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三日目(後)
悪趣味な彫刻
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「あれ?アキラ、教授は?」
「なんか奥ですごい本見つけたらしくて、もう夢中になっているよ。少し時間かかりそう。」
「そうなのか?まぁ、それなら仕方ないか。」
「俺、ちょっとトイレに行ってくるね。」
「あぁ、わかった。」
作業に戻った拓兄を見送り、俺は部屋を出る。そして、トイレではなく、そのまま別の部屋へと入っていった。
そこは、薄暗い部屋だった。天井に吊るされたシャンデリアがゆらゆらと揺れており、床には真っ赤な絨毯が敷かれている。
「あれ?アキラ君?」
「新田さん?」
なんと部屋には新田の姿があった。
「どうしたの、こんな所で。ていうか、怪我は大丈夫か?」
「今朝はありがとうございました。見た目が派手なだけで、軽傷なんで大丈夫です。ベッドに寝ているのもつまらなくて、今は拓兄や柳生教授と別の部屋を見ていました。」
「そうか。まぁ、無理はするなよ。」
「はい、ありがとうございます。」
新田は一見、ヤクザのような怖い雰囲気を醸し出しているが、根は優しくて面倒見がいい人らしい。
「ところで、ここは?」
薄暗い部屋をぐるりと見渡すと、広い空間があり、そこには画材やキャンバス、作りかけの彫刻などが置かれていた。
そして、壁には複数の絵が飾られている。
「アトリエっていうのかな。普通こんな絨毯にシャンデリアがある客室みたいな場所には作らないと思うけどな。」
「確かに、すぐ汚れちゃいそう。」
「金持ちだから、汚れても簡単に買い替えられるんだろうよ。」
新田はつまらなそうに、床に落ちている絵の具のチューブを手に取っていた。
「ふぅん。そうなんだぁ。」
俺は相槌を打ちながら、壁に飾ってある絵画を眺めていく。
タイトルはないが、画家の名前が記されていた。岸和幸、南野雄二、酒井哲也、野村耕平……。有名なのか、そうではないのか、美術知識のない俺にはよく分からなかった。
そして、やはりどの絵画も卑猥なものばかりだ。男根、男の裸体、男同士のセックス、中には妊娠している男を描いたものまである。
「教育上よろしくねぇ絵ばっかだから、あんま見るな。」
「え?あ、はい。」
新田に言われ、俺は絵画から距離を取る。
「ったく、どいつもこいつも、男の裸ばっか描きやがって。よくやるぜ。」
新田はヘテロなのだろうか。
彼の端正な顔立ちを見やる。
「新田さんは女の人が、好きなんですか?それとも男?」
「なっ!?ばっ……!俺は女が好きなんだよ!」
新田は慌てて男が好きであることを否定するが、その態度が逆に肯定しているような感じがした。
それ以上踏み込むと怒られそうだったため、俺は部屋の奥を覗いてみた。
テーブルが並んでいる。その上には白い布がかけられた何かが置いてあった。
気になった俺はテーブルに近づき、その布を取り払った。
出てきたのは、卑猥な彫刻だった。
一人の男が四つん這いになり、後ろから初瀬山勇次郎に犯されている。
男は首輪をつけられ、いやらしいボンテージを着せられていた。屹立したペニスには、ご丁寧にコックリングが嵌められている。
タイトルは『家畜』。
悪趣味極まりない。
だが、俺はその作品に釘付けになってしまった。
肉欲に溺れたその顔はひどくいやらしく感じるが、不思議と嫌悪感はない。
淫靡な雰囲気を纏ったその彫刻は、見ているだけで興奮してくる。
俺は無意識のうちに作品に手を這わせていた。
なんだろう……。
なんだか、頭がぼーっとしてきた。
瞬間、脳裏に流れ込んできた映像に、意識の全てが持っていかれてしまった――。
「なんか奥ですごい本見つけたらしくて、もう夢中になっているよ。少し時間かかりそう。」
「そうなのか?まぁ、それなら仕方ないか。」
「俺、ちょっとトイレに行ってくるね。」
「あぁ、わかった。」
作業に戻った拓兄を見送り、俺は部屋を出る。そして、トイレではなく、そのまま別の部屋へと入っていった。
そこは、薄暗い部屋だった。天井に吊るされたシャンデリアがゆらゆらと揺れており、床には真っ赤な絨毯が敷かれている。
「あれ?アキラ君?」
「新田さん?」
なんと部屋には新田の姿があった。
「どうしたの、こんな所で。ていうか、怪我は大丈夫か?」
「今朝はありがとうございました。見た目が派手なだけで、軽傷なんで大丈夫です。ベッドに寝ているのもつまらなくて、今は拓兄や柳生教授と別の部屋を見ていました。」
「そうか。まぁ、無理はするなよ。」
「はい、ありがとうございます。」
新田は一見、ヤクザのような怖い雰囲気を醸し出しているが、根は優しくて面倒見がいい人らしい。
「ところで、ここは?」
薄暗い部屋をぐるりと見渡すと、広い空間があり、そこには画材やキャンバス、作りかけの彫刻などが置かれていた。
そして、壁には複数の絵が飾られている。
「アトリエっていうのかな。普通こんな絨毯にシャンデリアがある客室みたいな場所には作らないと思うけどな。」
「確かに、すぐ汚れちゃいそう。」
「金持ちだから、汚れても簡単に買い替えられるんだろうよ。」
新田はつまらなそうに、床に落ちている絵の具のチューブを手に取っていた。
「ふぅん。そうなんだぁ。」
俺は相槌を打ちながら、壁に飾ってある絵画を眺めていく。
タイトルはないが、画家の名前が記されていた。岸和幸、南野雄二、酒井哲也、野村耕平……。有名なのか、そうではないのか、美術知識のない俺にはよく分からなかった。
そして、やはりどの絵画も卑猥なものばかりだ。男根、男の裸体、男同士のセックス、中には妊娠している男を描いたものまである。
「教育上よろしくねぇ絵ばっかだから、あんま見るな。」
「え?あ、はい。」
新田に言われ、俺は絵画から距離を取る。
「ったく、どいつもこいつも、男の裸ばっか描きやがって。よくやるぜ。」
新田はヘテロなのだろうか。
彼の端正な顔立ちを見やる。
「新田さんは女の人が、好きなんですか?それとも男?」
「なっ!?ばっ……!俺は女が好きなんだよ!」
新田は慌てて男が好きであることを否定するが、その態度が逆に肯定しているような感じがした。
それ以上踏み込むと怒られそうだったため、俺は部屋の奥を覗いてみた。
テーブルが並んでいる。その上には白い布がかけられた何かが置いてあった。
気になった俺はテーブルに近づき、その布を取り払った。
出てきたのは、卑猥な彫刻だった。
一人の男が四つん這いになり、後ろから初瀬山勇次郎に犯されている。
男は首輪をつけられ、いやらしいボンテージを着せられていた。屹立したペニスには、ご丁寧にコックリングが嵌められている。
タイトルは『家畜』。
悪趣味極まりない。
だが、俺はその作品に釘付けになってしまった。
肉欲に溺れたその顔はひどくいやらしく感じるが、不思議と嫌悪感はない。
淫靡な雰囲気を纏ったその彫刻は、見ているだけで興奮してくる。
俺は無意識のうちに作品に手を這わせていた。
なんだろう……。
なんだか、頭がぼーっとしてきた。
瞬間、脳裏に流れ込んできた映像に、意識の全てが持っていかれてしまった――。
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