Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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魔法。

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 一層は、この銀級ダンジョンがどれほど過酷であるかを説明するチュートリアル的な意味を持った場所なのだと思っていた。

 いや、事実きっとそうなんだろう。一層の苛烈な攻めを受け、攻略法を見出して進むその時までにたっぷりと洗礼を受ける。そして銅級ダンジョンとは違うのだと、その身で味わうのが銀級ダンジョン一層に持たされた意味なのだろう。

 しかしながら、それを差し引いた上で二層について説明したい。

「いや苛烈ぅッ!?」

 一層の倍は苛烈だった。

 二層は一層と違ってモクログサが自生してない。インベントリに入れてみても『ダンジョングサ:ダンジョンに自生する雑草』なんて表記すら雑に記された草が生える草原だった。

 銅級でのパターンを見るに、ダンジョンは同型のエリアが三層ずつ続いて十層目にボスを置く形がテンプレートなんだろう。あまり決め付けてもいざ違った時に危ないかもしれないが、今のところはそうなってる。

 だとするなら、銀級も三層まではこのまま草原が続き、二層ではアイビールにプラスして何かしらのモンスターが登場するのだと思ってたし、実際そうなった。

 で、問題はその二層から登場した新モンスターである。

 名前を『カーバンクル』と言い、その名を知ってる者も少なくは無い結構有名なモンスターである。

 多くの場合は額に赤い宝石を持と獣で、幸運を司るとされている。実は伝承によると「赤い宝石を持つ獣」とだけ記述が残っていて、どんな形の獣だったのかは知られていない。

 ゲームなどに登場するカーバンクルは殆どがウサギかキツネの姿をしてる。だが「じゃぁウサギなのか。キツネなのか」と言われたら素直に頷けない絶妙な造形であることが殆どだ。

 さて、では現実に発生したダンジョン。その銀級の二層から出没するようになった本物・・のカーバンクル。

 これはウサギの様で、しかしキツネの様で、だがイヌの様でもあり、タヌキにも見える。空想と同じように絶妙なデザインだが、あえて簡単に見た目を描写するなら「丸々と太ったフェネック」だろうか。

 額に赤い宝石を光らせた太ったフェネック。それが銀級二層で出没するカーバンクルだ。

 じゃぁ、このカーバンクルが出て来る二層は何が苛烈なのか?

 答えは至極シンプル。



「まず敵が魔法・・使ってくるとか聞いてないんだけどぉぉおおッ!?」



 カーバンクルとやらが魔法・・を使うのだ。



 魔法。それは銅竜の素材を説明するテキストに乗っていた、わかり易い神秘。

 それがどんな形の現象なのか、どうやって使うのか、どんな結果を導くのか、誰もそれを知らなかった魔法と言う名の神秘が今、白日のもとに晒された。

「--調子に、乗るなよ毛玉ァ!」

 不利な形勢をひっくり返すべく蒼炎を吹き散らす私に、周囲に居るカーバンクルは額の宝石を光らせて対応する。

 赤い宝石が輝けば、その透き通った石の前に円形の幾何学模様が走って一瞬の後、カーバンクルが使用したい魔法が行使されてこの世に現界する。

 恐らく、あの円形の幾何学模様が所謂いわゆる、魔法陣って物なのだろう。実にファンタジー極まりない。

 カーバンクルが使用する魔法は今のところ三種類で、三種とも例外無く魔法陣を経由して発動してる。それが魔法のルールらしい。

 一つはシンプルに弾丸の魔法。透明な水晶にも見える弾体が一瞬で生成され、そして自分達目掛けて射出される。炎の玉とか氷の槍とか風の刃なんて物は飛んで来なかった。魔力を固めた水晶みたいなやつだけだ。

 二つ目は、…………なんと言うか、近接技の延長魔法? とでも説明しようか。簡単に言うと、出現した魔法陣をカーバンクルが引っ掻くと、その魔法陣を引っ掻いた爪を模したかの様な斬撃が前方に飛んで行く。範囲が広いので地味に厄介だ。

 そして最後、三つ目。出現した魔法陣が物理的な干渉力を持った盾になる魔法。魔法の盾とか何それカッコイイ…………。

「て言うかアイビールが邪魔ァ!」

 一層を超えて二層に踏み入り、カーバンクルを目にしたその時から魔法の猛威に晒されてる私達であるが、アイビールも依然として出没してウザったい。

 言うなればアイビールが前衛でカーバンクルが後衛だ。バランスの取れたチームだよ全く。

 しかも恐ろしい事に、魔法にされると蒼炎でドレイン出来ないのだ。もはや魔力とは別の何かへ変換されてるからなのか、盾も弾も、蒼炎で燃やそうと普通にダメージが通るだけで魔力を奪えない。

 一層のように大量のモンスターがいる訳じゃない。しかし、アイビール一体にカーバンクル二体程度のパーティでも手数が違う。気を抜くと一体のカーバンクルから十発二十発の魔法が飛んでくる。

 魔弾を予備ドラで叩き落とし、頭にカーバンクルを乗せてシールド展開しつつ突進して来るアイビールを避け、すれ違いざまに大戦斧を土手どてぱらにブチ込んで行く。

「…………魔法。これが魔法かぁ」

「今頃、世間は大騒ぎね?」

「どうかな。今のところは予備動作のあるスキルって感じだし」

 全てのカーバンクルが使って来るので、カーバンクルの種族特性って訳じゃないなら、普遍的に使える技術ではあるんだろう。それに気が付けた人なら騒ぐかもしれない。

 だけど、銅竜の素材テキストを知らない者からすると、魔法をまだモンスター特有の攻撃だと思ってる人も少なくないと思う。私は銅竜の素材から魔法の存在を先に知ってて、人間が扱う術も有るのだと知ってるけど。

「…………あの盾魔法は欲しいな。どうやって手に入れるんだろ?」

「たぶん、あの幾何学模様が鍵よね」

「まねっこするのかなぁ~?」

 絶え間ない戦闘を全員で続けながら考察をする。

 私達は直感してる。あれ、これからのダンジョン攻略で必須になる技術でしょ。

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