僕が守りたかったけれど

景空

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149話

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「おはようございます。エジュリー殿下」
「おはようございます。グリフィン侯爵。準備はどうですか」
「順調です。今日の昼には出発できます。当家の騎士団の一部を先行させて馬車用の替え馬も準備させています。3日後には現地にはいれるでしょう」
「さすがはグリフィン侯爵。手際がいい。他の貴族家の出兵とはちがいますね」
「彼らの場合多くの騎士団員を動かしますから準備も大掛かりになります。私たちの場合戦力としては私と妻の2人ですから準備も簡単ですからね」
「では、わたしは早いうちに王宮に戻ります。グリフィン侯爵が依頼を受けていただけたことを陛下に報告しなければなりませんので」
僕達はエジュリー殿下を見送ったあと、準備の最終確認を行い馬車の椅子に身を沈めた。僕達が走れば馬車よりも少しばかり速いけれど、今回は上位王種込みのスタンピード。わずかな疲労の違いが命取りになる可能性を考慮して馬車で移動することにした。その代わりに先行させた騎士団員の準備している替え馬と御者を2人連れて交代制にして昼夜通しで移動する。
 「悪いな、僕達は移動中は休ませてもらう」
「いえ、侯爵ご夫妻の現地での任務を考えれば我らの苦労など物の数ではありません。ご夫妻を万全の体勢でお連れするのが我らの役目と考えておりますれば」
「うん、頼む」
マリーデまで通常であれば馬で4日、馬車で7日、徒歩なら15日の道のり。それを半ば魔道具化した馬車を替え馬を使い3日で移動した。そして見たものは
「まずい、あと僅かで街に」
僕は黒弓を手に馬車の屋根に上がった。僕が何をしようとしているのか察したミーアも続いてくれる。
「馬車でギリギリまで近づいてくれ。その間は弓で間引く。出し惜しみは無しだ」
オリハルコンの鏃を取り付けた矢を次々と放つ。隣ではミーアも射始めた。スタンピードの端までおよそ300メルド。僕達は弓をしまい、剣を取り馬車から飛び降りた。
「ここまでご苦労だった。安全な場所まで戻って待っていてくれ」
御者に離脱を命じ、
「ミーア行こう」
スタンピードに向けて駆け出した。街のきわから殲滅を始める。
 そこは騎士団が隊列を組んでかろうじて支えていた。無傷の騎士は全く見えない。
「フェイウェル・グリフィン侯爵だ、依頼により救援に来た」
叫びつつ手近なところから魔獣を両手剣で切り捨てる。隣ではミーアも片手剣を左右の手に持ち振るいはじめていた。街に押し寄せている魔獣は上位の中でも特に上位に位置する魔獣だった。これを騎士団が抑えていたとはすばらしい働きだ。しかし、魔獣の数が多い。
「魔法を使う。合図をしたら騎士団は下がれ」
騎士団員から了解を知らせる言葉が届く。
「今だ、下がれ」
騎士団が下がり、魔獣との間が空いたことを確認し僕とミーアは竜の魔法を放つ。街の近くで火属性の魔法を放つわけにはいかないため、風属性の魔法。それでもファイアドラゴンを倒し、四神獣の試練を乗り越えた僕達の魔法は更に強くなっている。数百メルドにわたり魔獣を殲滅する風の刃が吹き荒れた。
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