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新天地へ
第90話 子供?大人?
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「また盗賊って襲ってきそうですか?」
「うーん、多分もう盗賊は気にしなくていいと思うぞ」
「盗賊は?」
「ああ、そろそろ魔獣の領域に入るからな。ここからは天使ちゃんたちの専門の領域だな。ここまでだけでも3人の実力が飛びぬけているのは分かったけどな、ここからは特に期待してる」
村を発って4日目、盗賊についてフアンさんに聞くと、こんな風に言われてしまった。でも、正直言って盗賊相手とは言っても人間との殺し合いは心に来るので、できれば避けたいあたしとしても少しほっとしてしまった。
実際、魔獣は人間と違って難しい作戦とか使ってこないので探知魔法の扱いは楽なのよね。マナセンスの反応で強さを、マインドサーチでこちらへの敵意を主に見ていればいいので。夜だとヒートアイで地球でいうところの赤外線映像みたいに見えるのも役に立つわね。グラウンドセンスは地形がわかるし、穴に隠れていたり地面の状態や魔獣が動く時の振動がわかるから便利は便利だけど、有効性は少し落ちるのよね。
そして今は、探知魔法の練習を兼ねてマナセンスだけに魔力をつぎ込んでいる。この練習は結構効果があるみたい。本当にわずかずつだけど、それでもはっきりと探知範囲が広がっていることがわかる。街や村のような場所で安心して眠ることのできる夜は寝る前に魔力を全部使い切るようにして魔力枯渇に慣れる練習をしていた。その成果として今では魔法が使えなくなるほど魔力が枯渇しても気を失うほどのことはない、もちろん魔法は使えないけど、意識を失わなければ最低限、物理戦闘力は維持できるから。そして、その練習の副産物として、あたしの魔力量は急激に増加してきたのよね。今では変異種と戦った時の3倍はあるわ。それでも聖女専用といわれる最上位の聖属性魔法、パーフェクトプロテクション、パーフェクトシェル、リザレクションはまだ使えない。どれだけ魔力が必要なのよ。死が隣にいるようなこの世界、リザレクションは早く覚えたいのに。
ブチブチと誰にも聞こえない小声で愚痴をこぼしながら、探知魔法で周辺を監視し護衛として馬車についていっているけど、幸いにして次の中継点の村につくまでは魔獣は現れなかった。
「あたし達、護衛は初めてなんですけど、襲われる頻度ってこんなものなんですか?」
「いや、盗賊がこれまでの10日程度の旅程で2度も襲ってくるのは珍しいな。大抵は護衛なんて一緒に歩いているだけで戦うのはめったにないな」
「ということは今回は、運が悪いんですねえ」
あたしは思わずため息をついてしまった。
「いや、運というのとはちょっと……」
そんなあたしにフアンさんは気まずそうに口をはさんできた。
「え?何か理由があるんですか?あ、ひょっとして今回運んでいる荷物に特別価値のあるものがあるとか?」
「いやいや、そんなのじゃないぞ。そもそも価値の高いものを積んでいたとして盗賊がそんなもの知ってるわけないだろ」
「そっか、言われてみればそうですね。となると別に理由があるってことですか?」
「うーん、天使ちゃんにこんなこというのは少々憚られるんだが、今回は依頼主のマルタさんと天使ちゃんのふたりも女性がいるだろ?盗賊ってのは基本的に男しかいないからな。その色々と……」
「ああ、そういう。あたしみたいな子供を狙うってのは別にしても……。なんとなく把握しました」
あたしがそう言うとフアンさんはちょっと微妙な表情を見せたわね。
「いや、天使ちゃんのことを子供って対象外にする男はそういないから、気を付けた方が……、いや天使ちゃんなら返り討ちにできるか」
「え?あたしみたいな子供をそういう対象に見る変態がそんなに多いの?」
あら?またフアンさんが微妙な表情になったわ。
「天使ちゃん、自分の事を子供だって本気で思ってるの?」
「え?エルリックでも周りの人たちみんなが、あたしのこと子供って見てましたよ」
「エルリックでの周りってハンターギルドだよな?傭兵ギルドでは天使ちゃんは普通に対象にされてたぞ」
「それって単に普段会わないから想像の中のあたしを対象にしてただけじゃないですか?」
「中にはそういう奴もいたかもしれんが、ほとんどの傭兵は天使ちゃんのことを知っていたぞ」
「ほとんど?なんでですか?あたし傭兵ギルドとは、これまで接点ありませんでしたけど」
「天使ちゃん。あんた自分がエルリックでどれだけ有名だったか知らんのか?」
「ええ?そんなにですか?あたし達エルリックには半年足らずしか滞在してなかったんですけど」
「登録したその日に絡んできた6級ハンターを簡単に返り討ちにして、8級で登録し、あっという間に6級ハンターまで昇格、5級ハンターパーティ女神の雷が逃げ出したゴブリンとオークの変異種を討伐し、女神の雷からの嫌がらせをことごとく跳ね返した。そんなハンターなら戦闘職ならずとも気になるもんだ。それも天使なんて呼ばれる可愛い女の子だってんだからなおさらだな」
「でも、そんな様子感じられませんでしたよ」
「そりゃ大勢で大挙して行かなきゃ気づかないだろうさ。別に敵意をもって見るわけでもないからな」
「うーん、そんなもんですか」
「それに、天使ちゃん達にもメリットはあったはずだぜ」
「メリット?」
「例の女神の雷な、あいつらがエルリックの街中では手を出してこなかっただろ。ありゃ、傭兵ギルドのメンバーが入れ代わり立ち代わり近くに居たってのも大きいはずだ。ハンターですらない傭兵ギルドのメンバーが目撃者じゃあいつらもやりにくかっただろうさ。そんなわけで、傭兵ギルドのメンバーのほとんどは天使ちゃんの事を知ってたってわけだ。で、そいつらみんな天使ちゃんのことを子供だなんて言ってなかったぜ。若手の奴らなんか嫁にするとか張り切ってたぞ。まあヨウにべったりの様子見て俯いてにげてくるようなヘタレばかりだったたけどな。ワハハ!」
「うーん、多分もう盗賊は気にしなくていいと思うぞ」
「盗賊は?」
「ああ、そろそろ魔獣の領域に入るからな。ここからは天使ちゃんたちの専門の領域だな。ここまでだけでも3人の実力が飛びぬけているのは分かったけどな、ここからは特に期待してる」
村を発って4日目、盗賊についてフアンさんに聞くと、こんな風に言われてしまった。でも、正直言って盗賊相手とは言っても人間との殺し合いは心に来るので、できれば避けたいあたしとしても少しほっとしてしまった。
実際、魔獣は人間と違って難しい作戦とか使ってこないので探知魔法の扱いは楽なのよね。マナセンスの反応で強さを、マインドサーチでこちらへの敵意を主に見ていればいいので。夜だとヒートアイで地球でいうところの赤外線映像みたいに見えるのも役に立つわね。グラウンドセンスは地形がわかるし、穴に隠れていたり地面の状態や魔獣が動く時の振動がわかるから便利は便利だけど、有効性は少し落ちるのよね。
そして今は、探知魔法の練習を兼ねてマナセンスだけに魔力をつぎ込んでいる。この練習は結構効果があるみたい。本当にわずかずつだけど、それでもはっきりと探知範囲が広がっていることがわかる。街や村のような場所で安心して眠ることのできる夜は寝る前に魔力を全部使い切るようにして魔力枯渇に慣れる練習をしていた。その成果として今では魔法が使えなくなるほど魔力が枯渇しても気を失うほどのことはない、もちろん魔法は使えないけど、意識を失わなければ最低限、物理戦闘力は維持できるから。そして、その練習の副産物として、あたしの魔力量は急激に増加してきたのよね。今では変異種と戦った時の3倍はあるわ。それでも聖女専用といわれる最上位の聖属性魔法、パーフェクトプロテクション、パーフェクトシェル、リザレクションはまだ使えない。どれだけ魔力が必要なのよ。死が隣にいるようなこの世界、リザレクションは早く覚えたいのに。
ブチブチと誰にも聞こえない小声で愚痴をこぼしながら、探知魔法で周辺を監視し護衛として馬車についていっているけど、幸いにして次の中継点の村につくまでは魔獣は現れなかった。
「あたし達、護衛は初めてなんですけど、襲われる頻度ってこんなものなんですか?」
「いや、盗賊がこれまでの10日程度の旅程で2度も襲ってくるのは珍しいな。大抵は護衛なんて一緒に歩いているだけで戦うのはめったにないな」
「ということは今回は、運が悪いんですねえ」
あたしは思わずため息をついてしまった。
「いや、運というのとはちょっと……」
そんなあたしにフアンさんは気まずそうに口をはさんできた。
「え?何か理由があるんですか?あ、ひょっとして今回運んでいる荷物に特別価値のあるものがあるとか?」
「いやいや、そんなのじゃないぞ。そもそも価値の高いものを積んでいたとして盗賊がそんなもの知ってるわけないだろ」
「そっか、言われてみればそうですね。となると別に理由があるってことですか?」
「うーん、天使ちゃんにこんなこというのは少々憚られるんだが、今回は依頼主のマルタさんと天使ちゃんのふたりも女性がいるだろ?盗賊ってのは基本的に男しかいないからな。その色々と……」
「ああ、そういう。あたしみたいな子供を狙うってのは別にしても……。なんとなく把握しました」
あたしがそう言うとフアンさんはちょっと微妙な表情を見せたわね。
「いや、天使ちゃんのことを子供って対象外にする男はそういないから、気を付けた方が……、いや天使ちゃんなら返り討ちにできるか」
「え?あたしみたいな子供をそういう対象に見る変態がそんなに多いの?」
あら?またフアンさんが微妙な表情になったわ。
「天使ちゃん、自分の事を子供だって本気で思ってるの?」
「え?エルリックでも周りの人たちみんなが、あたしのこと子供って見てましたよ」
「エルリックでの周りってハンターギルドだよな?傭兵ギルドでは天使ちゃんは普通に対象にされてたぞ」
「それって単に普段会わないから想像の中のあたしを対象にしてただけじゃないですか?」
「中にはそういう奴もいたかもしれんが、ほとんどの傭兵は天使ちゃんのことを知っていたぞ」
「ほとんど?なんでですか?あたし傭兵ギルドとは、これまで接点ありませんでしたけど」
「天使ちゃん。あんた自分がエルリックでどれだけ有名だったか知らんのか?」
「ええ?そんなにですか?あたし達エルリックには半年足らずしか滞在してなかったんですけど」
「登録したその日に絡んできた6級ハンターを簡単に返り討ちにして、8級で登録し、あっという間に6級ハンターまで昇格、5級ハンターパーティ女神の雷が逃げ出したゴブリンとオークの変異種を討伐し、女神の雷からの嫌がらせをことごとく跳ね返した。そんなハンターなら戦闘職ならずとも気になるもんだ。それも天使なんて呼ばれる可愛い女の子だってんだからなおさらだな」
「でも、そんな様子感じられませんでしたよ」
「そりゃ大勢で大挙して行かなきゃ気づかないだろうさ。別に敵意をもって見るわけでもないからな」
「うーん、そんなもんですか」
「それに、天使ちゃん達にもメリットはあったはずだぜ」
「メリット?」
「例の女神の雷な、あいつらがエルリックの街中では手を出してこなかっただろ。ありゃ、傭兵ギルドのメンバーが入れ代わり立ち代わり近くに居たってのも大きいはずだ。ハンターですらない傭兵ギルドのメンバーが目撃者じゃあいつらもやりにくかっただろうさ。そんなわけで、傭兵ギルドのメンバーのほとんどは天使ちゃんの事を知ってたってわけだ。で、そいつらみんな天使ちゃんのことを子供だなんて言ってなかったぜ。若手の奴らなんか嫁にするとか張り切ってたぞ。まあヨウにべったりの様子見て俯いてにげてくるようなヘタレばかりだったたけどな。ワハハ!」
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