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二日目の夜
種明かし
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【side:八城アキラ】
種明かしをしよう。
――話は昨日の夜にさかのぼる。
「はぁ!?長根に正体がバレてたぁ!?」
「うん。で、今晩【影武者】と【人狼】の役割を交換しろって言われた。」
「ど、どど、どうするんだよ……!?役割、交換するのか!?」
「するわけねぇだろ。」
俺はどっかりとソファーに腰を下ろした。
ショックを受けた学斗は、よろよろと俺の隣に座り込む。
「何でよりによって長根なんだ……。下手したら江頭にまで情報が流れるんじゃないか?」
「それに関しては、今のところは大丈夫そうだ。結局ああいうタイプは自分以外を信じられないからな。」
「それならいいけれど。それで?どうするつもり?」
「――長根に票を集めて『追放』する。」
俺の言葉に、学斗が息を呑む。
「言いたいことは分かるぜ、学斗。あいつを『追放』するためには、相当の理由が必要だ。それこそ、皆がこれしか方法が無かったんだって、納得する理由がな。」
「そ、そんな理由どうやって……。」
「これを使う。」
俺は学斗にスマホの画面を見せた。
そこには、俺が部屋で見つけたビデオテープを視聴したあとに配布された『特殊カード』が表示されていた。
【特殊カード『洗脳(Brainwash)』
効果:選んだ人物を最大3回まで洗脳することができる。】
「この『洗脳』のカードを使って、長根に俺を襲わせる。」
流れはこうだ。
俺たちの父親が長根の会社に借金をしている。
長根はたまたま俺たちが借金相手の息子だと気づき、学斗をだしにして、俺に肉体関係を迫る。
拒否できない俺は長根に襲われるが、間一髪のところで邪魔が入る。
混乱した長根はポケットに入っていたナイフで俺を人質にする。
俺を救うために、皆が長根に投票し、過半数の票を集めた長根は村から『追放』されることになる――。
「俺たちの両親がクソなのは事実だから、拓兄もこの設定に違和感をもつことはない。邪魔な長根を葬ることができるし、俺に対する疑念もある程度払拭される。どうだ?いい案だろ?」
「で、でも、実際にアキラが長根に襲われることになるんだろ?危険すぎる!だったら、アキラの代わりに俺がっ!」
「気持ちだけ受け取っておくよ。大丈夫!俺を傷つけないように、洗脳の時点で設定しておくからさ!」
まだ納得していない学斗を適当に言いくるめて、続きを説明する。
「さて、『洗脳』回数は3回のみ。まずは、長根に偽の記憶と感情を刷り込ませるのに一回分使う。次に、俺を襲う事件を起こすようにするために一回分。あと1回分で、俺が【人狼】であることを忘れてもらおう。」
「な、なるほど……。」
「さらに、信ぴょう性を高めるために、【聖職者】様にも協力してもらう。」
「えっ?清水先輩にも?」
「あぁ。清水先輩は俺が長根と話し、さらに長根に首を絞められていた件も知っている。そこを利用して、長根が【人狼】であると思い込ませる。」
初日の夜に、おそらく清水先輩は拓兄に能力を使ったはずだ。となると、今晩も拓兄に使う可能性は低い。
こちらで【聖職者】の能力の矛先をコントロールした方が、今晩俺も動きやすい。
「そうだな。長根が俺を狙っているとか適当なことを言って、今晩は俺に能力を使うよう仕向けよう。」
「えっ!?だ、大丈夫なのか?【聖職者】って、【人狼】にとっては天敵みたいなもんだろ!?」
「大丈夫。おそらく、俺に能力は効かないからな。」
【人狼】の能力は【聖職者】に効かないよう設定されている。
となれば、逆もまた然り。【聖職者】の能力は【人狼】である俺には効かないはずだ。
仮にあちらに通知として『能力は効きませんでした』といっても、清水先輩は俺が村人だから無効だったのだと解釈するはずだ。
それじゃあ、学斗に人働きしてもらうかな。
「じゃ、学斗。うまく清水先輩を騙してこい。」
「うん、分か……えっ、マジ?」
「いやだって、俺が助けを求めに行くのはキャラ的に変じゃん。」
それに、清水先輩はきっと俺よりも学斗に頼られる方が嬉しくて、ひょいひょい話に乗るだろう。
「うまくやれよ、学斗。全てはお前の演技力次第だからな!」
「えっ……いや……でも……。」
「成功したら、たっぷりご褒美やるよ♡」
「ご褒美……アキラの……。」
学斗がこちらに聞こえるくらい、ごくりとつばを飲みこんだ。
「や、やるよ!やればいいんだろ!」
「よっしゃ!ふぁいとー。」
俺はひらひらと手を振って、やる気を出している学斗を見送る。
「……さて、それじゃあ俺はこっちの問題をなんとかしますか。」
そう言って、俺は日中にはなかった扉の前に立った。
種明かしをしよう。
――話は昨日の夜にさかのぼる。
「はぁ!?長根に正体がバレてたぁ!?」
「うん。で、今晩【影武者】と【人狼】の役割を交換しろって言われた。」
「ど、どど、どうするんだよ……!?役割、交換するのか!?」
「するわけねぇだろ。」
俺はどっかりとソファーに腰を下ろした。
ショックを受けた学斗は、よろよろと俺の隣に座り込む。
「何でよりによって長根なんだ……。下手したら江頭にまで情報が流れるんじゃないか?」
「それに関しては、今のところは大丈夫そうだ。結局ああいうタイプは自分以外を信じられないからな。」
「それならいいけれど。それで?どうするつもり?」
「――長根に票を集めて『追放』する。」
俺の言葉に、学斗が息を呑む。
「言いたいことは分かるぜ、学斗。あいつを『追放』するためには、相当の理由が必要だ。それこそ、皆がこれしか方法が無かったんだって、納得する理由がな。」
「そ、そんな理由どうやって……。」
「これを使う。」
俺は学斗にスマホの画面を見せた。
そこには、俺が部屋で見つけたビデオテープを視聴したあとに配布された『特殊カード』が表示されていた。
【特殊カード『洗脳(Brainwash)』
効果:選んだ人物を最大3回まで洗脳することができる。】
「この『洗脳』のカードを使って、長根に俺を襲わせる。」
流れはこうだ。
俺たちの父親が長根の会社に借金をしている。
長根はたまたま俺たちが借金相手の息子だと気づき、学斗をだしにして、俺に肉体関係を迫る。
拒否できない俺は長根に襲われるが、間一髪のところで邪魔が入る。
混乱した長根はポケットに入っていたナイフで俺を人質にする。
俺を救うために、皆が長根に投票し、過半数の票を集めた長根は村から『追放』されることになる――。
「俺たちの両親がクソなのは事実だから、拓兄もこの設定に違和感をもつことはない。邪魔な長根を葬ることができるし、俺に対する疑念もある程度払拭される。どうだ?いい案だろ?」
「で、でも、実際にアキラが長根に襲われることになるんだろ?危険すぎる!だったら、アキラの代わりに俺がっ!」
「気持ちだけ受け取っておくよ。大丈夫!俺を傷つけないように、洗脳の時点で設定しておくからさ!」
まだ納得していない学斗を適当に言いくるめて、続きを説明する。
「さて、『洗脳』回数は3回のみ。まずは、長根に偽の記憶と感情を刷り込ませるのに一回分使う。次に、俺を襲う事件を起こすようにするために一回分。あと1回分で、俺が【人狼】であることを忘れてもらおう。」
「な、なるほど……。」
「さらに、信ぴょう性を高めるために、【聖職者】様にも協力してもらう。」
「えっ?清水先輩にも?」
「あぁ。清水先輩は俺が長根と話し、さらに長根に首を絞められていた件も知っている。そこを利用して、長根が【人狼】であると思い込ませる。」
初日の夜に、おそらく清水先輩は拓兄に能力を使ったはずだ。となると、今晩も拓兄に使う可能性は低い。
こちらで【聖職者】の能力の矛先をコントロールした方が、今晩俺も動きやすい。
「そうだな。長根が俺を狙っているとか適当なことを言って、今晩は俺に能力を使うよう仕向けよう。」
「えっ!?だ、大丈夫なのか?【聖職者】って、【人狼】にとっては天敵みたいなもんだろ!?」
「大丈夫。おそらく、俺に能力は効かないからな。」
【人狼】の能力は【聖職者】に効かないよう設定されている。
となれば、逆もまた然り。【聖職者】の能力は【人狼】である俺には効かないはずだ。
仮にあちらに通知として『能力は効きませんでした』といっても、清水先輩は俺が村人だから無効だったのだと解釈するはずだ。
それじゃあ、学斗に人働きしてもらうかな。
「じゃ、学斗。うまく清水先輩を騙してこい。」
「うん、分か……えっ、マジ?」
「いやだって、俺が助けを求めに行くのはキャラ的に変じゃん。」
それに、清水先輩はきっと俺よりも学斗に頼られる方が嬉しくて、ひょいひょい話に乗るだろう。
「うまくやれよ、学斗。全てはお前の演技力次第だからな!」
「えっ……いや……でも……。」
「成功したら、たっぷりご褒美やるよ♡」
「ご褒美……アキラの……。」
学斗がこちらに聞こえるくらい、ごくりとつばを飲みこんだ。
「や、やるよ!やればいいんだろ!」
「よっしゃ!ふぁいとー。」
俺はひらひらと手を振って、やる気を出している学斗を見送る。
「……さて、それじゃあ俺はこっちの問題をなんとかしますか。」
そう言って、俺は日中にはなかった扉の前に立った。
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