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第22話 剣崎勇人
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いつのまにか日常になった登校時の風景。桜と楓はいつも通りに並んで靴箱の前に来ている。桜が靴箱のフタを開けると、『パサパサパサ』数通の封筒が落ちた。
「う~」
困った顔をする桜に
「モテるねぇ桜」
笑いながら自分の靴箱を開ける楓。そこからも崩れ落ちる封筒の束。それを見た桜がお返しとばかりに楓に笑顔を向ける。
「おモテになりますねぇ楓さん」
そして顔を見合わせて苦笑いを交わすふたり。そして揃って溜息をつき、どちらともなく声を掛けた。
「行こうか」
そして、教室で封筒をあけるふたり。
「なになに、昼休み部室棟裏で待ってます。2年A組山中直人」
そんなことをしているふたりを目ざとく見つけて寄ってきた女子たち。
「あぁそのひと、テニス部の次期エースって言われてるイケメンさんよ」
きゃあきゃあと黄色い歓声をあげる周囲を気にすることなく次を開ける桜。
「次は、放課後体育館裏で待ってます。あれ名前無い」
「あはは、それって果たし状みたいね」
楓が揶揄う。
「果たし状って、楓あなた年齢いくつよ」
桜の返しにそれでも
「まあ、なんにしても名前も書かないで呼び出しに応えてもらえるとでも思ってるのかしらね。何されるか分かったものじゃないわ」
問題外と切って捨てる楓。それで収まらないのが周囲の女子生徒たち。
「それで、どうするの。どの人もモテる人たちばかりよ」
興味津々に伺ってくる視線に2人とも揃って
「ないですね」
「あり得ないかな」
ふたりの答えに、周りの女子生徒は納得がいかない。
「大前提として、あたし誰とも付き合うつもりないもの」
桜の返事を聞いた楓は少しだけ口角を上げた。そして
「私もそうね。お付き合いするつもりはないわね。それに」
「それに?」
今となっては周囲の女子生徒だけでなくクラス中が、ふたりの答えに興味津々で聞き耳を立てている。
「もしこれらがラブレターなら、よく知りもしない女の子に好きだとか気持ち悪い。生理的に無理ね」
周囲の女子生徒がおずおずと聞いてくる。
「じゃあ無視するの?」
「名前の無かった1通以外は、話だけは聞きに行くかな。そしてもしお付き合いの申し込みだったらお断りしてくる」
桜が人見知りをしながらも答えると
「私もそうね。礼儀として行くけど。告白だったらお断りすることになるわね」
楓も同様な答えを口にしていた。
昼休みふたりはそれぞれに呼び出された場所に向かった。
「桜、用事は終わった?」
「あ、楓か。あたしは終わったよ。楓はどう?」
「私も終わった。で、やっぱりだったからお断りしてきた。桜はちゃんとお断りできた?」
「うん、怖かったけど、なんとかお断りしてきた」
「あとは放課後かぁ。部活前だからさっさと済まさないとウォーミングアップに間に合わなくなっちゃう」
「頑張ってね。私も放課後に1人呼ばれてるのよねぇ。こっちの都合も考えて欲しいわ。好きだとか言いながら私が何部に所属していて何してるかとか知りもしないのよね。どうせ女の子なんかアクセサリーかなんかと同じにしか思ってないんだろうね」
放課後の渡り廊下。この時間は生徒たちは下校しているか部活動に精を出している時間のため人通りがない。そこに腰までの黒髪をなびかせた綺麗系美少女が歩いてきた。楓だ。
「立花さん」
「あなたが、藤田裕也さんですか?」
「はい。来てくれてありがとう」
「いえ、それでどのようなご用事でしょうか。私、この後部活があるので手短にお願いしたいのですが」
楓のいきなりの塩対応に出鼻をくじかれた格好の藤田。
「あ、あの、その……」
中々言葉が出ず口をパクパクとしている。
「私時間が無いと言いましたよね。用事が無いなら帰らせてもらいます」
踵を返す楓に、焦るようにどうにか声を掛ける藤田。
「あの、立花さんの事が好きです。付き合ってください」
楓は、ちらりと目をやり
「そうですか。でもごめんなさい、お付き合いできません。他の方を当たってください」
「それは、なぜですか。誰かほかに好きな人がいるのですか?」
「そんなことをあなたに話す必要を感じません。では失礼します」
藤田は楓が立ち去った後に呆然と立ち尽くしていた。
そして非常階段下に呼び出された桜は
「ご、ごめんなさい。好きだと言ってくれたことは素直にうれしいですけど、お付き合いは出来ません」
「なんでだよ。他に付き合っている男がいるわけでもないんだろう」
「べ、別にお付き合いしている人がいないからってあなたとお付き合いする義務はありません」
「義務があるんだよ。俺に恥をかかせるつもりか」
そういうと桜の手を掴もうと手を伸ばしてきた。その手が男の後ろから伸びてきた手に逆に掴まれる。
「あんた何してんだよ。」
「なんだよてめぇ。お前に関係ないだろうが」
「いいや、関係ありありでね。その子はオレの彼女なんだよ。人の彼女に手をだしてんじゃねぇよ」
「なんだよ、男がいるのに。そうならそう言えよ」
言い捨てて走っていく男子生徒を横目に
「ああ、ごめんよ勝手に彼氏ずらして。オレ剣崎勇人。1年C組。余計なことだったかな」
桜は溜息をついて
「1年B組華押桜よ。助けようとしてくださったお気持ちだけはありがたく思います。ですがはっきり言って迷惑です。これでお付き合いもしていないあなたと噂になってしまうじゃないですか。みんなに噂の打消しをしてもらわないと。面倒な事を」
人見知りを忘れさせる勢いで桜が言い切る。
「い、いや、でもあいつ君の手を掴もうとして……」
「あんな鈍い動きであたしは捕まりませんよ。では部活がありますので失礼します」
おいて行かれた形の剣崎だったけれど
「あの子、おとなしそうな顔してすげぇ。やべぇ本当に惚れちゃったかも」
「う~」
困った顔をする桜に
「モテるねぇ桜」
笑いながら自分の靴箱を開ける楓。そこからも崩れ落ちる封筒の束。それを見た桜がお返しとばかりに楓に笑顔を向ける。
「おモテになりますねぇ楓さん」
そして顔を見合わせて苦笑いを交わすふたり。そして揃って溜息をつき、どちらともなく声を掛けた。
「行こうか」
そして、教室で封筒をあけるふたり。
「なになに、昼休み部室棟裏で待ってます。2年A組山中直人」
そんなことをしているふたりを目ざとく見つけて寄ってきた女子たち。
「あぁそのひと、テニス部の次期エースって言われてるイケメンさんよ」
きゃあきゃあと黄色い歓声をあげる周囲を気にすることなく次を開ける桜。
「次は、放課後体育館裏で待ってます。あれ名前無い」
「あはは、それって果たし状みたいね」
楓が揶揄う。
「果たし状って、楓あなた年齢いくつよ」
桜の返しにそれでも
「まあ、なんにしても名前も書かないで呼び出しに応えてもらえるとでも思ってるのかしらね。何されるか分かったものじゃないわ」
問題外と切って捨てる楓。それで収まらないのが周囲の女子生徒たち。
「それで、どうするの。どの人もモテる人たちばかりよ」
興味津々に伺ってくる視線に2人とも揃って
「ないですね」
「あり得ないかな」
ふたりの答えに、周りの女子生徒は納得がいかない。
「大前提として、あたし誰とも付き合うつもりないもの」
桜の返事を聞いた楓は少しだけ口角を上げた。そして
「私もそうね。お付き合いするつもりはないわね。それに」
「それに?」
今となっては周囲の女子生徒だけでなくクラス中が、ふたりの答えに興味津々で聞き耳を立てている。
「もしこれらがラブレターなら、よく知りもしない女の子に好きだとか気持ち悪い。生理的に無理ね」
周囲の女子生徒がおずおずと聞いてくる。
「じゃあ無視するの?」
「名前の無かった1通以外は、話だけは聞きに行くかな。そしてもしお付き合いの申し込みだったらお断りしてくる」
桜が人見知りをしながらも答えると
「私もそうね。礼儀として行くけど。告白だったらお断りすることになるわね」
楓も同様な答えを口にしていた。
昼休みふたりはそれぞれに呼び出された場所に向かった。
「桜、用事は終わった?」
「あ、楓か。あたしは終わったよ。楓はどう?」
「私も終わった。で、やっぱりだったからお断りしてきた。桜はちゃんとお断りできた?」
「うん、怖かったけど、なんとかお断りしてきた」
「あとは放課後かぁ。部活前だからさっさと済まさないとウォーミングアップに間に合わなくなっちゃう」
「頑張ってね。私も放課後に1人呼ばれてるのよねぇ。こっちの都合も考えて欲しいわ。好きだとか言いながら私が何部に所属していて何してるかとか知りもしないのよね。どうせ女の子なんかアクセサリーかなんかと同じにしか思ってないんだろうね」
放課後の渡り廊下。この時間は生徒たちは下校しているか部活動に精を出している時間のため人通りがない。そこに腰までの黒髪をなびかせた綺麗系美少女が歩いてきた。楓だ。
「立花さん」
「あなたが、藤田裕也さんですか?」
「はい。来てくれてありがとう」
「いえ、それでどのようなご用事でしょうか。私、この後部活があるので手短にお願いしたいのですが」
楓のいきなりの塩対応に出鼻をくじかれた格好の藤田。
「あ、あの、その……」
中々言葉が出ず口をパクパクとしている。
「私時間が無いと言いましたよね。用事が無いなら帰らせてもらいます」
踵を返す楓に、焦るようにどうにか声を掛ける藤田。
「あの、立花さんの事が好きです。付き合ってください」
楓は、ちらりと目をやり
「そうですか。でもごめんなさい、お付き合いできません。他の方を当たってください」
「それは、なぜですか。誰かほかに好きな人がいるのですか?」
「そんなことをあなたに話す必要を感じません。では失礼します」
藤田は楓が立ち去った後に呆然と立ち尽くしていた。
そして非常階段下に呼び出された桜は
「ご、ごめんなさい。好きだと言ってくれたことは素直にうれしいですけど、お付き合いは出来ません」
「なんでだよ。他に付き合っている男がいるわけでもないんだろう」
「べ、別にお付き合いしている人がいないからってあなたとお付き合いする義務はありません」
「義務があるんだよ。俺に恥をかかせるつもりか」
そういうと桜の手を掴もうと手を伸ばしてきた。その手が男の後ろから伸びてきた手に逆に掴まれる。
「あんた何してんだよ。」
「なんだよてめぇ。お前に関係ないだろうが」
「いいや、関係ありありでね。その子はオレの彼女なんだよ。人の彼女に手をだしてんじゃねぇよ」
「なんだよ、男がいるのに。そうならそう言えよ」
言い捨てて走っていく男子生徒を横目に
「ああ、ごめんよ勝手に彼氏ずらして。オレ剣崎勇人。1年C組。余計なことだったかな」
桜は溜息をついて
「1年B組華押桜よ。助けようとしてくださったお気持ちだけはありがたく思います。ですがはっきり言って迷惑です。これでお付き合いもしていないあなたと噂になってしまうじゃないですか。みんなに噂の打消しをしてもらわないと。面倒な事を」
人見知りを忘れさせる勢いで桜が言い切る。
「い、いや、でもあいつ君の手を掴もうとして……」
「あんな鈍い動きであたしは捕まりませんよ。では部活がありますので失礼します」
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