20 / 154
二日目
「私も特殊な役割持ちなんです!」①
しおりを挟む
昨日夕食をとった広間に行くと、既に拓兄や柳生教授、そして清水先輩が座っていた。
「アキラ!学斗!」
「拓兄~~~~っ!」
拓兄は俺たちの姿を見るやいなや、椅子から立ち上がって駆け寄ってきた。
「昨晩は?大丈夫だった?何かあった?」
「あはは!拓兄、心配し過ぎだって!全然大丈夫だったよ、俺も、学斗も。」
俺は心配性な拓兄の背中を押しながら、柳生教授たちの座るテーブルへ腰かける。
「俺も学斗も【村人】だったから、昨日は扉をちゃんと施錠して、そのまま寝たよ。」
「そうか……。はぁ。良かったぁ。」
「拓兄たちは?大丈夫だった?」
「あぁ。俺たちも【村人】だったよ。」
昨晩は泣き続ける清水先輩に寄り添いながら、俺たちのあとすぐにあの部屋を三人とも出たらしい。
そして、しばらくして泣き止んだ清水先輩を部屋まで見送り、拓兄も柳生教授もそれぞれ割り当てられた部屋へ戻ったとのことだ。
「【村人】だったことを皆に報告しようと思ったんだけど、圏外だからスマホで連絡できないし、かと言って部屋の外に出るのも気が引けてね……。」
「確かに。昨日は俺たちもビビって、何度も施錠確認してから寝たよ。」
うんうんと頷く学斗に、俺は呆れた眼差しを向ける。
「俺たちって……それやってたの学斗だけだから。」
「お前がやらないから、代わりに俺がやっていたんだろ!」
俺と学斗の言い合いに、拓兄や柳生教授は「ははは!」と笑い声を上げた。
ようやく緊張が解けたようだ。
「朝食、どうする?やっぱり最上さんに頼るしかないのかな。」
「ゲッ!昨日、変なもの入れられたじゃん!俺、あんまり気が進まないなぁ。」
そう言って顔をしかめる学斗のちょうど背後に、最上さんが立っていた。
「昨晩は大変申し訳ございませんでした。」
「ひうぅ!?」
学斗は情けない悲鳴を上げ、拓兄や柳生教授は険しい表情を浮かべてさっと立ち上がった。
「あれは皆様に【人狼ゲーム】に参加していただくための強硬手段でした。もう二度とあのようなことはしないと、お約束いたします。」
深々と礼をする最上さんに対し、俺たちは互いに顔を見合わせる。
「毎日三食、誠心誠意込めて皆様に美味しい食事をご用意いたします。また、何か困ったことがございましたら、なんでもお申し付けくださいませ。」
「も、最上さん……。」
「それでは、すぐに皆様のお食事をお持ちします。少々お待ちくださいませ。」
最上さんは俺たちの返事を聞くことなく、踵を返し、そのまま広間から出て行ってしまった。
おそらく朝食の準備をしてくれるのだろう。
「……で、朝食、どうすんの?」
学斗が問うと、柳生教授がため息をつきながら答えた。
「食べましょう。この雨では外に出るのも危険です。現状、彼の出す食事以外に食べるものはありません。今は彼の言葉を信じるより他はないでしょう……。」
「――そうね。私もそう思うわ。」
「藤山さん!」
広間に入ってきた藤山さんが「ここ、いいかしら?」と柳生教授の隣を指差した。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
藤山さんは柳生教授に軽く頭を下げて、椅子に腰かけた。
そしてそのまま俺たちの顔をぐるりと見回し、笑いながら言った。
「ここにいるってことは、どうやら皆さん、【人狼】に喰い殺されなかったようね。」
おいおい、朝っぱらから悪趣味だな。
昨晩の説明で、今行われている【人狼ゲーム】はデスゲームではなく、命の保証はされていると説明されていたのに。
まぁ、彼女も、まさか今ここに本当に昨晩、人狼に喰われた人間がいるとは思ってもいないからそんな発言ができるのだろう。
「あ、悪趣味です!藤山さん!」
意外にも、清水先輩が苛立ちを隠すことなく藤山さんに噛み付いた。
「あら、ごめんなさい?ちょっとした冗談よ。そう怒らないで。」
「冗談にもほどがあります!」
「ふふ、清水さんってば、真面目なのね。」
藤山さんはクスクスと楽しそうに笑った。
まるで大人が子どもを相手してあげているといいたげな態度だった。
「朝食、何かしら?昨日の夕食も美味しかったし、楽しみねぇ。」
「藤山さんはその、怖くないんですか?昨晩、高橋さんが、ああなったというのに……。」
恐る恐る拓兄がそう聞くと、藤山さんはスッと笑顔を消した。
「怖がっていたって、どうしようもないわ。それに、『追放』されなければああいう状態にならないんでしょう?私は正直、このゲームが終わるのなら、【人狼】側が勝とうが、【村人】側が勝とうが、どちらでもいいわ。初瀬山勇次郎の遺産もそこまで興味ないし。」
気が強いなぁ。
さすが、昨日も長根と喧嘩していだけはある。
でも、昨晩の清水先輩のようにただ泣いているだけの人より、こうしてしっかり自分の考えを持っている人の方が好感が持てるな。
「じゃあ、藤山さんはこのゲーム、傍観を決め込むんですか?」
「そうねぇ。特に動くつもりはないわね。」
「あ、そうそう。」と藤山さんは世間話でもするかのように更に言葉を続けた。
「アキラ!学斗!」
「拓兄~~~~っ!」
拓兄は俺たちの姿を見るやいなや、椅子から立ち上がって駆け寄ってきた。
「昨晩は?大丈夫だった?何かあった?」
「あはは!拓兄、心配し過ぎだって!全然大丈夫だったよ、俺も、学斗も。」
俺は心配性な拓兄の背中を押しながら、柳生教授たちの座るテーブルへ腰かける。
「俺も学斗も【村人】だったから、昨日は扉をちゃんと施錠して、そのまま寝たよ。」
「そうか……。はぁ。良かったぁ。」
「拓兄たちは?大丈夫だった?」
「あぁ。俺たちも【村人】だったよ。」
昨晩は泣き続ける清水先輩に寄り添いながら、俺たちのあとすぐにあの部屋を三人とも出たらしい。
そして、しばらくして泣き止んだ清水先輩を部屋まで見送り、拓兄も柳生教授もそれぞれ割り当てられた部屋へ戻ったとのことだ。
「【村人】だったことを皆に報告しようと思ったんだけど、圏外だからスマホで連絡できないし、かと言って部屋の外に出るのも気が引けてね……。」
「確かに。昨日は俺たちもビビって、何度も施錠確認してから寝たよ。」
うんうんと頷く学斗に、俺は呆れた眼差しを向ける。
「俺たちって……それやってたの学斗だけだから。」
「お前がやらないから、代わりに俺がやっていたんだろ!」
俺と学斗の言い合いに、拓兄や柳生教授は「ははは!」と笑い声を上げた。
ようやく緊張が解けたようだ。
「朝食、どうする?やっぱり最上さんに頼るしかないのかな。」
「ゲッ!昨日、変なもの入れられたじゃん!俺、あんまり気が進まないなぁ。」
そう言って顔をしかめる学斗のちょうど背後に、最上さんが立っていた。
「昨晩は大変申し訳ございませんでした。」
「ひうぅ!?」
学斗は情けない悲鳴を上げ、拓兄や柳生教授は険しい表情を浮かべてさっと立ち上がった。
「あれは皆様に【人狼ゲーム】に参加していただくための強硬手段でした。もう二度とあのようなことはしないと、お約束いたします。」
深々と礼をする最上さんに対し、俺たちは互いに顔を見合わせる。
「毎日三食、誠心誠意込めて皆様に美味しい食事をご用意いたします。また、何か困ったことがございましたら、なんでもお申し付けくださいませ。」
「も、最上さん……。」
「それでは、すぐに皆様のお食事をお持ちします。少々お待ちくださいませ。」
最上さんは俺たちの返事を聞くことなく、踵を返し、そのまま広間から出て行ってしまった。
おそらく朝食の準備をしてくれるのだろう。
「……で、朝食、どうすんの?」
学斗が問うと、柳生教授がため息をつきながら答えた。
「食べましょう。この雨では外に出るのも危険です。現状、彼の出す食事以外に食べるものはありません。今は彼の言葉を信じるより他はないでしょう……。」
「――そうね。私もそう思うわ。」
「藤山さん!」
広間に入ってきた藤山さんが「ここ、いいかしら?」と柳生教授の隣を指差した。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
藤山さんは柳生教授に軽く頭を下げて、椅子に腰かけた。
そしてそのまま俺たちの顔をぐるりと見回し、笑いながら言った。
「ここにいるってことは、どうやら皆さん、【人狼】に喰い殺されなかったようね。」
おいおい、朝っぱらから悪趣味だな。
昨晩の説明で、今行われている【人狼ゲーム】はデスゲームではなく、命の保証はされていると説明されていたのに。
まぁ、彼女も、まさか今ここに本当に昨晩、人狼に喰われた人間がいるとは思ってもいないからそんな発言ができるのだろう。
「あ、悪趣味です!藤山さん!」
意外にも、清水先輩が苛立ちを隠すことなく藤山さんに噛み付いた。
「あら、ごめんなさい?ちょっとした冗談よ。そう怒らないで。」
「冗談にもほどがあります!」
「ふふ、清水さんってば、真面目なのね。」
藤山さんはクスクスと楽しそうに笑った。
まるで大人が子どもを相手してあげているといいたげな態度だった。
「朝食、何かしら?昨日の夕食も美味しかったし、楽しみねぇ。」
「藤山さんはその、怖くないんですか?昨晩、高橋さんが、ああなったというのに……。」
恐る恐る拓兄がそう聞くと、藤山さんはスッと笑顔を消した。
「怖がっていたって、どうしようもないわ。それに、『追放』されなければああいう状態にならないんでしょう?私は正直、このゲームが終わるのなら、【人狼】側が勝とうが、【村人】側が勝とうが、どちらでもいいわ。初瀬山勇次郎の遺産もそこまで興味ないし。」
気が強いなぁ。
さすが、昨日も長根と喧嘩していだけはある。
でも、昨晩の清水先輩のようにただ泣いているだけの人より、こうしてしっかり自分の考えを持っている人の方が好感が持てるな。
「じゃあ、藤山さんはこのゲーム、傍観を決め込むんですか?」
「そうねぇ。特に動くつもりはないわね。」
「あ、そうそう。」と藤山さんは世間話でもするかのように更に言葉を続けた。
1
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる