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第101話 100話突破記念SS 異世界で冒険してみたい
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「ふう、面白かった」
剣と魔法の世界で、主人公は幼馴染の恋人を勇者に奪われ、もう一人の幼馴染のヒロインに支えられて結婚して一緒に冒険の旅に出る。冤罪で故郷を追われ、様々な悲劇が主人公を襲うけど強い心とその身に宿した力ですべてを乗り越える王道ファンタジーだった。最近のあたしの好みど真ん中。フワフワとした余韻の中、あたしは目をつぶってヒロインになった自分を空想している。
あたしは悲しみにくれる主人公に「あたしも、ずっとあなたの事を好きだったのよ。彼女のこと忘れてなくてもいいよ。ひとりで抱え込まないで。一緒になってから少しずつ忘れていってくれればいいから」そう言って一緒に人生を歩きはじめる。
いくつもの悲劇を2人で乗り越え、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に冒険の旅をして、いつしか彼も「愛してるよ」って言ってくれて……。
「……み、朝未ってば!!」
「え?あ、雪ねえ。どうしたの?」
「もう、またお話の中に入って行ってたわね?」
「う……、だって雪ねえがお勧めしてくれたこの本がすっごく面白くて夢中になっちゃったんだもの」
「紹介した本を面白いって言ってくれるのは嬉しいけど、もう19時よ。わたしの家とはいえ小学6年生の女の子が居て良い時間じゃないわよ」
「う、うん」
雪ねえに言われた通り、そろそろ帰らないといけない時間ね。名残惜しい思いにあたしは手元の文庫本に目をむけた。
「はあ、しかたないわね。その本貸してあげるから家に帰って読み返すなり、余韻に浸るなりしなさい」
「うわ、嬉しい。ありがとう雪ねえ。大好き」
「本当に、最近の朝未はファンタジー小説スキよね。この前紹介した転移ものもその前の転生物の時も読み終わったあとで物語のヒロインになった気持ちで世界に入り込んでいたんでしょ」
「だ、だって素敵なんだもの。主人公の男の子と一緒に笑って泣いて、苦しさも悲しさも喜びも幸せも分け合って、とっても強い絆で結ばれて、お互いを何より大切にして」
「まあ、分からないではないけどね。わたしも時々思うもの。異世界転生してチートで無双してみたいとか」
「雪ねえ。それはあたしのとは違うと思うの。高校生になっても中二病が残っているのは、さすがにどうかと思うの」
「朝未、どっちもどっちだって分かって言ってるでしょ」
「わたしは転移して女勇者として活躍したいかな」
「あたしは、勇者より横で勇者を支えるのがいいな。一緒に冒険の旅に出て、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に強くなっていくの」
「あはは、なら一緒に異世界転移して冒険の旅に出るのも良いわね」
「うん、あたしが雪ねえをサポートしてあげる。一緒に世界を救おうね」
「あたしが勇者なら、朝未は聖女ね。でも、2人だけだと危ないから戦士と魔法使い、偵察や罠察知のできるスカウト、あとできれば遠距離物理攻撃のアーチャーが欲しいわね」
「うーん、スカウトはマー君がなってくれるかも。でも他はあたしのお友達にはいなそう」
あたしが俯いたら、雪ねえがあたしのあたまをぽんぽんと叩いて首をふった。
「大丈夫よ。そんな時にはあたしの友達がいるから」
「あ、ラグビー兄さんなら身体も大きいし戦士に向いてそう、マー姉ちゃんは頭も良いし魔法使いっぽいかも」
「あははダイは、そのままだけど、マーは、剣道やってるし剣士って感じかもね」
「むう、そうすると魔法使いが足りない」
「ふふ、朝未。聖女なら色々な魔法が使えそうじゃない?」
「あ、そういえば最近の聖女ってバフやデバフ、それに回復は当然として攻撃魔法も使えるお話多いわよね。ほかにもお話によっては物理攻撃も並の戦士より上だったりもするわね。え?そうするとあたしってバフデバフ掛けた後はメイスか何かもってモンスターを殴りに行くの?」
「もう、話を飛ばしたわね。モンスターに攻撃魔法を撃てばいいじゃないの」
「でも、魔力の少ない初心者はメイスや杖で殴りに行くのはRPGでも定番でしょ?」
「そこはほら、最初はわたしみたいな前衛に任せてくれればいいんじゃない」
「そっか、じゃあ転移したら、やっぱり冒険者ギルドに登録して薬草採取から?」
「定番だけど、異世界の薬草って朝未見分けられる?」
「え?異世界どころか日本の薬草だって知らないかも。ヨモギが止血や消炎、アロエが貼り薬として火傷に効くとか、お腹の調子をよくするとか、クズが痛み止めになるとかくらいしか知らない。言われれば思い出すかもしれないけど」
「中学1年生で、それだけ知っていれば詳しい方じゃないかしら?でも、異世界の薬草って無理があるでしょ」
「うー、そうすると雑用から?」
「そうね、雑用を一生懸命こなして、報酬も少ないだろうから最初は安宿に泊まる感じかしらね。お風呂なんかもないだろうから朝未が清浄魔法できれいにしてくれて頑張れるとか?で、そんな苦労を共にした仲間と討伐依頼を受けるようになって少しずつ強くなるのね」
「仲間と一緒にってロマンね」
「そしていつの間にか名前を知られるようになって王宮に呼ばれてわたしが勇者認定されるのよ」
「うわあ。素敵」
「その時にその場にいる神官が朝未の聖なる気に気付いて朝未が聖女認定されて、私達が勇者パーティーとして世界を救う旅に出るの」
あたしと雪ねえは、夢中になって異世界で冒険をする話をしていて、気が付くとあたしの家の前まで来ていた。
「雪ねえ、異世界に行くときは一緒だからね。置いていっちゃダメだよ」
「うんうん、もちろん。朝未と一緒にだよ」
「じゃあ、雪ねえ、送ってくれてありがとう。また遊びに行くね」
「うん、いつでもおいで」
雪ねえ達と異世界で冒険かあ。楽しそうね。
こんな話をしたわずか1週間後あたしは本当に異世界に転移するなんて思ってもいなかった。
剣と魔法の世界で、主人公は幼馴染の恋人を勇者に奪われ、もう一人の幼馴染のヒロインに支えられて結婚して一緒に冒険の旅に出る。冤罪で故郷を追われ、様々な悲劇が主人公を襲うけど強い心とその身に宿した力ですべてを乗り越える王道ファンタジーだった。最近のあたしの好みど真ん中。フワフワとした余韻の中、あたしは目をつぶってヒロインになった自分を空想している。
あたしは悲しみにくれる主人公に「あたしも、ずっとあなたの事を好きだったのよ。彼女のこと忘れてなくてもいいよ。ひとりで抱え込まないで。一緒になってから少しずつ忘れていってくれればいいから」そう言って一緒に人生を歩きはじめる。
いくつもの悲劇を2人で乗り越え、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に冒険の旅をして、いつしか彼も「愛してるよ」って言ってくれて……。
「……み、朝未ってば!!」
「え?あ、雪ねえ。どうしたの?」
「もう、またお話の中に入って行ってたわね?」
「う……、だって雪ねえがお勧めしてくれたこの本がすっごく面白くて夢中になっちゃったんだもの」
「紹介した本を面白いって言ってくれるのは嬉しいけど、もう19時よ。わたしの家とはいえ小学6年生の女の子が居て良い時間じゃないわよ」
「う、うん」
雪ねえに言われた通り、そろそろ帰らないといけない時間ね。名残惜しい思いにあたしは手元の文庫本に目をむけた。
「はあ、しかたないわね。その本貸してあげるから家に帰って読み返すなり、余韻に浸るなりしなさい」
「うわ、嬉しい。ありがとう雪ねえ。大好き」
「本当に、最近の朝未はファンタジー小説スキよね。この前紹介した転移ものもその前の転生物の時も読み終わったあとで物語のヒロインになった気持ちで世界に入り込んでいたんでしょ」
「だ、だって素敵なんだもの。主人公の男の子と一緒に笑って泣いて、苦しさも悲しさも喜びも幸せも分け合って、とっても強い絆で結ばれて、お互いを何より大切にして」
「まあ、分からないではないけどね。わたしも時々思うもの。異世界転生してチートで無双してみたいとか」
「雪ねえ。それはあたしのとは違うと思うの。高校生になっても中二病が残っているのは、さすがにどうかと思うの」
「朝未、どっちもどっちだって分かって言ってるでしょ」
「わたしは転移して女勇者として活躍したいかな」
「あたしは、勇者より横で勇者を支えるのがいいな。一緒に冒険の旅に出て、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に強くなっていくの」
「あはは、なら一緒に異世界転移して冒険の旅に出るのも良いわね」
「うん、あたしが雪ねえをサポートしてあげる。一緒に世界を救おうね」
「あたしが勇者なら、朝未は聖女ね。でも、2人だけだと危ないから戦士と魔法使い、偵察や罠察知のできるスカウト、あとできれば遠距離物理攻撃のアーチャーが欲しいわね」
「うーん、スカウトはマー君がなってくれるかも。でも他はあたしのお友達にはいなそう」
あたしが俯いたら、雪ねえがあたしのあたまをぽんぽんと叩いて首をふった。
「大丈夫よ。そんな時にはあたしの友達がいるから」
「あ、ラグビー兄さんなら身体も大きいし戦士に向いてそう、マー姉ちゃんは頭も良いし魔法使いっぽいかも」
「あははダイは、そのままだけど、マーは、剣道やってるし剣士って感じかもね」
「むう、そうすると魔法使いが足りない」
「ふふ、朝未。聖女なら色々な魔法が使えそうじゃない?」
「あ、そういえば最近の聖女ってバフやデバフ、それに回復は当然として攻撃魔法も使えるお話多いわよね。ほかにもお話によっては物理攻撃も並の戦士より上だったりもするわね。え?そうするとあたしってバフデバフ掛けた後はメイスか何かもってモンスターを殴りに行くの?」
「もう、話を飛ばしたわね。モンスターに攻撃魔法を撃てばいいじゃないの」
「でも、魔力の少ない初心者はメイスや杖で殴りに行くのはRPGでも定番でしょ?」
「そこはほら、最初はわたしみたいな前衛に任せてくれればいいんじゃない」
「そっか、じゃあ転移したら、やっぱり冒険者ギルドに登録して薬草採取から?」
「定番だけど、異世界の薬草って朝未見分けられる?」
「え?異世界どころか日本の薬草だって知らないかも。ヨモギが止血や消炎、アロエが貼り薬として火傷に効くとか、お腹の調子をよくするとか、クズが痛み止めになるとかくらいしか知らない。言われれば思い出すかもしれないけど」
「中学1年生で、それだけ知っていれば詳しい方じゃないかしら?でも、異世界の薬草って無理があるでしょ」
「うー、そうすると雑用から?」
「そうね、雑用を一生懸命こなして、報酬も少ないだろうから最初は安宿に泊まる感じかしらね。お風呂なんかもないだろうから朝未が清浄魔法できれいにしてくれて頑張れるとか?で、そんな苦労を共にした仲間と討伐依頼を受けるようになって少しずつ強くなるのね」
「仲間と一緒にってロマンね」
「そしていつの間にか名前を知られるようになって王宮に呼ばれてわたしが勇者認定されるのよ」
「うわあ。素敵」
「その時にその場にいる神官が朝未の聖なる気に気付いて朝未が聖女認定されて、私達が勇者パーティーとして世界を救う旅に出るの」
あたしと雪ねえは、夢中になって異世界で冒険をする話をしていて、気が付くとあたしの家の前まで来ていた。
「雪ねえ、異世界に行くときは一緒だからね。置いていっちゃダメだよ」
「うんうん、もちろん。朝未と一緒にだよ」
「じゃあ、雪ねえ、送ってくれてありがとう。また遊びに行くね」
「うん、いつでもおいで」
雪ねえ達と異世界で冒険かあ。楽しそうね。
こんな話をしたわずか1週間後あたしは本当に異世界に転移するなんて思ってもいなかった。
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