【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

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五日目

我が愛を、思い知れ①

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【side:初瀬山勇次郎】
 大学に入り、心理学を専攻している最中、教授に誘われたのがお国のために行っているという催眠や洗脳の研究だった。
 最初は興味本位で参加していたのだが、次第に催眠や洗脳の世界にのめり込んでいった。

 同じ研究員の先輩に試しで催眠をかけてみたら、それが見事にかかった。かかりすぎたほどだ。
 研究室内にいた研究員や教授全員が自分の言いなりなるまで、そう時間はかからなかった。

 ――人間の五感から入り込み、相手が気づかぬうちに徐々に意識を、体を蝕んでいく洗脳。
 愚鈍で、臆病で、価値のない僕に、まさかこんな才能があるだなんて、夢にも思わなかった。

 その才能を活用して、まずは憎らしい兄を『家畜』に引きずり下ろした。
『家畜』となった兄を見て、父は発狂した。
 同じ家族のよしみで、今は二人とも仲良く『家畜』として飼育してやっている。

 幼馴染である尚子から、愛する玄一郎も取り返した。
 玄一郎は結婚したことを忘れ、妻と息子の存在を忘れ、今は私を一途に愛してくれる。
 毎日、玄一郎は私を受け入れ、その身を快楽に震わせる。

  尚子への復讐も遂げた。

 幸せだ。毎日が楽しくて、仕方がない。
 そう自分に言い聞かせるほど、満たされない自分に気づかされる。

 足りない。つまらない。もっと欲しい。もっと奪いたい。
 もっと私を、満たしておくれ――。


 ***


「おはよう、玄一郎。」

 ぼうっとする玄一郎は、私の声に目を何度か瞬かせると、ハッと辺りを見回す。
 
「こ、ここは……っ!?」

 そして、ジャラジャラと鳴る鎖に、ようやく自分の手首が手錠で繋がれていることに気がついたようだ。
 
「な、なんで……っ!くそっ!」

 鎖をガチャガチャと鳴らして暴れるが、全く意味のない行為だ。そんな無駄なことをしても余計に体力を消耗するだけ。
 私は玄一郎に近づき、顎に手を添え、上を向かせる。
 
「お前……勇次郎か……?」

 驚きで見開かれる瞳に、私が映り込む。
 何をそんなに驚いているのだろう。少し痩せはしたが、学生時代の面影は残っているはずだ。
 
「玄一郎。気分はどうだい?」
「気分って……ふざけるな!なんで、こんなことを……っ!」
「玄一郎。今から君に、これまでの記憶を全部戻してあげるよ。」

 人間の脳はよくできており、私たちが思い出せないだけで、あらゆる記憶は脳に保管されている。
 尚子や息子のことを完全に忘れさせることは難しい。
 だから、催眠によって記憶の奥深くに封印し、玄一郎には新たな記憶を植えつけていた――玄一郎の愛する人は私であり、私に身も心も捧げるのが最大の幸福である、と。
 だが言ってしまえば、それは、玄一郎に別の人格を与えて、“玄一郎”という名の人形遊びをすると同じだ。

 私は欲しい。
 最上玄一郎のまま、私のことを愛してくれるお前が、欲しい――。

 私は玄一郎の耳元でパチン、パチンと指を鳴らす。
 すると、玄一郎は「おぉ゛♡お゛♡」と白目を剝いて、舌を突きだし、激しく痙攣した。
 奥深くにしまい込んでいたから、記憶を取り出すのにかなりの負荷がかかっているようだ。
 やがて玄一郎はかくんと力なく項垂れ、そのまま動かなくなった。
 
「玄一郎?どう?思い出した?」

 そう尋ねるも、玄一郎は答えない。
 
「まだ時間がかか――。」

 不意に体が引っくり返った。
 うつ伏せにされ、上から強い力で押さえつけられる。
 
「勇次郎ぉ……っ!」

 ギリッと唇を噛み締め、私を苦しげに見下ろす玄一郎。
 そんな鬼気迫る表情は見たことがなかった。
 
「なぜ……っ!なぜ、尚子にあんな酷いことをしたっ!あんな、ことをっ!」
「憎かったからだ。あの女は、私からお前を奪った。当然の報いだ。」
「奪っただと!?俺は尚子を愛している!お前の歪んだ感情に、尚子を……っ!」
「お前が愛しているのは私だよ、玄一郎。」

 しかし、首が痛いな。
 愛する玄一郎からの行為と思えば受け入れられるが、体を動かせないのが難点だ。
 
「玄一郎、“私の上から離れろ”。」

 そう命令すると、玄一郎はピクッと反応して、ゆっくりと私から離れた。
 
「あ、な、んで……っ!?」
「“手を頭の後ろで組み、股を開け”。」

 すると、玄一郎は簡単に命令に従う。
 筋肉質な腕を、頭の後ろで組む。両足を大きく開き、さらによく見えるようにと腰を突き出す。
 
「体が、勝手に……っ!」
「お前の体の主導権は私が握っている。けれども――。」

 私は玄一郎の股間に顔を近づけ、ふぅっと息を吹きかけた。
 
「快楽を拾っているのは、お前の体自身だ。私は何もしていない。」
「く、ぅ……っ!」

 玄一郎は恥ずかしそうに、真っ赤な顔で視線を逸らす。
 それと一緒に、睾丸がきゅっと持ち上がるのが分かった。
 
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