【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

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二日目

【人狼】と【影武者】

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 声が出なかった。
 なんでこいつ、俺が【人狼】だって知っているんだ。
 かまをかけているようには見えない。確実な証拠を掴んで、俺に近づいて来たとしか思えない。
 
「な、何で……。」

 辛うじて絞り出した声は掠れていた。
 しかし、それでも長根は満足したようだった。
 
「ははっ!良い反応だ!やはりそうなのだなっ!簡単なことよ。」

 長根の顔が近づいきて、臭い息がかかる。
 
「わしは【影武者】。【影武者】はなぁ、【人狼】と役割を交換できる!お前が了承すれば、わしは【人狼】になれるのだ!」

 【影武者】なんて役割まであったのか!?
 おそらく【人狼】に危険が迫ったときに、【影武者】と【人狼】とで役割を交換し、村人たちを錯乱させるのが本来の【影武者】の働きなのだろう。
 【人狼】と【影武者】は互いに正体を知って協力しながら共に勝利を目指すべきなのだろうが、長根にそんな考えは毛頭ない。
 
「別にお前は初瀬山勇次郎の遺産など興味がないのだろう!?さっさと家に帰りたいのだろう!?それなら、わしが【人狼】になって、このゲームを終わらせてやる!もちろん、お前のことも目にかけてやる。この屋敷から出た後もだ!お前にとっても、いい話だろう?なぁ……?」

 長根は目を血走らせながら、そう言った。
 
「……え、えぇ。長根さんの言う通りだと思います。」

 魅力も何もない話だが、ここで了承しておかないと俺のことを今すぐ殺してしまいそうな雰囲気だ。
 
「実は、俺には【人狼】の役割、荷が重いと思っていたんです。長根さんが良ければ、【人狼】代わっていただけると……。」
「……ははっ!そうだろう!そうだろう!学生には荷の重い話だろうからなぁ!あぁ、いいとも!代わってやろうじゃないか!」

 長根は上機嫌で俺の肩をバシバシと叩く。
 
「【影武者】と役割を交換するにはどうしたらいいんですか?」
「今夜、わしが【影武者】の能力を使う。それにお前さんが同意すれば、わしが【人狼】となり、お前さんが【影武者】になるってわけだ。」
「今夜、ですね。わ、分かりました。」

 長根はニタニタしながら頷く。
 自分の思惑通りに話が進んでいるからか、気の緩みが感じられる。

「ところで、俺が【人狼】だと知っているのは他に誰がいますか?江頭さんとか?」
「ははっ!あんな出来損ないにそんな大事な話、伝えるわけがないだろう!わししか知らないから、安心せぃ!」
「……へぇ。でも、良かったなぁ。俺、長根さん側のチームに入れて。正直、清水先輩では心もとなかったし。きっと、他にも長根さん側に付きたい人、たくさんいると思いますよ。」
「まぁ、そうだろうなぁ。あの警察官も、わしにすり寄ってきおった。誰に媚を売れば良いのか、よう分かっている。はははっ!」

 上機嫌に笑う長根に合わせて俺も笑う。
 少しおだてればこれだ。ペラペラと内情をしゃべりやがって。
 自分の権力に酔って、周囲が見えていない勘違い野郎は、扱いが分かりやすくて助かる。
 
「それじゃあ、今夜、頼むぞ。それと……明日の朝、わしの部屋に必ず来い。来なかったらどうなるか、分かっているだろうな?」
「えぇ。分かりました。明日の朝、お伺いします。」
「フンッ!絶対だぞ!」

 長根が部屋を出ると、やはり緊張していたのか、力が抜けた。床に座り込んで、「はぁ~~~~っ。」と深い溜息をつく。
 
「さぁて……どうすっかなぁ……。」

 【人狼】の役割を長根に渡すつもりはない。だが――。
 あいつに絞められた首元を触る。
 今晩、長根を無視したら、明日の朝、あいつに何をされるか分からない。
 
「……学斗、戻ってきているかな。」

 重い腰を上げて、ドアノブに手を伸ばす。
 ドアを開け、廊下に出た。
 
「……アキラ、君?」
「し、みず、先輩……。」

 最悪のタイミングだ。
 なんで、よりにもよってこんなタイミングで現れるんだ。
 
「どうしたの、一人で?」
「えっと……。」
「ちょっと待って……。その首の跡、何があったの!?」

 長根が絞めた跡に、清水先輩はぎょっとして俺の首に手を伸ばした。
 やばい。そんなに後が残っていたのか。
 なんて誤魔化そうかと考え、ふと、思いついてしまった。
 場合によっては、邪魔な長根を消せるかもしれない、素晴らしいアイディアが。
 
「さっき長根さんを見かけたけれど、まさか……っ!」
「いや、まぁ、確かに長根さんと一悶着はあったのですが……。」
「あのおじさんに首を絞められたのね!最低っ!」
「でも、俺が悪いんです。見た目はちょっとあれかもしれないけれど、えと、大丈夫です。だから、このことは、拓兄には言わないで下さい……っ!」
「でも……っ!」

 上目遣いになるように、清水先輩を見つめる。

「先輩、お願いします……っ!」

 少し眉を垂れさせて、不安そうな表情を作れば――。
 
「……分かった。だけど、少しでも痛みを感じたら、ちゃんと言ってね?」

 ――ほらね。簡単に信じてくれた。
 
「ありがとうございます!」
「部屋、一人で戻れる?」
「はい。きっと学斗が待っているだろうし、大丈夫です。」
「うん。分かった。」

 清水先輩と分かれ、自室へと向かう。
 途中、だんだん楽しくなってきてしまい、部屋に戻ることには無意識のうちに、鼻歌まで歌っていた。
 
「アキラ!お前、どこに行っていたんだよ!って、何だよその首の跡っ!?」
「学斗。」

 学斗は本気で怒っているようだったけれど、俺は気にせずにニコニコと笑顔を浮かべる。
 
「……アキラ?」
「俺、良いこと考えちゃった。」

 ――邪魔な奴らを消す方法を、ね。

 
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