JC聖女とおっさん勇者(?)

景空

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力をつけるために

第112話 アンデッド?

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「そのアンデッドっていうのは普段は近くにいないのよね」
「そうだ」
「奥にはいるものなの?」
「いる。が、今回のように大量にというのは確認されたことはないな」
「それでも、今までもいたということは、斃せるんですよね」
「ゾンビやスケルトン、そしてその上位種たるグール、スケルトンナイトなんかは殴り切りふせ魔石を破壊するか、もしくは取り出せば斃せるし、思い切りバラバラにしてしまえば行動不能になって脅威は排除できる」
「先ほどお話のあったシャドウは?」
「あー、そっちは。実体が無いから普通の武器はすり抜けるだけだ。だから攻撃するなら武器に聖属性を付与して殴るか、聖属性魔法を当てるかだな」

アイノアさんの言葉で、予想が出来てしまったわね。

「ステファノスさんから連絡でもありましたか?」
「ステファノス?誰だいそれ?」
「エルリックハンターギルドのギルマスです」
「ああ、そういえばそんな名前だったか」

あら?ステファノスさんがあたしの聖属性魔法について連絡したのかと思ったのだけど、違ったみたいね。

「チガッタナライイデス。ツヅキヲオネガイシマス」
「?まあいい。聖属性魔法の使い手なんてのは神殿か王宮にしかほぼいない。聖属性を付与できる付与術師も一緒だな」
「え、それじゃシャドウっていうのが出てきたときはどうするんですか?」
「逃げる。全力で逃げる。それだけだ」
「逃げられなかった場合はどうなるんですか?」
「聞きたいか?」
「え?そんなにヤバい奴なんですか?」
「聞きたいか?と聞いている」

ああ、あれかしら。ドレイン系の攻撃を受けるってやつ。ならこちらから言ってみようかしら。

「ひょっとして触れられると力が抜けるとか、命を吸い取られるとかだったり?」

あ、アイノアさんが驚いたように目を見張ったわね。じゃあ追撃。

「逃げられても場合によっては以前より弱くなってしまったりするとか?」

アイノアさんは少しの間あたしの顔をじっと見てため息をついた。

「まあ、シャドウ程度ならそれほど致命的じゃないが、アサミの言った通りの攻撃を受ける。今は確認されていないがレイスあたりになると割とシャレにならないレベルで吸い取られるな。しかも、普通の攻撃は通用しない。だからこそ、逃げるわけだ」
「その、魔法も聖属性以外は効かない感じ……なんですね?」
「そうだな。過去には火属性魔法でシャドウを斃したという記録はあるにはあるがな」
「え、それじゃあ……」
「ただ、その火属性魔法を放ったのは聖女だ。意味はわかるだろう?」
「ただの火属性魔法じゃなく、聖属性ののった見た目だけ火属性の魔法ってことですか」

あたしは思わずため息をついてしまった。でもここまでアイノアさん、あたしに対してばかり話しかけてるわね。見ればアイノアさんはニコニコしているし。

「いつからですか?」
「いつ、とは?」
「あたしについて気付いたのはいつかって聞いてるんです」
「気付く?……ああ、そういうことか。お前たちのことはエルリックからの書簡で連絡を受けているぞ」
「え?さっきステファノスさんから連絡を受けていないって」
「連絡を受けていないとは言っていないぞ。エルリックのギルドマスターがステファノスだということを忘れていただけだ」

「……?あ、あああ!」

さり気なく会話に叙述トリックを仕込んでくる。この人あたしの苦手なタイプの人だわ。

「で、私達に何をやらせたいんですか?」
「できれば、アンデッドを積極的に狩ってほしい。ついでにアンデッドがあふれてきた原因調査が出来ればなお良いな」
「強制ではないですよね」
「もちろんだ。それに指名依頼にするのでなく、この部屋で個別に話していることで配慮をみせているつもりだ」

ここにきて瑶さんが、対応を変わってくれた。ちょっと返事に困っていたので助かったわ。
でも、これって体のいい強制よね。

「わかりました。ただ、どうするかはパーティーメンバーで話し合って決めます」
「うんうん、もちろんだ。いい返事を期待しているよ」

瑶さんがうまくまとめてくれたので、あたし達はハンターギルドを辞して、家に帰ってきた。


「で、瑶さんどうしましょう?」
「私より、朝未の方がアイディアありそうに見えるんだけど?まあいいか。とりあえず状況を整理しようか」

あたしとマルティナさんが頷いたのを見て瑶さんがひとつひとつ上げていってくれる。

「まず、アンデッドには実体のあるゾンビやスケルトンとその上位種と、シャドウ、レイスといった実体のないタイプがある。そして実体のあるゾンビやスケルトンは普通の武器でも斃せるけど、実体のないシャドウやレイスは普通の武器では斃せない。ここまでは良いかな」
「実体のあるアンデッドが普通の武器で斃せると言っても、魔石を取り出すとか行動不能なくらいまでダメージ与える必要がありますよね」
「まあ、それでも普通の武器でも対応可能ってことだね。対して実体のないアンデッドは聖属性魔法でないと対応できない。しかも攻撃を受けると力を抜かれる。ここまでは良いね」

あたしもマルティナさんもそこまでは理解している。

「となると普通に考えれば、実体のあるタイプは私とマルティナさんが対応して、朝未には実体のないタイプが出てきた場合に備えてもらうというのが基本になりそうだね」
「あ、あの。確実じゃないですけど可能性のあることがあって、実験してみたいんですけど」

あたしはそっと手を挙げた。
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