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9.着せ替え人形にされるカノジョ
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「可愛らしいカノジョさんですね」
千夏ちゃんが試着室に入っている間、近くで待っていると若い女性店員さんに話しかけられた。
男女二人で来たものだから恋人だと勘違いしたようだ。その勘違い超嬉しいけどね。
「いえいえ、彼女じゃないですよ。友達なんです」
「えぇー。お似合いでしたからてっきり……」
この店員さん良い人だ!
「まあ彼女になってくれたらとは思いますよ。今は返事待ちですし」
「でもこうしていっしょに服を選んでるってことは脈アリじゃないですか?」
そ、そうかな? いやー、こんなに良い店員さんがいるんだったら常連になってもいいかも。
シャー、とカーテンの音で目を向ければ、なぜか顔を真っ赤にした千夏ちゃんの姿があった。
「おおっ、やっぱり似合ってる。とっても可愛いね」
俺の目に狂いはなかった。可愛い千夏ちゃんには可愛らしいスカートがよく似合う。
「嘘よ。私なんかには全然似合うわけないもの」
なのに彼女はぷいっとそっぽを向いた。ツンツンした態度が戻ってしまったようだ。
なんだか「可愛い」に対して苦手意識でもあるのだろうか。言われ慣れていない感じするし。
文句なしの美少女だと俺は思うんだけどな。そう考えて、いつも千夏ちゃんの傍にいたのは大迫だったと思い出す。
……大迫がストレートに「可愛い」とか言うの想像できないや。
むしろ千夏ちゃんを見慣れすぎて美的感覚が底上げされている可能性すらある。本人も松雪という人気美少女と付き合っていると誇らしげだったし、けっこう面食いなのかもしれない。
「俺は千夏ちゃんには可愛い服が似合うと思うよ。今だって見惚れちゃったしさ」
「……っ!?」
こっちがいくら素直に「可愛い」と言ってみても、彼女を困惑させてしまう。
それでもいい。今まで言われなかった分、俺がちゃんと「可愛い」と言ってあげたい。
そうやって千夏ちゃん自身が自信を持てるように、教え込んであげたいんだ。
「よろしければこれとこれ、合わせてみませんか?」
店員さんがいくつか服を持ってきてくれた。
さすがはプロだ。スカートに合いそうな可愛らしいブラウスやチュニックとか、センスが良いものをいろいろと用意してくれていた。
「ありがとうございます。それじゃあ千夏ちゃん。これも着てみてくれる?」
「え? いや、私が?」
「そりゃ千夏ちゃんが着たところが見たいんだから。せっかく店員さんが持ってきてくれたんだし、ご厚意は無駄にできないでしょ」
「うぅ……。もうっ、わかったわよ」
再びカーテンが閉められる。俺は店員さんにサムズアップした。満面の営業スマイルを返されて、プロの姿を見たと思った。
「おおっ! さらに可愛くなった!」
「カノジョさんスタイル良いですし、こちらも似合いますよ」
「確かに。これまた印象が変わって可愛いね」
「アクセサリーもいくつか合わせてみましょうか」
「色っぽくて……可愛い……」
「カレシさんべた褒めですね。全部可愛いって言ってますよ」
「だって可愛いもんは可愛いって言いたくなるでしょ。あと残念ながら彼氏じゃないです」
「そうでしたねー」
それからは店員さんと二人して、千夏ちゃんを着せ替え人形にして盛り上がった。
最初は千夏ちゃんも「私には似合わない」とか「別に可愛くない」とか言ってたものだったけれど、途中から反論の言葉は聞こえなくなった。
むしろ、ところどころで楽しそうに口元を綻ばせていたのを俺は見逃さなかった。
可愛い服を着ている千夏ちゃんも好きだ。でも、彼女の楽しそうな顔を見るのはもっと好きだと気づいた。
千夏ちゃんが試着室に入っている間、近くで待っていると若い女性店員さんに話しかけられた。
男女二人で来たものだから恋人だと勘違いしたようだ。その勘違い超嬉しいけどね。
「いえいえ、彼女じゃないですよ。友達なんです」
「えぇー。お似合いでしたからてっきり……」
この店員さん良い人だ!
「まあ彼女になってくれたらとは思いますよ。今は返事待ちですし」
「でもこうしていっしょに服を選んでるってことは脈アリじゃないですか?」
そ、そうかな? いやー、こんなに良い店員さんがいるんだったら常連になってもいいかも。
シャー、とカーテンの音で目を向ければ、なぜか顔を真っ赤にした千夏ちゃんの姿があった。
「おおっ、やっぱり似合ってる。とっても可愛いね」
俺の目に狂いはなかった。可愛い千夏ちゃんには可愛らしいスカートがよく似合う。
「嘘よ。私なんかには全然似合うわけないもの」
なのに彼女はぷいっとそっぽを向いた。ツンツンした態度が戻ってしまったようだ。
なんだか「可愛い」に対して苦手意識でもあるのだろうか。言われ慣れていない感じするし。
文句なしの美少女だと俺は思うんだけどな。そう考えて、いつも千夏ちゃんの傍にいたのは大迫だったと思い出す。
……大迫がストレートに「可愛い」とか言うの想像できないや。
むしろ千夏ちゃんを見慣れすぎて美的感覚が底上げされている可能性すらある。本人も松雪という人気美少女と付き合っていると誇らしげだったし、けっこう面食いなのかもしれない。
「俺は千夏ちゃんには可愛い服が似合うと思うよ。今だって見惚れちゃったしさ」
「……っ!?」
こっちがいくら素直に「可愛い」と言ってみても、彼女を困惑させてしまう。
それでもいい。今まで言われなかった分、俺がちゃんと「可愛い」と言ってあげたい。
そうやって千夏ちゃん自身が自信を持てるように、教え込んであげたいんだ。
「よろしければこれとこれ、合わせてみませんか?」
店員さんがいくつか服を持ってきてくれた。
さすがはプロだ。スカートに合いそうな可愛らしいブラウスやチュニックとか、センスが良いものをいろいろと用意してくれていた。
「ありがとうございます。それじゃあ千夏ちゃん。これも着てみてくれる?」
「え? いや、私が?」
「そりゃ千夏ちゃんが着たところが見たいんだから。せっかく店員さんが持ってきてくれたんだし、ご厚意は無駄にできないでしょ」
「うぅ……。もうっ、わかったわよ」
再びカーテンが閉められる。俺は店員さんにサムズアップした。満面の営業スマイルを返されて、プロの姿を見たと思った。
「おおっ! さらに可愛くなった!」
「カノジョさんスタイル良いですし、こちらも似合いますよ」
「確かに。これまた印象が変わって可愛いね」
「アクセサリーもいくつか合わせてみましょうか」
「色っぽくて……可愛い……」
「カレシさんべた褒めですね。全部可愛いって言ってますよ」
「だって可愛いもんは可愛いって言いたくなるでしょ。あと残念ながら彼氏じゃないです」
「そうでしたねー」
それからは店員さんと二人して、千夏ちゃんを着せ替え人形にして盛り上がった。
最初は千夏ちゃんも「私には似合わない」とか「別に可愛くない」とか言ってたものだったけれど、途中から反論の言葉は聞こえなくなった。
むしろ、ところどころで楽しそうに口元を綻ばせていたのを俺は見逃さなかった。
可愛い服を着ている千夏ちゃんも好きだ。でも、彼女の楽しそうな顔を見るのはもっと好きだと気づいた。
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