JC聖女とおっさん勇者(?)

景空

文字の大きさ
135 / 155
召喚の影響?

第135話 通商ルートの不安

しおりを挟む
あたし達は、ベルカツベ王国とトランルーノ聖王国の国境近くの街サカブスに来ている。クリフでかなりの資金を確保できたこともあって、トランルーノ聖王国について少し情報収集をしようということになってのよね。

「とりあえず、ハンターギルドに挨拶だけはしておこうか」

と言う訳で、移動先で恒例というほどではないけど、一応ハンターギルドに向かう。

ハンターギルドの入り口をくぐると、時間的に空いていると思っていたのに割と人が多いわね。あら?でもハンターじゃない感じね。

「ね、瑶さん。人が多いけど、ハンター以外の人ばかりな感じしませんか?」
「そうだね。依頼人がこんなに多いって事なのかな」
「挨拶のついでに確認されればよろしいかと」

マルティナさんの指摘に、確かにその通りと、あたし達は比較的空いているベテラン風の女の人の列に並んだ。

「次の方どうぞ。あら、初めて見る顔ですね。今日は依頼ですか?」

しばらく雑談をしながら待っていると、あたし達の順番が回ってきた。あたし達は、ハンター証を受付嬢さんに見せる。

「ハンターパーティー暁影のそらです。しばらくこちらで活動しようと思うので。今日は挨拶に来た」
「え、5級!?。3人とも」

受付嬢さんが思わず上げた叫び声に周囲がざわつきだしたわね。5級ハンターは確かに多くはないけど、そこまで少ないわけじゃないと思うのだけど。

「あ、し、失礼しました。ハンターギルド、サカブス支部へようこそ。こちらで活動していただけるということは、拠点をこちらに?
「いや、そこまでではない。まあ、見分を広げるのと、経験を積むのが目的といえば目的か。まあ、半分は休暇みたいなものだと思ってくれ」
「き、休暇ですか。では依頼を受けていただけたりは……」
「ん?ああ、もちろん、良さそうな依頼があれば受けるのはやぶさかでないが」

瑶さんの言葉にひとつひとつに受付嬢さんが前のめりね。瑶さんが引いてるわ。あたしもちょっと、なので瑶さんの後ろに隠れさせてもらうことにした。

「是非是非お願いします。今、サカブスは人手不足で困っているんです」
「それで、この状態なわけか。事情を教えてくれるかな」
「は、はい。レオノール、ちょっとしばらくここ代わって」
「あ、はい。わかりました。では次のかた……」

「では、暁影のそらのみなさんはこちらにどうぞ」

レオノールと呼ばれた少女が受付につくと、あたし達は受付の奥の部屋に案内された。なんかあたし達ってこのパターン多いわね。
となると次の展開は……。

「少々、こちらでお待ちください」

受付嬢さん、あたし達をほったらかしで出て行っちゃったわね。
特に何もない部屋で待つのは退屈。でも、ほんの数分で戻ってきた。

「お待たせいたしました。こちらハンターギルド、サカブス支部のギルドマスター、アレクセイ・ヒョードル。わたしは、受付兼サブマスターのエレーナです。アレクセイ、こちらの3人は先ほど説明したように5級ハンターパーティー暁影のそらのメンバーです」
「はじめまして。暁影のそらの瑶と言います」
「はじめまして。あたしは朝未です」
「わたしは、はじめましてでは無いが覚えているだろうか。マルティナだ」
「ああマルティナ。覚えているぞ。あの時はまだ6級だったか。無事でなによりだ」

そんな挨拶の合間にエレーナさんはお茶を入れてきてくれた。仕事が早いわね。

「ギルマス、旧交を温めるのは良いですが、先に本題を」
「おっと、そうだったな。エレーナからはサカブス支部が人手不足というところまで話したと聞いているが間違いないか?それ以上はないな」

エレーナさんが方向習性をしたアレクセイさんの言葉にあたし達は頷いた。

「単に人手不足とだけですね。その理由と対応依頼の説明がいただけると思っています」
「わかった。その認識で構わない。っと、立たせたままだったな。すまない、座ってくれ」


「で、わざわざ私達を別室に呼んでまでの説明ってのは?」
「まあ、あわてるな。順番に話してやる」

そう言うとアレクセイさんはお茶で口を湿らせ話をつづけた。あたし達も合わせてお茶をいただく。

「まず、人手不足の直接の原因なんだが、これは単純に依頼が多い。ただ、その依頼が護衛依頼だってのが問題でな」
「ちょっと待ってください。護衛依頼って普通はハンターでなく傭兵の仕事じゃないですか?」

思わずあたしはアレクセイさんの言葉を遮ってしまった。

「ま、普通はな。だが、例外があるのは知ってるだろう」

それは知ってる。あたし達もそれでマルタさんの護衛をしたのだから。

「でも、ここから魔物の領域を通ってどこかに行くってのはそれほど多いとは思えないんですけど」
「そうだな、そもそもそんな需要が多いならそれなりのハンターがいるか、そもそもそんな場所が通商ルートになるわけがない。が、実際に現状そうなっている」
「まさか?」
「その、まさかさ。ここはベルカツベ王国からトランルーノ聖王国の聖都トランに向かうメインルートなんだが、最近商隊が魔物の被害を受けるようになってきたんだ。それで魔物相手ならハンターってことでこんな状況ってことだ」

普段と違う需要でハンターが駆り出されているってことね。と、あたしが納得したところで瑶さんが口をひらいた。

「それだけじゃないでしょう。それだったらわたし達をわざわざこの部屋に呼ぶ必要はない」

瑶さんとアレクセイさんがまるで睨みあうように視線をぶつけている。あ、アレクセイさんが折れた。

「はあ。そういうことだ。実は魔物に襲われ壊滅した商隊の生き残りハンターがいるんだが、そいつが言うにはアンデッドの群れが商隊を襲ったんだそうだ」
「ふむ、そのルートってのはアンデッドのでるような地域を通るのか?」
「そんなわけがないだろう、アンデッドのでるような場所の近くを商隊が通りたがるもんかよ。ここ最近、そうだなはっきりしたのは3カ月ほど前だが、おそらくは最初の被害は半年ほど前。アンデッドが出るようになったのはこの1年以内ってとこだろう」

「事情はなんとなく察したが、魔物とはいえアンデッドとなると本来ハンターの領分というより、神官とかの出番じゃないのか?ゾンビやスケルトンならともかくシャドウやレイスなんかでたら普通のハンターにはどうにもならならないだろう。ましてやルートとしてはトランルーノ聖王国は聖王国ってくらい神殿の力が強いんだろう?」

「まあ、俺達ハンターからすればその通りなんだがな、トランルーノ聖王国でも何やら事情があるようでな、神官の派遣が遅れてるようなんだ。またトランルーノ聖王国が、なにかやらかしたってのがもっぱらの噂だ」
「やらかすってまさか神殿がアンデッドを作り出すわけじゃないだろうに。さすがにそこは誤解じゃないか?」

「普通に考えればそうなんだがな。地にあって邪な魔力を抑えてくれている聖なる魔力を無理やりに何かに使ったんじゃないかって言われている」
「何かってのは……」
「まあ、噂くらいは聞いているか。勇者召還が原因じゃないかってな。ま本当のところは、それこそ神のみぞ知るってやつではあるんだが、噂ではそうなってる」

あたし達は揃ってため息をついた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど

ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。 でも私は石の聖女。 石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。 幼馴染の従者も一緒だし。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...