Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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指。

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 蒼炎は、私の焼きたい物だけ燃やしてくれる。だから、部屋いっぱいに炎が満ちたって家族は無事だし、酸素も無くなったりしない。

 でも、その代わり、焼き殺したかった中ジョッキは消し炭になってしまった。素材勿体無いなぁ。

 DMで図鑑を見れば特に変化もなく、この中ジョッキは大きいだけで種族的には普通種と変わらないらしい。確実に殺したかを確認する時、インベントリを覗くと楽だ。当たり外れはある物の、基本的に100%ドロップだから。

「………………おっ? コレは、さっそく?」

 そして、幸運にも欲しかったものが手に入った事を知る。

「何かドロップしたのかしら? それより、階段も出てるわよ」

「お、ホントだ」

 インベントリを確認した私は、お母さんの指さす場所を見て銀級一層を攻略したと理解した。

 中ジョッキが消し飛んだ場所の地面に、見慣れた四角い枠が見えてる。下層への階段だ。

「おねーちゃん、何が出たの?」

「ん? ああ、ドロップ? 銀級で出ると思ってた上級ポーションだよ。名前はハイポーションだってさ」

 アイズギアで視界に浮かべるインベントリには、ハイポーションと書かれたアイテムがある。

 効果の記載はポーションとほぼ変わらず、ただポーションの上位互換とだけあった。

「お母さんには無いわね」

「ニクスも~」

「ふむ、ナイトは?」

「わふぅ」

「無いのか。じゃぁ単純にドロップ率は現状、25%以下だね。試行重ねるともっと落ちるのか、この確率が最大なのか」

 それもこの先分かるだろうと思いつつ、私はインベントリからさっそくハイポーションを取り出す。すると、綺麗な青い液体を封じた試験管の様な瓶が蒼炎の中から現れ、その見事な意匠にしばし見惚れた。

 ノーマルポーションの場合はなんの遊びも無い普通の試験管とコルク栓だが、ハイポーションの入れ物は透明な試験管をつたのような金の細工で包み込むようなデザインで、高級感がとても高い。

 蓋もコルクじゃなくて金細工で、試験管から引き抜くと「きゅぽんっ」と良い音がなる。

 飲んでみると特に味が無く、すぐに右手がムズムズしてきて効果が出てきた。

 義指用の手袋を外し、急いで義指もベルトを外して脱装だつそうする。

「………………おぉ、生えた。地味に痒いし結構痛い」

 一分、二分とゆっくり待っていると、バッサリ無くなってる親指の付け根からジュワジュワと肉と骨が生えていき、最後には立派な親指が生えていた。なかなか気持ち悪い絵面だったが、ちょっとスプラッターなだけで欠損が治るのは変え難い救いだろう。

 なんなら道中殺して来たモンスターの方がスプラッター仕立てにして来たんだ。今更だよね。

「これ、方々ほうぼうから納品依頼とか来そうだよね。山ほど」

「まぁ、そうね。体の一部を失った人から見れば、夢のようなアイテムだもの。……それより、回復おめでとうフラムちゃん」

「おねーちゃん治ってよかったの~!」

 治った親指を握って開いて具合を確かめてると、お母さんとニクスがギュッてしてくれたし、ナイトも静かに近寄って来て治ったばかりの親指をぺろぺろしてくれた。くすぐったい。

「みんなありがと」

 これで、地味に右手で武器が持ち難かった問題も解決した。より一層戦えるようになる。

 やっぱり、自分の指だとグリップ力が違う。予備ドラを思いっ切り握れるのは確かな安心感がある。

「本当は無くしたゴスドラ探しに行きたいんだけど、二日も経ってるしね。最悪もうダンジョンに食われてるかも知れないし、諦めようか」

「言い方は悪いけど、費用はお国が持ってくれたものね」

「素材は私の持ち出しだから全額政府持ちって訳でも無いけどさ」

「……………おねーちゃん、ニクスのアマドラつかう?」

「ニクスも予備が必要になるかも知れないし、ちゃんと自分でも持って起きなさい」

 全員、一本ずつ予備を持ってる。なんなら私は前バージョンのゴスドラも有るので、当面武器の心配は要らない。

 とは言え、補給を考えなくて良いって事も無いだろう。私は何も無い宙を見上げて、今も行われてるだろう配信に対して言葉を口にする。

「多分、武器の実戦データ取りで工房の誰かしら見てると思いますけど、見てたら追加の予備武器を水元ダンジョンまで届けて貰えますか? 武器が無くなったら補給に戻るので」

 DM配信にはコメント機能もあるんだけど、私のアカウントは登録者がえげつない数居るし、多分同時接続数も凄いことになっててコメントなんかマトモに拾えないだろう。そう思って最初からコメント表示を切ってるので、工房の誰かしらが返事をくれてても分からない。

「さて、こうやって準備もお願いしたし、少し休んだら次に行こうか」

 結構魔力を大盤振おおばんぶいしたので、少し休んでから二層へ向かう。

 三人ともそれぞれインベントリからポーションを出してクピクピ飲み、携行食も出して補給する。

 私達の体はカロリーを常人の何倍も溜め込める。けど相応の動きをすれば相応の消費が有る。

 当然、減ってるのに補給しなかったら枯渇する。だから私達はかなり小まめに補給が必要になってくる。特に魔力の生産にもカロリーを食うらしく、ポーションで補うにしても補給は必須だ。

 カロリーメイクとスティッカーズを箱単位で出して、全員でもりもり食べる。

 高カロリーな補給食はとても大事だ。

「補給が美味しくて良かった…………」

「これで並以下の味だったら、たくさん食べないといけない私達には地獄よね」

「ニクスね、カロリーメイクすきなの~」

 多分、今このシーンだけでカロリーメイクのメーカーさん株価上がったと思うよ。

 寝る前と朝起きた時にはもっとガッツリ食べるけど、それ用のレトルト食品などもかなり高カロリーな物で揃えてある。アタッカーはカロリーとズッ友なんだ。

 ポーションをお茶替わりに携行食のカートンを貪り尽くしたら、今度こそ二層へ向かう。

「準備は良い?」

 出たゴミを蒼炎で焼き払って、装備を確かめる。防具は多少汚れてるけど問題無し。予備ドラも蒼炎で随時表面を焼いてるから血脂などの心配も要らない。

 お母さんもニクスも大丈夫そうだ。バトルドレスの頑丈さが伺える。ナイトもお気に入りのグレートソードをブンブンして準備完了をアピールして来る。

「よーし、それじゃぁ行こうか。二層へ……!」

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