Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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どうするか。

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「で、どうする? 帰る?」

「お母さんは構わないわよ? でも、フラムちゃんは良いの?」

「……ん? 何が?」

 アイビールの死骸を利用して、私の蒼炎とニクスの白雪で築き上げた防壁に囲まれた初期地点。

 そこで、一時の安寧を得た私達はぐったりしていた。元気なのはナイトくらいである。

「ダンジョンに入る前、生中継っぽいインタビューに大見得切って此処に来た訳だけど…………」

「………………え、もし今このまま帰ったら、私ってもしかして笑い者?」

 私は記憶を掘り返した。
 
 大事な人のついでに、東京救ってきます(キリッ)。

「うわ死ねるっ!? 恥っずッ……!?」

 数時間前の私は何やらかしてくれてんだッ!? 戦略的撤退がしたいだけなのに、撤退のハードルがめちゃくちゃ高い!?

「いや、まぁ本当にヤバかったら容赦なく帰るけどさ。マスコミが笑うならテメェら戦って来いよって感じだし」

「んもぅ! おねーちゃんお口わるいの!」

 ガラ悪く悪態をつく私をたしなめるニクスは、今も全周を完全に囲った凍結防壁の維持に注力してる。

 私もそれを手伝って、防壁の表面を蒼炎でコーティングしてアイビールの進行を抑えてる。

 この形は、アイビールが防壁を突破しようと冷凍肉へと齧り付くと、まず私の蒼炎で触れたそばから魔力を削られ干渉力が落ち、そのまま白雪の停滞効果まで食らってろくに食い削る事が出来なくなる仕組みになってる。

 即席にしては割りと鉄壁の布陣になったと思う。

「おねーちゃんは、魔力大丈夫?」

「ん。私は防壁完成させる前に、その辺の草むらに蒼炎ばら蒔いてきたから」

 この階層に生えてる草は、結構強い干渉力抵抗を持ってた。つまりそれだけ多くの魔力を保有してるって事だ。

 だからそこへ蒼炎をばら蒔いて、火力は出さずにドレインだけ強めて放置してある。冷静に考えると私、この階層だとほぼ無限に魔力使えるわ。

「ニクスこそ大丈夫?」

「んー、ニクスのスキルは、一度凍らせたらそんなに難しくないの」

 炎という不定形なスキルである私と違って、凍らせると定型になるニクスの白雪は、維持費が少ないらしい。

 もちろん白い霧状の白雪ならば相応の制御力と維持費が必要になるそうなのだけど。

「…………お母さんは、この階層だとあまり役に立てなかったわね」

「そんなこと無くない? お母さん、ナイト並に暴れてたよね?」

 スキルの相性から貢献度が低いと言って落ち込むお母さんだけど、それはもしかしてギャグで言ってる? 新手の謙遜なの?

「武器を長巻に変えたお母さん、めちゃくちゃ強いよね? ナイトを除いたら、三人で一番討伐数キルスコア高いのお母さんじゃん」

 そう、お母さんめっちゃ強いのだ。

 アイビールが鉄の毛皮を持ってるから雷は相性良いのかと思いきや、まさかの絶縁体らしく、スキルが使えないと判断したお母さんは長巻だけでアイビールの屍を積み上げていった。

 方天戟を使ってた時とは動きが全然違ってて、アイビール一体につき大体三手で詰ませて仕留めてた。立体的な詰将棋でも見てる気分だった。

「お母さん、ナギナタをやってたって言ってたけど、もしかして結構強かったの?」

「そうねぇ。…………一応、全国準優勝くらいの腕かしら?」

「ガチ勢じゃん」

「おかーさんつよーい!」

 360度全部を囲ってしまった冷凍防壁の中で、じっくり休みながらゆっくり再戦の準備をする。

 ちなみにナイトはすぐそこでグレートソードぶんぶん丸して遊んでる。よっぽど気に入ったんだろうね、グレートソード。

 本当は単身でも防壁の外へ行って狩りたいそうなんだけど、ナイトは私から離れられないから仕方なくぶんぶん丸して遊んでるのだ。

 最初の頃は20メートルが精々だったけど、スキルが鍛えられたのか他の理由があるのか、今では50メートルくらい離れられる。でも防壁はもっと遠いからね。

 壁によればナイトも外に出て遊べるんだけど、冷凍してるとは言え死骸のそばに長々と居たいかって言うと微妙だし、私もナイトだけを戦わせて休むなんて意識的にしたくない。ナイトが元気だと言っても、休める時は休むべきだ。

「壁の上から耳が見えてるの、ヒヤヒヤするわね」

「ジャンプ力無くて助かったよ。もう1メートル高い壁作れって言われたら今頃まだ戦ってた」

 防壁の高さは4メートル弱ほどしか無いけど、アイビールは毛皮が特殊な鉄製なのが災いしてるのか、ジャンプ力がゴミだった。

 本物の、…………と言うか普通の? ごく普通のウサギなら、種類にもよるけど1メートルは跳べるらしい。それをアイビールに適応するなら、数十メートルはジャンプ出来そうな計算になる。

 もちろん、体が大きくなると体積と重量は指数関数的に増えていくのでそう単純な話でも無いんだけど、でも立ったら5メートル有りそうなウサギが4メートル弱の壁を越えられないのは助かった。

「………………で、どうする?」

「んー、どうしようかしらね?」

「交代で、かる? それで、レベル上げして、むりやり進めるくらい強くなる?」

「…………ふむ」

 現状だと、ニクスの立案くらいしか手が無いかな。レベル一つ上げた程度で無理矢理進めるとは思えないけど、強さの嵩増しはどっちにしろ必要な事だ。

 いや、一回帰れば良いのかも知れないけどさ。ここなら自衛隊の銅竜弾薬装備が刺さりそうだし。

「壁の維持は?」

「離れなきゃ大丈夫だと思うよ」

「ニクスも、へーき」

 私かニクスのどっちかが欠けると防壁が維持出来ないが、どうせ壁のすぐ向こう側にウジャウジャ居るんだし、すぐ側でレベリング出来るなら問題無いはずだ。

「んー、無理矢理進めるか分からないけど、戦いながら周囲の草刈りも進めつつ、ゆっくり攻略するしか無いかな。二層への階段を見付けなきゃ終わらないよコレ」

 終わりの無い猛攻。殺らなきゃ殺られる。

 それは、此処が銅級だろうと銀級だろうと変わらないのだろう。

 だって此処は、ダンジョンなんだから

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