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三日目(後)
「拓人先輩はそうやって笑っている方がかっこいいですよ。」
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【side:八城アキラ】
広間へ行くと、そこは既に混沌と化していた。
「お、お前が長根さんを陥れたのだろう!知っているんだからな、お前が【人狼】だって!」
「ちょっと江頭さん、落ち着きましょう!」
藤山に掴みかかろうとする江頭を御堂が止めに入っている。
「この裏切り者!」
「い、言いがかりはやめてちょうだい!知らないわよ!そもそも私、【人狼】じゃないし……。」
「嘘だ!この女は嘘をついている!」
しかし、藤山を糾弾していた江頭は俺を見た途端、唇をわなわなと震わせた。
「ひぃっ!あ、アキラくん……っ!」
「どうも。こんばんは。」
なんて声をかければいいか分からず、とりあえず挨拶したら、「馬鹿か!」と隣りにいた学斗に頭を叩かれた。
江頭は俺と藤山におろおろと視線を行ったり来たりさせたかと思うと、急に俺に近寄ってきて、腰を低くして、俺の顔を覗き込んだ。
「あっ、アキラくん!そのぉ、長根さんとの一件は、何かの間違いだと思うんですよ。お互いに認識の齟齬があって、その、残念な結果になってしまったというか……。もちろん、アキラくんが望みでしたら、それ相応の対応はいたしますが、ね?互いのこれからのことを考えると、あまり事を大きくしない方が……。」
「アキラ、答えなくていい。」
学斗が俺の腕を取り、江頭から距離を取る。
江頭はそんな学斗を睨みつけたが、すぐにへらりと笑って、俺の腕にしがみついた。
「ま、まだ、お話は!」
「アキラから離れてください!」
学斗ごと後ろに引っ張られる。
そして、俺たちは拓兄の背に庇われた。
目の前に広がる拓兄の広い背中に心臓がバクバクと高鳴る。
「江頭さん、貴方、今朝あんなに辛い出来事があったアキラに対して、よくそんなことが言えますね。アキラに対して不誠実でしょう。」
「そ、そんなつもりは!」
「どんなつもりだろうと、今後一切、アキラに関わらないで下さい。アキラ、学斗、あっちの席で夕飯を食べよう。」
拓兄が俺と学斗の手を掴み、広間の奥へ向かう。
江頭には悪いけれど、拓兄がこんなに俺のことを心配してくれるなんて、すごく嬉しい。
拓兄がこんなに俺のことを気にかけてくれるなんて――。
「えっ、あっ、そ、そんなっ!アキラくん!」
「江頭さんは私と一緒に食べましょうか。ね?」
江頭は御堂と柳生教授に背中を押され、広間から出ていった。
藤山は「何なのよ、もう……。」と不満そうな声を上げていた。結局彼女も広間から出ていった。最上さんに食事を自分の部屋へ持ってくるようお願いして。
「……はぁ~~~。もう何?さっきの空気。最悪だったよぉ。」
緊張しっぱなしだったのだろう。
清水先輩が椅子の背もたれに、ぐでぇと力なく寄りかかった。
「すみません……。」
俺の謝罪の言葉に、清水先輩はブンブンと手を振った。
「謝らなくていいよ!あんな、自分の保身しか考えていないやつのことなんか!そんなことより、アキラくんは大丈夫?」
「た、拓兄と学斗が助けてくれたから……。」
頬が赤くなっていないだろうか。
悲劇のヒロインなんて性に合わないと思っていたが、少しハマりそうだ。
数分後、一人戻ってきた柳生教授が席についたところで、最上さんが料理をテーブルに並べ始めた。
「江頭は?」
「途中で新田さんと合流しましてね。二人に任せてきました。」
「そうですか。」
拓兄は険しい表情で、広間に取り付けられた窓から外を眺めた。
「雨、いつになったら止むんですかね。何でアキラたちをこの屋敷に呼んでしまったのだろう……。」
「そんな!来たのは俺の意志だし、拓兄が気に病むことなんてないよ!」
拓兄は「アキラは本当に優しいなぁ」と力なく笑う。
「ご、ご飯食べましょう!ほら、腹が減っては戦はできぬって言うし!」
清水先輩が空気を変えようと、わざと明るい声を出す。
「そうですね。温かいうちにいただきましょう。」
柳生教授も頷いた。
それから、皆でいただきますをして、食事を始めた。
空腹だった胃が満たされてくると、少し拓兄の表情も柔らかくなってきた。
良かった。
【人狼ゲーム】に参加できて、今の俺はむしろありがたいと思っているから、拓兄には心を傷めないで欲しい。
そう思って、俺は拓兄に声をかけようとした。
「拓兄、あの……。」
「拓人先輩、表情暗いですよ~。えいっ!」
「いたっ!」
清水先輩が拓兄に軽くデコピンをした。
「こら、びっくりするだろ?」
そう言いながらも、拓兄はくすりと笑う。
「そうそう、その調子。」
清水先輩がビシッと指を指す。
「拓人先輩はそうやって笑っている方がかっこいいですよ。さぁ、ご飯食べましょう!」
「そうかな。」
「そうです、そうです!」
拓兄が笑顔を取り戻す。清水先輩の一言で。
へぇ、あぁ、そう。なるほど。
拓兄を笑顔にするのは、まるで自分の役割と言わんばかりだな。
きらきらと拓兄の前で笑顔を輝かせる清水先輩に、俺は視線を向ける。
おかしいなぁ。
その役割は、本来、俺が担うものだったはずなのに。
――やっぱりこの女、邪魔だな。
広間へ行くと、そこは既に混沌と化していた。
「お、お前が長根さんを陥れたのだろう!知っているんだからな、お前が【人狼】だって!」
「ちょっと江頭さん、落ち着きましょう!」
藤山に掴みかかろうとする江頭を御堂が止めに入っている。
「この裏切り者!」
「い、言いがかりはやめてちょうだい!知らないわよ!そもそも私、【人狼】じゃないし……。」
「嘘だ!この女は嘘をついている!」
しかし、藤山を糾弾していた江頭は俺を見た途端、唇をわなわなと震わせた。
「ひぃっ!あ、アキラくん……っ!」
「どうも。こんばんは。」
なんて声をかければいいか分からず、とりあえず挨拶したら、「馬鹿か!」と隣りにいた学斗に頭を叩かれた。
江頭は俺と藤山におろおろと視線を行ったり来たりさせたかと思うと、急に俺に近寄ってきて、腰を低くして、俺の顔を覗き込んだ。
「あっ、アキラくん!そのぉ、長根さんとの一件は、何かの間違いだと思うんですよ。お互いに認識の齟齬があって、その、残念な結果になってしまったというか……。もちろん、アキラくんが望みでしたら、それ相応の対応はいたしますが、ね?互いのこれからのことを考えると、あまり事を大きくしない方が……。」
「アキラ、答えなくていい。」
学斗が俺の腕を取り、江頭から距離を取る。
江頭はそんな学斗を睨みつけたが、すぐにへらりと笑って、俺の腕にしがみついた。
「ま、まだ、お話は!」
「アキラから離れてください!」
学斗ごと後ろに引っ張られる。
そして、俺たちは拓兄の背に庇われた。
目の前に広がる拓兄の広い背中に心臓がバクバクと高鳴る。
「江頭さん、貴方、今朝あんなに辛い出来事があったアキラに対して、よくそんなことが言えますね。アキラに対して不誠実でしょう。」
「そ、そんなつもりは!」
「どんなつもりだろうと、今後一切、アキラに関わらないで下さい。アキラ、学斗、あっちの席で夕飯を食べよう。」
拓兄が俺と学斗の手を掴み、広間の奥へ向かう。
江頭には悪いけれど、拓兄がこんなに俺のことを心配してくれるなんて、すごく嬉しい。
拓兄がこんなに俺のことを気にかけてくれるなんて――。
「えっ、あっ、そ、そんなっ!アキラくん!」
「江頭さんは私と一緒に食べましょうか。ね?」
江頭は御堂と柳生教授に背中を押され、広間から出ていった。
藤山は「何なのよ、もう……。」と不満そうな声を上げていた。結局彼女も広間から出ていった。最上さんに食事を自分の部屋へ持ってくるようお願いして。
「……はぁ~~~。もう何?さっきの空気。最悪だったよぉ。」
緊張しっぱなしだったのだろう。
清水先輩が椅子の背もたれに、ぐでぇと力なく寄りかかった。
「すみません……。」
俺の謝罪の言葉に、清水先輩はブンブンと手を振った。
「謝らなくていいよ!あんな、自分の保身しか考えていないやつのことなんか!そんなことより、アキラくんは大丈夫?」
「た、拓兄と学斗が助けてくれたから……。」
頬が赤くなっていないだろうか。
悲劇のヒロインなんて性に合わないと思っていたが、少しハマりそうだ。
数分後、一人戻ってきた柳生教授が席についたところで、最上さんが料理をテーブルに並べ始めた。
「江頭は?」
「途中で新田さんと合流しましてね。二人に任せてきました。」
「そうですか。」
拓兄は険しい表情で、広間に取り付けられた窓から外を眺めた。
「雨、いつになったら止むんですかね。何でアキラたちをこの屋敷に呼んでしまったのだろう……。」
「そんな!来たのは俺の意志だし、拓兄が気に病むことなんてないよ!」
拓兄は「アキラは本当に優しいなぁ」と力なく笑う。
「ご、ご飯食べましょう!ほら、腹が減っては戦はできぬって言うし!」
清水先輩が空気を変えようと、わざと明るい声を出す。
「そうですね。温かいうちにいただきましょう。」
柳生教授も頷いた。
それから、皆でいただきますをして、食事を始めた。
空腹だった胃が満たされてくると、少し拓兄の表情も柔らかくなってきた。
良かった。
【人狼ゲーム】に参加できて、今の俺はむしろありがたいと思っているから、拓兄には心を傷めないで欲しい。
そう思って、俺は拓兄に声をかけようとした。
「拓兄、あの……。」
「拓人先輩、表情暗いですよ~。えいっ!」
「いたっ!」
清水先輩が拓兄に軽くデコピンをした。
「こら、びっくりするだろ?」
そう言いながらも、拓兄はくすりと笑う。
「そうそう、その調子。」
清水先輩がビシッと指を指す。
「拓人先輩はそうやって笑っている方がかっこいいですよ。さぁ、ご飯食べましょう!」
「そうかな。」
「そうです、そうです!」
拓兄が笑顔を取り戻す。清水先輩の一言で。
へぇ、あぁ、そう。なるほど。
拓兄を笑顔にするのは、まるで自分の役割と言わんばかりだな。
きらきらと拓兄の前で笑顔を輝かせる清水先輩に、俺は視線を向ける。
おかしいなぁ。
その役割は、本来、俺が担うものだったはずなのに。
――やっぱりこの女、邪魔だな。
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