幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第26話 見学

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土曜日の朝9時20分、光野高校の正門前。細身で栗色のショートカットの髪を揺らした可愛い系少女と腰までの黒髪を4月の風になびかせた綺麗系少女が立っている。そこにゆるふわの栗色の髪の女の子が合流する。
「桜、楓、おはよう」
「理子おはよう」
朝の挨拶を交わす3人。正門前で待っていた桜と楓に声を掛けた理子。
「じゃ、さっそくサッカーグラウンドに行こう」
3人揃って向かうと既に部員たちがウォーミングアップをしている。見ているとひとりの男子生徒が3人に気づき笑顔で手を振った。嬉しそうに手を振り返す理子を見る桜と楓はニヤニヤと笑いながら理子を突いている。
「あの人が理子の彼氏?」
楓がさっそく追及を始めた。
「う、うん。藤島人志君」
「すぐに理子に気づくあたりラブラブだねぇ」
そのあたりの機微にも敏い楓。そして
「先週からのお付き合いって言ってたよね。もうデートくらいしたの?ひょっとしてその先もとか?」
こういう話になればやはり桜も女の子。興味津々な様子を隠さない。
「えええ?そんな、まだあたし達そこまで……」
「うふふ、理子ってばかわいいなぁ。ほら彼氏さん見て。理子に見とれてるわよ」
楓も女の子をしている。

 「ピー。集合」
3人がじゃれ合いをしていると、グラウンドでホイッスルが鳴り交流試合が始まった。
「あれ、なんでボールがあんな風に……」
「おぉ、あの選手良いところでフリーになるねぇ」
桜も楓もサッカー観戦を楽しんでいる。それでも
「ボールの扱いは凄いし、迫力もあるね」
楓はちょっと含みのある言い方をする。それに桜も答えるように
「うん、でもなんだろう。気のせいか、あの時の愛翔の方が」
「桜もそう思う?」
「でも、2年半も前の事だから」
そんなやり取りを理子が不思議そうに眺めている。そんな何気ないやり取りをしながら観戦していると、一進一退の試合も後半に入り光野サイドが動きがあり、レフトサイドバックに藤島が投入された。
「あ、理子、彼氏が出場してきたよ。応援し……」
「藤島くーん、がんばってー」
桜が言い切る前に理子が叫んでいる。もう周りの事など見えないようだ。それを見た桜と楓は微笑ましい思いで見守っていた。
 藤島は1年ながら堅実なプレイを見せる。攻め込む相手フォワードにプレッシャーをかけ決定的なパスを出させない。そんな状況に理子はこぶしを握り喉を限りに声を掛けている。
 試合も後半残り5分、相手チームが勝負に出た。サイドから大きく蹴りだし光野の左サイドに駆け込んでくるフォワード、藤島はわずかに対応が遅れラインぎわを抜かれてしまった。慌てて追いかける藤島、しかし追いすがったスライディングタックルも届かず目の前で決定的なセンタリング、低く速い。そこに駆け込む相手フォワード。しかし1歩速くカットに入った光野のライトハーフの選手。そのまま大きく蹴りだしクリア。そこにあったのは必死にボールに追いすがった剣崎の姿。そのクリアボーはライトウィングに入っている3人目の1年生部員に通った。フリーでボールを受け取ったその選手は大きなストライドのドリブルでグイグイと前線にボールを運びそのままシュート。ネットを揺らしたボールがゴールポストの中を転々としていた。
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