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13、謎だらけの行動
「……だから、申し上げた通り、エアリア様が疲れていらっしゃるように見えたので、眠って頂いた方が冷静に話も出来るのではと思いました。案の定、貴方は丸一日眠っておられましたね」
窓から差し込む柔らかな明かりは、一晩明けてのことだったらしい。
「寝室に私を運んだのは貴方ですか?」
「女性の寝室にしては、汚すぎる。もう少し、片づけた方が宜しいのでは?」
言われるまでもなかった。
寝室は居間よりは荒れていないが、それは物が少ないだけで、床にはすっかり埃が積もってしまっている。
味もそっけもない、狭くて汚い部屋だが、それでもエアリアの部屋には違いない。
今まで誰一人として上げたことはなかったのに。
エアリアを運んだことを考えると、セイルは、今ここにいることを踏まえて、最低二回は不法侵入をしている。
これこそ、不敬罪と思えるのだが……。
(それにしたって、酷い)
エアリアは、セイルを応援していたのだ。
最期に出会ったのが、美形の青年で良かったと歓喜するくらい。
(私を殺して、出世してくれたらいいって。……なのに)
王室の暗部に関わったセイルを、上層部は無碍には出来ないだろう。
セイルを口封じするにしても、セイルが実行犯だということを知っている人間がいるのだから、面倒だ。
ならば、ある程度出世させた方が良い。
それが、貴族の腹黒い考え方のはずだ。
(……だから、私は)
まさか、エアリアに手を下さないどころか、部屋にまで運んで、さも当然に起こしてくるなんて、一体どういう了見なのだろうか?
「セイル殿。貴方は一晩、ここに泊まってたわけですか?」
「大陸中のすべての神々に誓って、貴方様には指一本触れていないので大丈夫です」
「大丈夫って……」
エアリアは、自分の貞操を心配したわけではなかった。
自分が男だったら、こんな化け物をも見るのも嫌だろう。
いや、それより何より……。
「この家に貴方を泊められる場所なんて、なかったはずですが?」
「おかげさまで、休んでいません」
「はあ。それは、大変でしたね。でも、どうせなら出て行っても平気だったんですよ。私はどうせ逃げませんから」
「昨日、倒れた時に、私、大切な私物を落としてしまったみたいで。それを一晩中探していたんですよ」
「それは大変でしたね。……で、結局見つかったんですか?」
「…………残念ながら」
「では、探すしかないですね」
――て。
(あれ?)
エアリアは首を捻った。
「探す?」
セイルと自分に、そんな時間あって良いはずがないのだ。
「あの。……でも、セイル殿。どう考えても昨日の時点で殺しておくのが後々のためだったと思いますよ。こうなってくると、貴方だって殺しにくくなるんじゃないですか? いっそ、私が寝ているうちに、池に沈めておくとか、首を絞めておいた方が楽だったと思うんですけど?」
「朝から、物騒な話をしないでくださいよ」
「はい?」
――今、何と言った?
これ以外、セイルとエアリアの共通の話題なんてないではないか?
(これは、やっぱり夢なのでは?)
ならば、もう一度目を瞑るしかない。
「申し訳ありません。もう一眠りします」
「駄目です」
再び、毛布の中に入り込もうとしたエアリアをセイルは毛布ごと抱き上げた。
「うわっ!」
あまりのセイルの突飛な行動に、エアリアは悲鳴を上げようとして、舌を噛みそうになった。
「な、な、何?」
ぎしぎしと木の軋む音。
どうやら、セイルは階段を下りているらしい。
――もしかして、毛布にくるんだまま川に落とすとか?
――それとも、顔が見えないことを良いことに撲殺とか?
エアリアが真剣に考えていると、そっと割れ物を扱うように、下ろされた。
まさかの椅子の上だった。
おそるおそる毛布から顔を出すと、意味不明なもので溢れていた円卓が元の姿を取り戻し、しかも綺麗に磨き上げられている。
そして、セイルの言う通り、温かい食事が整っていた。
王宮にいた頃しか見たことがない、丸いパンが皿の上に積みあげられていて、野菜たっぷりのスープからは、食欲をそそる香りと湯気が立ちのぼっていた。
……一体、何が起こっているのだろうか?
窓から差し込む柔らかな明かりは、一晩明けてのことだったらしい。
「寝室に私を運んだのは貴方ですか?」
「女性の寝室にしては、汚すぎる。もう少し、片づけた方が宜しいのでは?」
言われるまでもなかった。
寝室は居間よりは荒れていないが、それは物が少ないだけで、床にはすっかり埃が積もってしまっている。
味もそっけもない、狭くて汚い部屋だが、それでもエアリアの部屋には違いない。
今まで誰一人として上げたことはなかったのに。
エアリアを運んだことを考えると、セイルは、今ここにいることを踏まえて、最低二回は不法侵入をしている。
これこそ、不敬罪と思えるのだが……。
(それにしたって、酷い)
エアリアは、セイルを応援していたのだ。
最期に出会ったのが、美形の青年で良かったと歓喜するくらい。
(私を殺して、出世してくれたらいいって。……なのに)
王室の暗部に関わったセイルを、上層部は無碍には出来ないだろう。
セイルを口封じするにしても、セイルが実行犯だということを知っている人間がいるのだから、面倒だ。
ならば、ある程度出世させた方が良い。
それが、貴族の腹黒い考え方のはずだ。
(……だから、私は)
まさか、エアリアに手を下さないどころか、部屋にまで運んで、さも当然に起こしてくるなんて、一体どういう了見なのだろうか?
「セイル殿。貴方は一晩、ここに泊まってたわけですか?」
「大陸中のすべての神々に誓って、貴方様には指一本触れていないので大丈夫です」
「大丈夫って……」
エアリアは、自分の貞操を心配したわけではなかった。
自分が男だったら、こんな化け物をも見るのも嫌だろう。
いや、それより何より……。
「この家に貴方を泊められる場所なんて、なかったはずですが?」
「おかげさまで、休んでいません」
「はあ。それは、大変でしたね。でも、どうせなら出て行っても平気だったんですよ。私はどうせ逃げませんから」
「昨日、倒れた時に、私、大切な私物を落としてしまったみたいで。それを一晩中探していたんですよ」
「それは大変でしたね。……で、結局見つかったんですか?」
「…………残念ながら」
「では、探すしかないですね」
――て。
(あれ?)
エアリアは首を捻った。
「探す?」
セイルと自分に、そんな時間あって良いはずがないのだ。
「あの。……でも、セイル殿。どう考えても昨日の時点で殺しておくのが後々のためだったと思いますよ。こうなってくると、貴方だって殺しにくくなるんじゃないですか? いっそ、私が寝ているうちに、池に沈めておくとか、首を絞めておいた方が楽だったと思うんですけど?」
「朝から、物騒な話をしないでくださいよ」
「はい?」
――今、何と言った?
これ以外、セイルとエアリアの共通の話題なんてないではないか?
(これは、やっぱり夢なのでは?)
ならば、もう一度目を瞑るしかない。
「申し訳ありません。もう一眠りします」
「駄目です」
再び、毛布の中に入り込もうとしたエアリアをセイルは毛布ごと抱き上げた。
「うわっ!」
あまりのセイルの突飛な行動に、エアリアは悲鳴を上げようとして、舌を噛みそうになった。
「な、な、何?」
ぎしぎしと木の軋む音。
どうやら、セイルは階段を下りているらしい。
――もしかして、毛布にくるんだまま川に落とすとか?
――それとも、顔が見えないことを良いことに撲殺とか?
エアリアが真剣に考えていると、そっと割れ物を扱うように、下ろされた。
まさかの椅子の上だった。
おそるおそる毛布から顔を出すと、意味不明なもので溢れていた円卓が元の姿を取り戻し、しかも綺麗に磨き上げられている。
そして、セイルの言う通り、温かい食事が整っていた。
王宮にいた頃しか見たことがない、丸いパンが皿の上に積みあげられていて、野菜たっぷりのスープからは、食欲をそそる香りと湯気が立ちのぼっていた。
……一体、何が起こっているのだろうか?
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