かされるのを自覚しながら、ゆっくりと歩を進めた。
――そして、ついに夜が訪れた。
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