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召喚の影響?
第146話 トランのレストラン
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瑶さんの話の引き出し方に驚かされながら、市場を一回りしたあたし達は、市場から少し離れたところにあるレストランで食事をすることにした。
「聖都ともなると、こんなレストランまであるんですね。ベルカツベ王国だと辺境伯領領都のエルリックでも見かけなかったのに」
「それだけトランルーノ聖王国が強国だってことだよ」
「そうですね。一番敵にまわしてはいけない国と言われてます」
席についてポロリと漏らしたあたしの感想に瑶さんとマルティナさんが答えてくれた。
そこに少し年配の女の人が声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ。お客さん達はベルカツベ王国からいらしたんですね」
ウェートレスさんかしら。
「ああ、商人の護衛で昨日到着したところだよ」
「へえ、それは皆さんお若いのに凄腕の傭兵なんですね」
「いや、私達は傭兵ではなくハンターだよ。それに凄腕って?」
「え、これは失礼しました。あ、申し遅れました。私はこのレストラン北風の猪肉の女将でジュリーと申します。護衛は傭兵の仕事だとばかり思っていました。魔物が多く出てこのお店に出入りされる商人さんが信頼できる腕利きの護衛が雇えないって嘆いているのを聞いていたものですから」
「ああ、私達は5級ハンターパーティー暁影のそらです。普段なら護衛は傭兵じゃないかな?ただ、今は魔物が増えてるからね私達ハンターに依頼が入るんだ。私達ハンターは魔物の相手をするのに慣れているから」
「そうなんですか。魔物が増えるとハンターが護衛になるんですね」
「それにしても、護衛が雇えないとなると商人さん達はどうやって仕入れをしているんでしょうね?」
瑶さんの質問にジュリーさんは暗い表情をして俯いた。
「少し前までは、護衛を多めにして仕入れをしていたようなんですが、最近ではトランへは来てもらえなくなって……」
「それじゃあ、店も仕入れにこまっているんじゃない?」
「ええ、今はトラン周辺のものだけでどうにか賄っている状態なんですよ。それでも日々仕入れ値が上がって……。ってあ、ご注文も聞かずお客様にこんなことを言っていてはいけませんね。こちらがメニューです。お決まりになりましたら呼んでください」
「あの女将は、やりてだな」
ジュリーさんが離れたところで瑶さんがぽつりとつぶやいた。
「やりて?そりゃ、仕入れもままならない状態でレストランを切り盛りしているんですから、それなりに頑張っているんでしょうけど?」
「いや、それはそうなんだけどね……。なんと言うか、このレストランの料理が特別でなくても値段が高くても納得せざるを得ないように話を持って行ったからね」
首をかしげるあたしに瑶さんが苦笑交じりに教えてくれた。
「今の状況では、食材も思い通りには手に入らない上に、手に入る食材の値段も高いってことを刷り込んでいったんだよ」
「刷り込んでって、でも納得のいく話だったと思うんですけど」
「そう思わせるのが上手だったってことだよ。下手な人間だと上からこんな状態だから我慢しろよ的な言い方してきたりするからね。上手に現状を伝えて仕方ないって思わせてきたからね」
そんな話をしながらメニューを見たのだけど、どれもどんな料理なんだかわかりません。
「ね、マルティナさん。これどんな料理か知ってます?」
「朝未様すみません。わたしもこれらは聞いたことないです」
「こういう時には、店の人に聞くのがいいんじゃないかな」
「そっか、聞いてみます」
そして聞いてみた結果。
「日替わり3つおまたせしました」
メインは聖都トラン近くで栽培されている野菜を丁寧に煮込んだ野菜スープ。それに自家製だというパンと飲み物を1点。ここでもあたしはケレスのジュース。瑶さんがまだお酒飲ませてくれないのよね。
「仕入れが難しい中でこれは美味しいですね」
パンだけは、いまひとつだったけど。それでも今まで食べたこの世界のパンの中ではかなり美味しいパンね。
食事を進めていると、ジュリーさんがテーブルに来た。今のところ他にお客さんがいないから暇なのかしらね。
「いかがですか?」
「丁寧に野菜を煮込んであって美味しいですね。材料が手に入らないでこれなら、材料がきちんと手に入る時ならどれだけ美味しいかと想像してしまうくらいに」
「そうですね。はやいところ魔物をどうにかして欲しい物です。勇者様の活躍にも期待したいところです」
あたしが感想を口にすると嬉しそうにしながらも、材料が手に入らないのが悔しそう。
「おや、勇者様って本当にいるのですか?」
「ええ、1年ほど前に召喚されて、国の騎士をまとめて相手できるほど強いそうです。私も1度だけ大勢の騎士に囲まれて魔物の討伐に向かわれるところをお見かけしたんですけど、随分とお若い感じでしたね」
「そんな簡単に見分けられるほど見た目も違ったんですか?」
「そうですね。男女3人おられたんですが3人とも見たことの無い黒い髪の若者でしたから。あれが間違いなく勇者様でしょう」
やっぱり黒髪ってこの世界には居ないのね。
「聖都ともなると、こんなレストランまであるんですね。ベルカツベ王国だと辺境伯領領都のエルリックでも見かけなかったのに」
「それだけトランルーノ聖王国が強国だってことだよ」
「そうですね。一番敵にまわしてはいけない国と言われてます」
席についてポロリと漏らしたあたしの感想に瑶さんとマルティナさんが答えてくれた。
そこに少し年配の女の人が声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ。お客さん達はベルカツベ王国からいらしたんですね」
ウェートレスさんかしら。
「ああ、商人の護衛で昨日到着したところだよ」
「へえ、それは皆さんお若いのに凄腕の傭兵なんですね」
「いや、私達は傭兵ではなくハンターだよ。それに凄腕って?」
「え、これは失礼しました。あ、申し遅れました。私はこのレストラン北風の猪肉の女将でジュリーと申します。護衛は傭兵の仕事だとばかり思っていました。魔物が多く出てこのお店に出入りされる商人さんが信頼できる腕利きの護衛が雇えないって嘆いているのを聞いていたものですから」
「ああ、私達は5級ハンターパーティー暁影のそらです。普段なら護衛は傭兵じゃないかな?ただ、今は魔物が増えてるからね私達ハンターに依頼が入るんだ。私達ハンターは魔物の相手をするのに慣れているから」
「そうなんですか。魔物が増えるとハンターが護衛になるんですね」
「それにしても、護衛が雇えないとなると商人さん達はどうやって仕入れをしているんでしょうね?」
瑶さんの質問にジュリーさんは暗い表情をして俯いた。
「少し前までは、護衛を多めにして仕入れをしていたようなんですが、最近ではトランへは来てもらえなくなって……」
「それじゃあ、店も仕入れにこまっているんじゃない?」
「ええ、今はトラン周辺のものだけでどうにか賄っている状態なんですよ。それでも日々仕入れ値が上がって……。ってあ、ご注文も聞かずお客様にこんなことを言っていてはいけませんね。こちらがメニューです。お決まりになりましたら呼んでください」
「あの女将は、やりてだな」
ジュリーさんが離れたところで瑶さんがぽつりとつぶやいた。
「やりて?そりゃ、仕入れもままならない状態でレストランを切り盛りしているんですから、それなりに頑張っているんでしょうけど?」
「いや、それはそうなんだけどね……。なんと言うか、このレストランの料理が特別でなくても値段が高くても納得せざるを得ないように話を持って行ったからね」
首をかしげるあたしに瑶さんが苦笑交じりに教えてくれた。
「今の状況では、食材も思い通りには手に入らない上に、手に入る食材の値段も高いってことを刷り込んでいったんだよ」
「刷り込んでって、でも納得のいく話だったと思うんですけど」
「そう思わせるのが上手だったってことだよ。下手な人間だと上からこんな状態だから我慢しろよ的な言い方してきたりするからね。上手に現状を伝えて仕方ないって思わせてきたからね」
そんな話をしながらメニューを見たのだけど、どれもどんな料理なんだかわかりません。
「ね、マルティナさん。これどんな料理か知ってます?」
「朝未様すみません。わたしもこれらは聞いたことないです」
「こういう時には、店の人に聞くのがいいんじゃないかな」
「そっか、聞いてみます」
そして聞いてみた結果。
「日替わり3つおまたせしました」
メインは聖都トラン近くで栽培されている野菜を丁寧に煮込んだ野菜スープ。それに自家製だというパンと飲み物を1点。ここでもあたしはケレスのジュース。瑶さんがまだお酒飲ませてくれないのよね。
「仕入れが難しい中でこれは美味しいですね」
パンだけは、いまひとつだったけど。それでも今まで食べたこの世界のパンの中ではかなり美味しいパンね。
食事を進めていると、ジュリーさんがテーブルに来た。今のところ他にお客さんがいないから暇なのかしらね。
「いかがですか?」
「丁寧に野菜を煮込んであって美味しいですね。材料が手に入らないでこれなら、材料がきちんと手に入る時ならどれだけ美味しいかと想像してしまうくらいに」
「そうですね。はやいところ魔物をどうにかして欲しい物です。勇者様の活躍にも期待したいところです」
あたしが感想を口にすると嬉しそうにしながらも、材料が手に入らないのが悔しそう。
「おや、勇者様って本当にいるのですか?」
「ええ、1年ほど前に召喚されて、国の騎士をまとめて相手できるほど強いそうです。私も1度だけ大勢の騎士に囲まれて魔物の討伐に向かわれるところをお見かけしたんですけど、随分とお若い感じでしたね」
「そんな簡単に見分けられるほど見た目も違ったんですか?」
「そうですね。男女3人おられたんですが3人とも見たことの無い黒い髪の若者でしたから。あれが間違いなく勇者様でしょう」
やっぱり黒髪ってこの世界には居ないのね。
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