【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

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三日目(後)

事件の終幕

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 ――そして、時は三日目に戻る。


【side:八城アキラ】

「ひっぐ……えぐ……うぅ……!」

 めっちゃ泣いてる。
 ガチで泣いてる。

「あー……学斗?その……。」
「ひっ、ひくっ……うぅ……!」

 あぁ、分かっているよ。全部俺のせいだって。
 俺に洗脳された長根は、本当に良く働いてくれた。働きすぎたほどだ。
 おかげであいつのナイフの刃で、俺の首筋に傷ができた。結構だらだらと血が流れ、俺の首に巻かれた謎の首輪に、血が染み込んでいくくらいだ。俺の想像以上に傷は深かったのだろう。
 
 最上さんが手当をしてくれたけれど、ポーカーフェイスな彼ですら険しい表情を浮かべていた。
 学斗はずっと俺に引っついている。
 俺のシャツは学斗の涙でビチャビチャだが、文句を言える立場でもないので黙っておく。
 
「ひぐっ、うぅ……ばか……本当に、ばか……っ!」
「……うん。」

 べしょべしょと泣きながら言う学斗に、俺は思わず苦笑する。
 事情の知らない人たちからしてみれば、『長根に脅されていたのを黙っていた』ことに対する馬鹿だが、これは『無謀な計画を立てやがって!だから俺が代わりにやるって言ったのに!』に対する馬鹿だ。
 俺と、学斗と、柳生教授だけが分かっていた。
 
「よしよし……大丈夫だよ?傷は残らないから。ほら、泣かないで?」

 教授が学斗の肩を抱きながら、まるで赤ちゃんをあやすみたいに頭を撫でてあげている。
 その後ろで、拓兄と清水先輩は血の気の引いた顔で、呆然と俺たちを見ていた。
 
「アキラ……。」
「ごめんね、拓兄。心配かけちゃったね。でも、大丈夫だから。」

 俺は拓兄に向かって微笑む。
 
「大丈夫なわけないだろ!まさか、長根さんが……。俺、何も知らなかった……っ。」
「で、でも、長根さんはその、『追放』されたわけだから!長根さん、【人狼】の可能性あったわけだし、こ、これでもう、大丈夫ですよね?」
「……いえ、そうとも言えません。」
「えっ?」

 教授が清水先輩の言葉を否定した。
 
「現状で【人狼ゲーム】は続行しています。となると、長根さんは人狼側だったかもしれませんが、【人狼】ではなかったということです。」
「そ、そんな……っ!」
「そう考えると、【人狼】ではない長根さんが、なぜこの事件を起こすに至ったか、疑問が残ります。アキラ君たちのお父様が長根さんの会社にお金を借りていたとあらかじめ知っていたのなら、もっと早くに行動を起すこともできたはずです。」
「ということは、長根さんに借金の件を吹き込んだ誰かがいるかもしれないってことですか?」

 拓兄が尋ねると、教授はちらりと俺を見た。
 
「まだ憶測の域を出ませんが……その場合、そう吹き込んだのは【人狼】でしょうね。もしかしたら、【人狼】は、【聖職者】である清水さんを追い詰めようとしたかったのかもしれません。」
「わ、私を……?」
「えぇ。アキラ君を使って、貴方の大切な人である渡辺君にショックを与えようとしたのでしょう。確か、【聖職者】は【人狼】に能力を使っても、無効化されるのでしたね?」
「は、はい……。その通りです……。」
「それなら逆に、【人狼】も【聖職者】に能力を使えない、つまり直接攻撃することができないわけです。」
「そうか!だから、間接的に日香里のことを攻撃するために、今回の事件を起こしたのか!」

 拓兄が納得したように声を上げた。
 清水先輩は青ざめた顔で、目を見開いている。
 
「えっ、じゃあ、私のせいで……アキラ君は……。」
「いえ、貴方のせいではありません。悪いのはこの事件を起こした長根さん本人ですし、場合によっては裏で糸を引いていた【人狼】でしょう。ただ……これから先、同じように清水さんの周囲の人を狙ってくる可能性は十分にあります。」
「そんな……っ!」

 清水先輩は絶望的な表情を浮かべた。
 
「次に狙われる可能性が一番高いのは渡辺君です。今晩は彼に【聖職者】の能力を使ったほうがいいかもしれませんね。」

 いやぁ、素晴らしい!
 事前に俺が指示を出していたとはいえ、よくまぁペラペラとそれらしいことを言って、自然に今晩の【聖職者】の能力を拓兄に使わせるよう仕向けたな、教授!拓兄と清水先輩がいなければ、スタンディングオベーションしているところだった!
 そんな俺の浮かれた気持ちに気づいたのか、教授は釘を刺すように言った。
 
「それと、我々も個人で行動するのではなく、最低でも二人以上で行動するよう心掛けましょう。いいですね?アキラ君。」
「あ、はい。」

 これ、学斗だけじゃなくて、教授も怒っているな。教授、笑顔だけど、めっちゃキレてるのがひしひしと伝わってくる。
 流石に今回は俺も無謀だったから、何も言えない。
 あとで二人にはたっぷりお詫びのゴメンねセックスをしよう。

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