153 / 166
153話
しおりを挟む
「ギーゼ、フェイ、ミーア」
アーセルの悲鳴が聞こえる。聞こえるという事は、僕は生きている。
「ミーア、無事かい」
「ええ、初めてのタイプの魔法だったからびっくりしたけど。大丈夫よ」
「勇者様、当然無事ですよね」
僕が声を掛けると。勇者様がむくりと起き上がり
「知っていたのか」
「勇者シリーズの防具を着込んだ勇者様が魔法で落ちるなんてのは聞いたことがありませんよ。それにアーセルを欲しがった元々の理由もね」
僕の言葉に勇者様の肩がピクリと動いた。
「しかし、フェイウェル殿とミーア殿が無事なのは……」
「僕達は色々とね。それに僕達の装備は竜の素材から作った特製です。勇者シリーズとはいきませんが耐魔法性能はかなりのものですからね。今の感じからするとエルダーアークデーモンが魔法を放つときにカウンターで攻撃すればかなり効果がありそうです。とにかく、僕とミーアがサポートします。エルダーアークデーモンを討伐するか。最低限森に追いこみますよ」
僕の思惑としては勇者様に最低限、魔法への恐怖感を薄めてもらうつもりだった。勇者は強大な魔法耐性を持っている。勇者シリーズを装備していれば、たとえ上位王種の放つ魔法であっても耐えられると。
「では続けますよ」
僕が竜の混合魔法でエルダーアークデーモンを浮かせる。当然敵意は僕に向く。そこからエルダーアークデーモンの攻撃を剣で払い、受け流し、いなす。そうしてスキを作り勇者様に攻撃をいれてもらう。
エルダーアークデーモンが再度魔法を放つ体勢に入った。
「勇者様、今です全力攻撃を」
勇者様がエルダーアークデーモンに聖剣を突き立てる。わずかな怯みこそあるけれど、やはり魔法をとめるまでには至らない。エルダーアークデーモンが闇魔法を放つ、今回のターゲットは僕だ。後ろには誰もいない。でもその先には街がある。やはり躱すわけにはいかない。放たれた闇魔法のコアに剣で切りつける。今回ミーアはエルダーアークデーモンの反対側にいるので僕ひとりで受ける。2回目で慣れの分倒れずに済んだ。魔法を放った直後の今がチャンスと勇者様が切り込んで……。切り込みが遅い、このタイミングだと……。勇者様がエルダーアークデーモンに切りつけ、即退避……間に合わない。エルダーアークデーモンが振り回した腕が勇者様を吹き飛ばした。とっさに聖剣を差し出していたので直撃ではない。勇者シリーズの防具を装備しているので死んではいないと思うけれど。
「無理だな」
ポツリと僕が漏らしたのをミーアが聞きとがめた。
「フェイ」
「ミーア、勇者様をアーセルの元に」
動かない勇者様をミーアがアーセルの元に連れていき、アーセルに一言二言話しかけている。その言葉にアーセルは驚き、そして小さく頷いた。
アーセルの悲鳴が聞こえる。聞こえるという事は、僕は生きている。
「ミーア、無事かい」
「ええ、初めてのタイプの魔法だったからびっくりしたけど。大丈夫よ」
「勇者様、当然無事ですよね」
僕が声を掛けると。勇者様がむくりと起き上がり
「知っていたのか」
「勇者シリーズの防具を着込んだ勇者様が魔法で落ちるなんてのは聞いたことがありませんよ。それにアーセルを欲しがった元々の理由もね」
僕の言葉に勇者様の肩がピクリと動いた。
「しかし、フェイウェル殿とミーア殿が無事なのは……」
「僕達は色々とね。それに僕達の装備は竜の素材から作った特製です。勇者シリーズとはいきませんが耐魔法性能はかなりのものですからね。今の感じからするとエルダーアークデーモンが魔法を放つときにカウンターで攻撃すればかなり効果がありそうです。とにかく、僕とミーアがサポートします。エルダーアークデーモンを討伐するか。最低限森に追いこみますよ」
僕の思惑としては勇者様に最低限、魔法への恐怖感を薄めてもらうつもりだった。勇者は強大な魔法耐性を持っている。勇者シリーズを装備していれば、たとえ上位王種の放つ魔法であっても耐えられると。
「では続けますよ」
僕が竜の混合魔法でエルダーアークデーモンを浮かせる。当然敵意は僕に向く。そこからエルダーアークデーモンの攻撃を剣で払い、受け流し、いなす。そうしてスキを作り勇者様に攻撃をいれてもらう。
エルダーアークデーモンが再度魔法を放つ体勢に入った。
「勇者様、今です全力攻撃を」
勇者様がエルダーアークデーモンに聖剣を突き立てる。わずかな怯みこそあるけれど、やはり魔法をとめるまでには至らない。エルダーアークデーモンが闇魔法を放つ、今回のターゲットは僕だ。後ろには誰もいない。でもその先には街がある。やはり躱すわけにはいかない。放たれた闇魔法のコアに剣で切りつける。今回ミーアはエルダーアークデーモンの反対側にいるので僕ひとりで受ける。2回目で慣れの分倒れずに済んだ。魔法を放った直後の今がチャンスと勇者様が切り込んで……。切り込みが遅い、このタイミングだと……。勇者様がエルダーアークデーモンに切りつけ、即退避……間に合わない。エルダーアークデーモンが振り回した腕が勇者様を吹き飛ばした。とっさに聖剣を差し出していたので直撃ではない。勇者シリーズの防具を装備しているので死んではいないと思うけれど。
「無理だな」
ポツリと僕が漏らしたのをミーアが聞きとがめた。
「フェイ」
「ミーア、勇者様をアーセルの元に」
動かない勇者様をミーアがアーセルの元に連れていき、アーセルに一言二言話しかけている。その言葉にアーセルは驚き、そして小さく頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる