サメック! モンスター転生しちゃったけど白髪ギザ歯サメ魚人美少女が嫁になった

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厄災の石盤

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「サメックは私のつがいだからダメ!」

 横から割って入ってきた少女を、トレラはよくよく眺める。
 どう見ても子供としかいえない背丈と体型、顔立ちもあどけない。
 そして幼い少女と巨体のサメックを何度か見比べてから、眉を寄せつつ、

「……ロリコン?」
「だから違うっての!」
「はぁ……この際、どんな変態でも構いませんけど……」
「ぐ、変態に変態って言われるのがこんなにつらいとは思わなかったわ」

 ニッコリと微笑を浮かべたトレラは親指を立ててタラサに語って聞かせる。

「大丈夫です、サメのペニスは二本ありますから」
「それのなにがどう大丈夫なんだ!?」
「うーんそれなら……」
「納得する要素どこにあった!?」

 トレラはサメックに縋り付くと、上目遣いで訴えかけてくる。

「結婚がダメならセフレでもいいです! カラダだけの関係でいいので無責任に種付けしてください! 認知して欲しいとは言いませんから!」
「モンスターだから認知したところでどうにも……じゃなくて、なんなんだそのお願いは!?」
「私の夢はモンスターの子供を生むことなんです!」
「どうしてそんな夢を持っちまったんだ……」

 サメックの至極もっともな疑問に、トレラは放ってあった巨大鞄から何かを取り出し、サメックの眼前に突きつけた。
 それは古い石盤で、表面には文字らしき溝が彫られている。が、いかにも古代文字といった雰囲気のそれはサメックには見覚えが無く、読むことはもちろん出来ない。そもそもこの世界の現代文字すら読めるかは不明だった。

「レイノ王国の宝物庫から持ち出したこの石盤には昔の伝承が刻まれています。光と闇の神の力が溶け合う時、終末の混沌が生まれるであろう。厄災が地を覆い――」
「おい……おい、待て! 何さらっと進めようとしてるんだ。いま宝物庫から持ち出したっつったか? とんでもねえことしてんな!」
「やだなぁ、簡単なことでしたよ。私、レイノの王女なので」
「……HA?」

 思わず人語を忘れそうになりながら、サメックは宝箱のふちを何度もバシバシとヒレで叩く。

「そういう! 衝撃の事実っぽいことは! ストーリー後半まで取っておけよ!」
「ストーリー? よくわかりませんが、とにかく孕ませてもらえないなら、その時は……」
「ど、どうするつもりだ?」
「あなたを禁術で取り込みます。あなたほどのモンスターの魔力を得れば、よりモンスターに近づけるはずですから……ふひひ」
「ぐ、ぬ……こうなったら……!」
「わっとと!?」

 サメックはタラサを箱の中に押し込むと、自分も箱に潜り込んで宝箱のフタをしめた。

「おや、籠城作戦ですか? 確かに宝箱は頑丈そうですが……って、あれ? 簡単に開くじゃないですか」

 トレラがフタに手をかけると、何の抵抗もなく開いてしまう。
 だが、宝箱の中にサメックの姿はなく、代わりに安物のナイフが一つ、収まっているのみだ。

「あれ……? どういうことですか?」

 宝箱の中を叩いたり、持ち上げたり、ひっくり返したりしてみても、それ以上の変化はなく、サメックとタラサの姿は完全にその場から消えてなくなっていた。

「おーい、サメックさーん!? どこ行っちゃったんですかー!?」

 トレラの呼びかけは、ダンジョンの通路に虚しく響いた。
 そして彼女のいる通路から少し離れた小部屋の中、そこに置かれた宝箱がひとりでに開き、中からサメックがゆっくりと顔を覗かせる。

「ふぅ……瞬間移動能力があって助かったな」

 先日食べたユウシャ……女に転生した男から得た能力を使って瞬間移動したのだ。
 ユウシャの能力が本来、どんなものだったのか彼にはわからないが、サメックが得た能力は自分が作った他の宝箱と中身を入れ替えて移動する能力となっていた。
 事前に宝箱をつくって置かなければならず、移動先も限定されてしまうが、それでも便利な力であることに変わりはない。
 一緒に移動したタラサも箱から顔を出し、サメックをニヤニヤと笑いながら見上げる。

「ハーレム作りたいとか言ってたくせに、あんな都合の良いこと言う人から逃げちゃってよかったの?」
「いやほら、だってなんかアレだったから……」
「アレだったねぇ」

 思わずツッコミで遮ってしまったが、石盤に刻まれているという伝承も気になるところで、うっかり本当にサメックとトレラの間に子供が生まれてしまったら、混沌だか厄災だかいう話になってしまうかもしれない。
 彼としてはこの世界に良い思い出はないが、かといって滅ぼしたいほど憎んでいるわけでもない。
 しかし、改めて考えると惜しかったかという思いもある。
 頭のヤバさはともかくとして、おっぱいの大きさと顔立ちはサメックにとって正直好みなのでヤれるのなら嬉しいと言えなくもなかった。
 トレラの姿を思い出しつつタラサの平坦なボディを見下ろすと、サメックは鼻から息を漏らす。

「……ふ」
「なんだーこんにゃろー?」
「なんでもないですが」
「私の目を見て言ってみろー?」

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