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異世界文明との接触
第44話 編み物
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「え、木工職人を紹介してほしいって?」
あれからフラフラと職人街を見て回ったけど、結局どこの工房の門も叩かないままに女神の横顔に戻ったのだけど。いえ、はっきり言えば、知らない工房を紹介もなしに訪問するって難易度高すぎて逃げ帰ってしまったの。まあ瑶さんは何か所か声を掛けようとしてたけど、あたしが止めたのよね。
だってなんとなく不安じゃない。なので今ミーガンさんに紹介をお願いしているところなのよね。
「ええ、ちょっとした小物を作って欲しくて」
「小物、ですか?」
「ええ、ちょっと自作したいものがあって。それと、糸を何種類か欲しいんですけど。手に入りますか?」
「何か自作されるんですね。その道具を作るのに木工職人に依頼を出したいと。あと糸は簡単に手に入ります。どんなものが良いですか?」
「糸は、あまり弱くないもので、ある程度柔軟なものが太さ別に何種類かあると嬉しいです」
厚手から薄手のゴム編み、ジャージ編みでサンプル作ってミーガンさんに渡したらきっと作ってくれると思うのよね。この世界の布って本当にザ・布って感じで伸縮性ないんだもの。多少値段が上がっても、少し伸縮性のある服も欲しいわ。
「わかりました。あと木工職人に制作依頼したい小物はどんなものですか?よろしければ、わたしが注文してきますが」
「そうですか。それじゃあお願いします。作ってもらいたいものは……」
「わかりました。その程度のものであれば、恐らくそれほど時間かからないと思います。それにしても変わったものを使われるのですね。いったいどんなものを……」
大小数種類の棒針、かぎ針の作成をお願いして、あとで使い方を説明する約束までしちゃったわ。ふふふ、ある意味狙い通りね。
翌日は、商業ギルドでこの国の常識や文字・言葉を勉強したの。お昼ごはんは当然”風来のバイェステロス”で食べたわね。屋台のご飯も好奇心を刺激されるけど”風来のバイェステロス”の美味しいご飯をやめてまで食べに行くほどでは無いもの。
「朝未様。準備できましたよ」
夕食前にミーガンさんが持ってきてくれたのは何種類かの編み針と4種類の糸だったの。
「わあ、もうできたんですか。嬉しいです。明日から作ってみますね」
武器や防具を受け取るまでまだ何日かあるので、その間に日本にいた頃に趣味にしていた編み物の技術を生かしてちょっとしたものを作ってみようと思うのよね。
今の身体は色々と高性能になっているみたいだけどこういった細かい作業はどうかしらね。そういう部分の確認にも役に立つと思うの。まあ、これは後付けの言い訳だけど。この1か月ほど動物(魔物?)を殺して解体して焼いて食べるっていう少し殺伐とした生活をしてきたから、心のうるおいも欲しいのよね。そういう意味では”風来のバイェステロス”は食事の面でうるおいをもたらしてくれたわ。値段は少しばかり高いけど美味しいは正義よね。
その日は夕食後は編み物をして、翌日からは午前中編み物、風来のバイェステロスで昼ご飯を食べて、午後は商業ギルドでお勉強、夕方になったら宿に戻って夕食、そのあと寝るまで編み物という生活を4日ほど過ごしたの。
「瑶様、朝未様、武器と防具の準備が出来たと連絡がありました。よろしければ朝食後、ご案内させていただきますが、ご予定はいかがですか?」
あたしは瑶さんの顔を見て頷いてみせたの。
「では、朝食後。よろしくお願いいたします」
「はい、では後で表に馬車をまわしますので、朝食がお済になりましたらロビーでお待ちください」
食後、一旦部屋に戻って準備をしたあたしと瑶さんがロビーで待っているところにミーガンさんが呼びに来たわ。
「瑶様、朝未様、馬車の準備が出来ました。こちらへどうぞ」
「ミーガンさん、ちょっとこれ見てもらえます?」
馬車に乗ったところであたしは鞄からこの数日の成果たちを取り出してミーガンさんに見せた。
「これは、ベストですか」
「ええ、先日作ってもらった小物を使って編んだのだけど、ミーガンさんから見てどう感じますか?」
「編んだ、ですか?」
そう言うとしげしげとミーガンさんはベストを眺め。
「朝未様、これでは着ることが出来ませんよ」
「何故ですか?」
「いや、わかってますよね。これだと肩が入りません」
「うふふ、肩が入りませんか?騙されたと思って着てみてくれませんか?」
あたしが言うと、ミーガンさんは少し変な顔をしながらも渋々と着てみてくれたわ。あ、顔が驚きの表情に変わったわね。
「朝未様、こ、これはどうなっているのですか?サイズからしたら絶対に着ることが出来ないと思ったのですがスルリと、しかも身体にぴったりとフィットして。それによく見ると何やら模様のようなものが。ひょっとして魔法道具ですか?」
「ふふ、違いますよ。これは純粋に技術的なものです。編み方で自然に少しばかり伸縮するようになるんです。模様は違う糸を編み込んでいるだけですね。そもそもあたし、魔法道具なんて作れませんよ」
「で、では、これは作り方が分かれば誰にでも同じものが作れると?」
「そうですね、少し手間がかかりますので普通の布のように量産するのは難しいと思いますが。道具作りをお願いした時のお約束通り、編み方は説明させていただきますよ」
「いいのですか?これかなりの利益を生みそうですが」
「あたし達じゃ売り先を見つけるのも材料の購入も簡単ではないですから。それにあたしだけじゃ作れる数も大したことないですし。そのあたりは商人であるミーガンさんにお任せしたほうが良いでしょう?」
「わかりました。お任せください」
あたし達が見つけられなかっただけでなく、この世界では本当に伸縮性のある生地はまだ無いらしくミーガンさんも興奮気味に頷いてくれたわ。売り上げの一部をあたしに還元してくれるそうなのでこの世界での収入源が出来たのも嬉しいわね。
「到着しました」
そんな中エルリさんがヴェルマーさんの工房に到着したことを知らせてくれたわ。さあ武器や防具の出来が楽しみね。
あれからフラフラと職人街を見て回ったけど、結局どこの工房の門も叩かないままに女神の横顔に戻ったのだけど。いえ、はっきり言えば、知らない工房を紹介もなしに訪問するって難易度高すぎて逃げ帰ってしまったの。まあ瑶さんは何か所か声を掛けようとしてたけど、あたしが止めたのよね。
だってなんとなく不安じゃない。なので今ミーガンさんに紹介をお願いしているところなのよね。
「ええ、ちょっとした小物を作って欲しくて」
「小物、ですか?」
「ええ、ちょっと自作したいものがあって。それと、糸を何種類か欲しいんですけど。手に入りますか?」
「何か自作されるんですね。その道具を作るのに木工職人に依頼を出したいと。あと糸は簡単に手に入ります。どんなものが良いですか?」
「糸は、あまり弱くないもので、ある程度柔軟なものが太さ別に何種類かあると嬉しいです」
厚手から薄手のゴム編み、ジャージ編みでサンプル作ってミーガンさんに渡したらきっと作ってくれると思うのよね。この世界の布って本当にザ・布って感じで伸縮性ないんだもの。多少値段が上がっても、少し伸縮性のある服も欲しいわ。
「わかりました。あと木工職人に制作依頼したい小物はどんなものですか?よろしければ、わたしが注文してきますが」
「そうですか。それじゃあお願いします。作ってもらいたいものは……」
「わかりました。その程度のものであれば、恐らくそれほど時間かからないと思います。それにしても変わったものを使われるのですね。いったいどんなものを……」
大小数種類の棒針、かぎ針の作成をお願いして、あとで使い方を説明する約束までしちゃったわ。ふふふ、ある意味狙い通りね。
翌日は、商業ギルドでこの国の常識や文字・言葉を勉強したの。お昼ごはんは当然”風来のバイェステロス”で食べたわね。屋台のご飯も好奇心を刺激されるけど”風来のバイェステロス”の美味しいご飯をやめてまで食べに行くほどでは無いもの。
「朝未様。準備できましたよ」
夕食前にミーガンさんが持ってきてくれたのは何種類かの編み針と4種類の糸だったの。
「わあ、もうできたんですか。嬉しいです。明日から作ってみますね」
武器や防具を受け取るまでまだ何日かあるので、その間に日本にいた頃に趣味にしていた編み物の技術を生かしてちょっとしたものを作ってみようと思うのよね。
今の身体は色々と高性能になっているみたいだけどこういった細かい作業はどうかしらね。そういう部分の確認にも役に立つと思うの。まあ、これは後付けの言い訳だけど。この1か月ほど動物(魔物?)を殺して解体して焼いて食べるっていう少し殺伐とした生活をしてきたから、心のうるおいも欲しいのよね。そういう意味では”風来のバイェステロス”は食事の面でうるおいをもたらしてくれたわ。値段は少しばかり高いけど美味しいは正義よね。
その日は夕食後は編み物をして、翌日からは午前中編み物、風来のバイェステロスで昼ご飯を食べて、午後は商業ギルドでお勉強、夕方になったら宿に戻って夕食、そのあと寝るまで編み物という生活を4日ほど過ごしたの。
「瑶様、朝未様、武器と防具の準備が出来たと連絡がありました。よろしければ朝食後、ご案内させていただきますが、ご予定はいかがですか?」
あたしは瑶さんの顔を見て頷いてみせたの。
「では、朝食後。よろしくお願いいたします」
「はい、では後で表に馬車をまわしますので、朝食がお済になりましたらロビーでお待ちください」
食後、一旦部屋に戻って準備をしたあたしと瑶さんがロビーで待っているところにミーガンさんが呼びに来たわ。
「瑶様、朝未様、馬車の準備が出来ました。こちらへどうぞ」
「ミーガンさん、ちょっとこれ見てもらえます?」
馬車に乗ったところであたしは鞄からこの数日の成果たちを取り出してミーガンさんに見せた。
「これは、ベストですか」
「ええ、先日作ってもらった小物を使って編んだのだけど、ミーガンさんから見てどう感じますか?」
「編んだ、ですか?」
そう言うとしげしげとミーガンさんはベストを眺め。
「朝未様、これでは着ることが出来ませんよ」
「何故ですか?」
「いや、わかってますよね。これだと肩が入りません」
「うふふ、肩が入りませんか?騙されたと思って着てみてくれませんか?」
あたしが言うと、ミーガンさんは少し変な顔をしながらも渋々と着てみてくれたわ。あ、顔が驚きの表情に変わったわね。
「朝未様、こ、これはどうなっているのですか?サイズからしたら絶対に着ることが出来ないと思ったのですがスルリと、しかも身体にぴったりとフィットして。それによく見ると何やら模様のようなものが。ひょっとして魔法道具ですか?」
「ふふ、違いますよ。これは純粋に技術的なものです。編み方で自然に少しばかり伸縮するようになるんです。模様は違う糸を編み込んでいるだけですね。そもそもあたし、魔法道具なんて作れませんよ」
「で、では、これは作り方が分かれば誰にでも同じものが作れると?」
「そうですね、少し手間がかかりますので普通の布のように量産するのは難しいと思いますが。道具作りをお願いした時のお約束通り、編み方は説明させていただきますよ」
「いいのですか?これかなりの利益を生みそうですが」
「あたし達じゃ売り先を見つけるのも材料の購入も簡単ではないですから。それにあたしだけじゃ作れる数も大したことないですし。そのあたりは商人であるミーガンさんにお任せしたほうが良いでしょう?」
「わかりました。お任せください」
あたし達が見つけられなかっただけでなく、この世界では本当に伸縮性のある生地はまだ無いらしくミーガンさんも興奮気味に頷いてくれたわ。売り上げの一部をあたしに還元してくれるそうなのでこの世界での収入源が出来たのも嬉しいわね。
「到着しました」
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