Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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コンタクト・マテリアル。

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 装備品の手直しが終わり、なんならドロップ品も使ってカスタムしたので性能すら上がってるくらいのジャージ上下セットと、バトルジャケット。

 いち早く着てお父さんに披露してる真緒のジャージは黒基調に白ラインで、ジャケットは白ベースのトレンチコートデザインだ。

 あくまでトレンチコート系のデザインを踏襲してるだけで、トレンチコートでは無い。

 私とお母さんの物もデザインは一緒で、色だけ別の物を買った。

 お母さんはパステルピンクベースにライトブラウンのライン柄ジャージと、薄紫のジャケット。

 そして私は黒ベースに青のライン柄が入ったジャージに、同じく黒ベースに青いアクセントが入ったジャケットだ。

「どう?」

「ふむ。カッコイイな。優子の場合は、自分が装備に負けてないって自信も伝わってくるから、尚更頼りになりそうでカッコイイ」

「……えへっ、照れちゃうなっ」

「ああでも、そう言うところはやっぱり可愛いな。俺たちの娘は宇宙一可愛い……」

 軽くお披露目をしたら、次は武器の確認だ。

 武器の生産や購入、所持、使用について緩和された現代とは言え、依然として日本には銃刀法が存在する。

 銃刀法。正式には銃砲刀剣類所持等取締法。つまり銃砲類と刀剣類の所持を取り締まる法律だ。

 銃も剣も、武器らしい武器を所持する為には許可が必要だし、許可を持っててもところ構わず振り回せる訳でも無い。

 せっかくアタッカーライセンスを持ってても、許されるのは購入まで。その使用は『法が届かないダンジョンで』を前提としてるので、購入した武器を国内で振り回す事が出来ないのだ。

 一応は私有地内でなら、権利者の許可を持って武器の使用が認められるので、武器使用の練習をする為の専用施設なんかも存在する。

 まぁ、でも、一番手っ取り早く武器を振り回せるのはつまるところ、自宅なのである。自宅も私有地だからね。

 ちなみに、アパートやマンションだと土地の権利者が違うので少しややこしくなるらしいけど、詳しくは知らない。

 浅田家は持ち家だし、そこそこ大きい家なので、場所に気を使って周りに気を付ければ、充分に長物を振り回せる家だったりする。とてもありがたい。お父さんに感謝だ。

「はい、お母さんは三叉槍トライデントとブロードソードだよね。マーちゃんはショートスピアにらいとばっくらー、それとロングナイフ」

 実際に少し手に持って確認しようと、私はインベントリから今日買った物を取り出して二人に渡す。

 この時点でお父さんが凄い羨ましそうにする。やっぱりお父さんも男の子なのか。男の子は無条件でゴツゴツした鉄の塊を好むと聞いた。

 梱包から武器を取り出す二人を見るお父さんの目は、お菓子売り場で子供が買って買ってとジタバタする五秒前って感じだ。めっちゃ羨ましそう。

 ちなみに私は面倒だったので梱包を蒼炎で消し飛ばした。うん。いや、本当に焼いた訳じゃない。梱包だけインベントリ送りにしただけだ。

「さて、三人とも長物だし、ちょっとお庭行こうよ」

「そうねぇ。流石にお家の中で振り回すのは危ないもの」

「まおの、みじかいよ?」

「マーちゃん、お家の中で一人練習する? お外来れば一緒なのに」

「おそといくぅー!」

 と言う訳で庭に出る。当然お父さんも着いてくる。

 私は早速、家族から少しだけ距離を取ってから大戦斧を振り回す。

 今更だけどこの大戦斧はガトリングエッジ社製ミドルプレイヤーモデル、製品名『Full・Metalフル・メタルArmyアーミー』と言う。

 デザインは簡素で幅広のヘッドが特徴の、質実剛健を地で行くだろう大戦斧となってる。カラーデザインすらされて無い感じが堪らない。

 シャフトは銀色なんだけど、ヘッドは銀というか鈍色で、こう、「斧ぉぉお…………」って感じの見た目だ。

「……………………ん?」

 庭先で大戦斧を振り回して、ダンジョンで身に付けた簡単なコンタクト・マテリアルを試してると、家族から視線を感じた。

「どしたの?」

 お父さんも、お母さんも、真緒も、じーっと私を見ていて、なんだかちょっと居心地が悪い。

「いや、その…………」

「優ちゃんが武器を振り回してるのを見ると、ねぇ…………」

「………………ダンジョンおもいだして、ちょっとやだなぁ」

「……えぇ、いや、ダンジョンを思い出すも何も、明日は実際にダンジョン行くんだよ?」

 それだけ心配してくれたって事なんだけどさ。今は切り替えて欲しい。命の危険がある訳だから。

「あとは、武器を当たり前に扱えてる優子がな、想像以上に頼もしくてな…………」

「そりゃぁ、まぁ、世界で唯一の攻略者ですし?」

 突然褒められると恥ずかしくて、私はまたコンタクト・マテリアルの練習に戻る。

 ちなみにコンタクト・マテリアルとは、バトントワリングで行う技の事だ。簡単なのから応用バキバキの高難度技など様々あって、長物を扱うならその内本格的に習っておきたい技である。

 バトントワリングは本来、両端の重さが釣り合ってるバトンを使う体操競技であり、間違っても大戦斧で行うものじゃ無いんだけどね。

「ほら、二人とも見てないで武器の確認しようよっ。」

 もう。明日はダンジョンアタックなのに、ちょっとグダグダしてる空気は良くないなっ! 別に照れてるわけじゃないんだからね!

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