61 / 153
防具選び。
しおりを挟むところ変わらず、相も変わらず、浅田家三人を頂点とした微妙な大名行列みたいになってしまったコルティオ店内で、次に向かうフロアは防具コーナー。
武器類は選び終わって、小物は笹木さんが揃えてくれるし、レベリングの最初は日帰りだろうからダンジョン用キャンプガジェットは買わなくて良い。
ダンジョン泊が必要になるくらいレベリングが進んで、その時点でも笹木さんが物の用意が出来てなかった時は買いに来よう。
ちなみち、私も適当な武器は選んである。ガトリングエッジ社製の大戦斧が中々に重量級で、取り敢えずの繋ぎとして使うには充分だった。予備含めて二本買う予定だ。
「さて、次は防具選びだけど…………」
ダンジョン初心者が防具を選ぶ時、最も気を付けるべき点は何か?
「なんだと思う?」
「そうねぇ……? やっぱり、頑丈さかしら。見た目よりも性能を選びましょうって事じゃないの?」
まぁ、それも間違ってない。
見た目に固執して命を危険に晒すのは、馬鹿のやる事だ。
もちろん望んで命を賭けて、見た目を優先する人も居るだろう。でも、その人たちは見た目に命を賭す覚悟があってそうしてる。
そんな覚悟が無いのなら、普通に性能を重視して選ぶべきだ。
「だけど、それよりももっと大事な事があります。あくまで私の持論だけど…………」
必要なのは、軽さ。
「何回も言うけど、ダンジョンで必要なのは継戦能力なんだよね。セーフティエリアとか特に無いし。ダンジョンの中にいる間は常に命の危険が有る」
そんな場所で、『身に付けてるだけで体力を削る』様な装備をしてたら、どうなる?
答えは簡単だ。死ぬ。
だから、ダンジョンでは何よりも『体力を削らない』装備が良い。それが私の持論。
「当たり前だけど、軽ければ良いって性能を無視するのもダメだよ。軽い代わりに性能が低過ぎる防具って、それつまり普通の服じゃんって事だし」
防具としての体裁を保ちつつ、装備者の体力を削らない装備品。
「という訳で、私のオススメはあの辺のジャージかな? あとあっちのジャケット」
私の視線の先には、耐熱ポリカーボネートのチップが仕込まれた防刃素材のジャージと、所々に新型ジュラルミンが縫い付けられてるバトルジャケット。
やはり荒事の為の店なので男性向け製品が多く、防具系も大体が成人男性向けの物だ。
けど、まぁ、服ならリサイズも可能なのでマシだろう。お母さんと一緒に家で装備品を仕立て直すのも楽しそうだ。
専門職に依頼しても良いし。
その場合はすぐ使いたいので特急料金を払って急いでもらう必要が有るけど。
「おねーちゃん、あっちのすごいやつとか、いらないの?」
「ん? 鎧? あー、うん。少なくとも初心者は手を出すべきじゃ無いかな?」
真緒に袖を引かれて、そんな事を聞かれて説明する。
現代科学にダンジョン産の素材まで使った鎧ならば、きっと軽くて丈夫な素晴らしい鎧になるんだろう。
だけど、何回も言うけどダンジョンでは継戦能力が一番大事だ。
例え軽くても、身に付け続けて疲れてしまうタイプの物はあまり良くない。
それはもっとレベルを上げて、色々と負担に耐性を得てから手を出すべき物だ。
「それとも、マーちゃんはあれ欲しい?」
「んーと、まおは、プイキュアがいいなぁ」
「あー、うん。バトルドレス系は基本的にオーダーメイドなんだよね」
やっぱり世の中がファンタジーになってしまったので、装備もファンタジー寄りの人気もある。
アニメで見るような『確固たる防御力を持った煌びやかなドレス』なんかは、その最たる物だろう。あとビキニアーマーとか。
でも、ダンジョンアタッカーは女性に厳しい仕事であり、女性向けの商品って言うのはニーズに合わない。既製品を大量生産しても在庫で埋もれてしまう。
それに、数少ない女性アタッカーが買うとしても、バトルドレスなんて防具を採用する女性は『自分だけの』戦うドレスが欲しいのであって、既製品を着て誰かと被るのは嫌なのだ。
なので、つまり、オーダーメイドしか売れないし、オーダーメイドしか売ってない。
「可愛いのが欲しいなら、こんど注文しに行こうね。今は普通のジャージを着よう」
「あーい!」
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる