僕が守りたかったけれど

景空

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148話

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 「侯爵ご夫妻、相変わらずご活躍のようですね」
「いえ、これも皇帝陛下のご威光の賜物です」
「先日は、ファイアドラゴンを討伐されたとか」
「さすがはエジュリー殿下、お耳が速い」
「もはや、あなた方にとっては竜もただの魔獣の1体でしかなさそうですね」
「さすがに竜と対峙するのは私たちにとっても命がけです。とてもただの魔獣の1体などとは……」
僕も雑談を紡ぐけれどさすがに居心地が悪い。かと言って王族を急かすわけにもいかないなと困っていると。
「さて、雑談も楽しいが、本題に移ろうかの」
「は」
僕たちは居ずまいを正す。ここからは公式な立場での言葉になる。
「フェイウェル・グリフィン侯爵、ならびにミーア・グリフィン侯爵夫人に勅命である。聖国北部の街マリーデ近くの間の森にてスタンピードが発生し聖国より救援要請が来ておる。聖国に赴き、彼の地でのスタンピード討伐をせよ」
スタンピードというだけで他国に救援要請とは疑問だけれど、勅命とあれば受けるしかない。
「謹んでお受けいたします。その上でお聞きしたいのですがよろしいでしょうか」
「構わん、なんなりと聞くがよい」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。聖国となれば騎士団も充実しておりスタンピードにしても自国で十分に対応可能なはず、そこに帝国に救援要請とはなぜでしょう」
「スタンピードだけなれば、そなたの言う通りだな」
「なれば、なぜでしょうか」
「スタンピードの中に王種、それも上位王種エルダーアークデーモンが確認されたそうだ。そなたらの任務は、1つに周囲のスタンピードの討伐。2つにエルダーアークデーモンの討伐もしくは魔の森奥への追い込みになる」
「な、上位王種ですか。それは私共のみでの対応になるのでしょうか。それとも他に協働する戦力があるのでしょうか」
「一応、聖国の聖騎士団と勇者パーティーは既に出撃している。そこに合流する形になる」
「ということは既に」
初めて会った時の未熟な勇者様、そして先日共闘した成長した勇者様それぞれが脳裏に浮かんだ。上位王種相手ではまだ無理だろう。それを支えるアーセルの負担も。気付いた時には汗ばむ拳を握り込んでいた。
「うむ、既に戦闘開始から10日近く経っているはずだ。聖国からの話では戦線を後退させつつ人里から離れるようにコントロールするので精いっぱいだそうだ」
「わかりました。準備が出来しだい出発いたします」
そこで王女殿下が非公式な顔に戻る。
「無理をしないで、おふたりが生きて戻るのを最優先してください」
ふわりと優しい笑顔をみせる王女殿下。
「もちろんです」
僕達は答え、遠征の準備を始めた。
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