【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

文字の大きさ
148 / 154
エピローグ

淫獄の人狼ゲームへようこそ

しおりを挟む
 初瀬山勇次郎という富豪が亡くなって数年後、彼の別邸が取り壊されたという噂を西村は耳にした。

 そのたった一年後、市内のとある一角に豪邸が建てられた。
 その豪邸が建った土地は、元々人気のある住宅街であり、地価も高騰していた。それにも関わらず、ありえないスピードで広大な土地が買われ、あっという間に豪邸ができてしまったのだ。

 しかし、その豪邸は誰のものなのかは分からず、建築業者も地域住民も始めは首を傾げていたが、次第に人々はそのことを“気にしなくなっていった”。

 ――その豪邸で行われるパーティの招待状が西村のもとに届いたのは、一週間前のことだ。

『西村勇太様
 この度、我が〈八城邸〉で大変素晴らしい催し物を開くことになりました。
 よろしければ、貴方もご参加いただけないでしょうか?
 貴方が血眼になって探している方を景品としてご用意しております。
 どうぞ、ご参加ください。』

 この文面を見たとき、とっさに招待状を破り捨てそうになったが、何とか西村は思い留まった。
 全ては、一年前に突如疾走した彼の先輩である新田哲夫の居場所を突き止めるためであった。

 西村は新田のことを優秀な刑事であると尊敬していたし、彼に信頼を寄せていた。
 ところが、彼は突然行方をくらませた。
 いなくなる直前、新田はどうやら〈初瀬山邸〉へ向かったらしいが、その建物は既に取り壊されたため、手がかりが掴めずにいた。

 上層部は、どこからか郵送されてきた新田の退職届を受理して、もう新田の件には一切触れないよう西村たちに命じた。まるで新田のことをもう忘れロト言わんばかりの態度であった。
 しかし、西村は諦められなかった。

(先輩はもしかしたら、この〈八城邸〉に監禁されているのかもしれない……。絶対に見つけ出してやるっ。)

 そう意気込み、西村は招待状を片手に〈八城邸〉へと向かった。

 招待状を〈八城邸〉の門の前にいた執事に見せると、すんなりと中へ通してくれた。
 屋敷の中は、外の様子に負けず劣らず、豪華絢爛であった。

「どうぞ、こちらへ。」

 体格の良い執事に案内され、西村は広間へと通された。

「こちらでお待ちくださいませ。」

 そう言って通された部屋は、高級ホテルの一室のようだった。
 テーブルや椅子はどれも高価なものであることが一目で分かるものばかりだ。

 既に西村の他にもパーティの参加者が何人かいた。
 しかし、皆、どこか表情を固く、顔色も悪い。

「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。」

 広間に案内してくれた執事が深々と頭を下げる。

「私はこの館の管理を旦那様より任されております、最上雅史と申します。本日は皆様、〈八城邸〉の記念すべきパーティにご参加いただき誠にありがとうございます。どうぞ、ご着席下さいませ。」

 最上という執事に促され、参加者たちは席に着いた。

「さて、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まずは旦那様よりご挨拶をさせていただきます。」

 広間の奥の扉から一人の男が現れた。
 全員の視線が彼に注がれる。
 男はゆっくりとパーティの参加者たちの前を通り、まるで王様が座るかのような豪勢な椅子に腰を下ろした。

 若い男だ。
 大学生くらいに西村には見えた。
 顔は整っており、すらりと伸びた手足から、モテそうだなと西村は思った。
 男は参加者一人一人の顔を眺めた後、へらへらと笑った。

「こんにちはー!この館の主です!まさか招待状を送った皆さん全員がこのパーティに参加してくださるとはビックリしました!」

 参加者たちは全員、緊張した面持ちで彼を見つめた。

「……御託はいい。」

 西村の隣に座っていた男性が立ち上がった。
 五十代くらいだろうか。外国人の血が流れているのか、色素が薄く、彫りの深い顔立ちをしている。

「私の息子である、御堂総一朗はここにいるのだろう!?」
(御堂総一朗だって……!?)

 その名に、西村の心臓が嫌な音をたてた。
 御堂もまた、西村の先輩刑事であった。
 何年か前に刑事を辞め、今は探偵をしていると聞いていたが、まさか彼も行方不明になっているとは思ってもみなかった。

「あぁ、御堂さんのお父様でしたか。道理で彼と似て、大変格好良い男性だなぁ。年齢を重ねた分、深い色気が出ていますねぇ。」
「ふざけたことを……!総一朗を返してくれ……!」
「ま、待ってください!」

 御堂父の言葉を遮り、西村も立ち上がった。

「新田さんもここにいるんだろ!?」
「あなたは?」
「新田さんの後輩の刑事だ!新田さんほど、誇りを持って刑事の仕事をしている人はいない!そんな人が郵送で退職届を出して、はい終わりなんて、するはずがない!ここに閉じ込めているんだろう!?」
「……拓人もここにいるんだろう、アキラくん。」

 西村の後ろに座っていた男性もゆっくりと腰を上げた。

「あ、おじさん!久しぶり!お元気でしたか?」
「アキラくん、お願いだ。拓人を返してくれないか。金でも何でも渡すから……!」
「あは!あははは!」

 館の主人は足をバタつかせ、ゲラゲラと椅子に座りながら笑い転げた。

「何笑ってんのよ!私の彼も返してよ!結婚式まであと少ししかないのに!」
「む、息子を!お、お願いだ!息子を返してくれ!家にはまだ借金があって、息子がいないと……!」

 ぎゃあぎゃあと他のパーティの参加者たちがわめき出す。
 
「……えぇ。お望みでしたら、返してあげますよ。」

 館の主人は急に動きを止め、静かにそう言い放ったかと思うと、突如広間の扉が開け放たれた。

 扉の向こう側から、鎖を引き摺る音と共に、数人の男たちがゆっくりと広間へ入ってくる。
 彼らの姿に声を上げていた参加者たちは、徐々に口をつぐんでいった。

「ひっ!?」
「う、嘘……。」
「そんな……。」

 パーティの参加者たちが探しに来た存在がそこにはいた。
 しかし、男たちは全裸だった。下半身を隠すものは何もない。
 身につけているのは手枷足枷、そして首輪であり、しかも手枷や足枷は鎖で互いに繋げられていた。
 まるで奴隷のようなその姿に、広間の参加者たちは恐怖で顔を引きつらせる。

「そ、総一朗!総一朗!」

 御堂父はその中に自分の息子の姿を見つけて、必死に声をかける。
 しかし、御堂総一朗は無表情のまま、館の主人に向かって歩みを進める。

「先輩!新田さん!」
「拓人!こっちを見てくれ!拓人!」

 その他の男たちも同様に、参加者たちには目もくれない。
 虚ろな目で、ただ館の主人の方だけを見つめ、歩き続ける。

 やがて、彼らは館の主人の座る椅子の周りで立ち止まった。

「ふふ。今回のゲームの賞品たちです。どれも皆、可愛らしいでしょう?」

 館の主人は、まるで愛犬を可愛がるかのように、隣に侍った男の顎を撫でた。
 すると、感情のなかった顔が一変、男たちは顔を赤らめ、息を荒げながら、椅子に座る館の主人にすり寄った。

「はぁ……んっ♡旦那様ぁ♡あぁん♡」
「もっと♡もっとなでてください♡」
「旦那様……♡どうか、御慈悲を……♡」

 パーティの参加者は、ただその光景を呆然と見ていた。

「な、なんなんだ……これは……。」
「嘘でしょ、先輩?」
「そんな……拓人が……拓人が!」

 館の主人は参加者たちの絶望した表情を楽しげに眺める。

「えぇ、えぇ。大変申し訳無いことに、ここにいる男たちは皆、俺の玩具として調教済なんです。」
「あぅん♡」

 館の主は一人の男を四つん這いにさせると、その背中に自分の足を乗せ、ぐりぐりと体重をかけた。
 その人間扱いしていない様に、参加者たちは怒りをあらわにする。

「き、貴様……っ!」
「ですが、ご安心下さい!あなた方がゲームに勝ったら、ちゃんと元通りにしてお返ししましょう。」
「何っ!?」

 館の主人はにっこりと微笑むと足を退けた。
 肘をついて参加者たちを挑発的に見つめる。

「簡単な話です。これから行われるゲームに勝ったら、あなた方の大切なご子息や同僚を、元の人格に戻した上でお返しします。負けたら、そうですね。あなた方の大切な人をまたお一人、いただきましょうか?」
「ふ、ふざけるな!そんなゲーム!」
「お帰りになるならどうぞ。引き留めませんよ。もちろん、その場合、彼らは変わらず俺の玩具のままですが。」

 館の主人は、近くにいた男の頬に舌を這わせる。
 男は恍惚とした顔で主人の行為を受け入れていた。

「くっ……!」

 西村をはじめ、参加者たちは悔しげな表情を浮かべながらも動くことができなかった。
 ゲームに参加しなければ、彼らは戻って来ない。
 愛する人を一刻も早く取り戻したいなら、このゲームに乗るしかないのだ。

 次々にパーティの参加者たちが椅子に座り直していく。
 全員が着席したところで、「素晴らしい!」と館の主人は拍手した。

 新たな贄たちを前に、館の主人――八城アキラは真っ赤な瞳の目を細める。

 ――大丈夫。どうせお前たちも数日後には、彼らと同じように俺に従順な玩具となるのだから。


 さぁ、ゲームを始めよう。


「ようこそ、皆様。この、淫獄の人狼ゲームへ。」
 


     ―完―

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...